88 吸血鬼の城 殲滅篇
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――― 同じだろうが。
[修道士に視線を向けぬまま、 悲痛な声を、嘲笑ってやる。]
命を、狩って、喰らう。 子に、情を、注ぐ。 ………変わらんさ。
[初めての血に酔い、夢中で啜る子の髪を撫で、 見せつけるように、修道士へと体を向ける。]
ほら、見ろ。 可愛いもんだろ?
(66) 2012/05/03(Thu) 16時頃
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心配すんな。 いずれ、貴様もこうなる。
[さらりと、宣告した**]
(67) 2012/05/03(Thu) 16時頃
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美味かったか?
[唇を離した"子"に、声を掛ける。
これ以上の濃い血は毒だとばかりに身を離し、
傷口を手で覆う。]
次は自分で狩ってみろ。
それができたら、また褒美をやるからな。
[揺蕩う闇の奥から洩れ伝わるのは、明瞭な言葉ではなく耽溺の陶酔。
同調して解き放ちたい衝動が迫り上がって呼気が浅くなる。]
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― 本館・屋上 ―
ムパムピス! 大丈夫か!
[その名を叫びながら、屋上へと姿をあらわした。 その視界に入るのは、 影と呼ばれる得体のしれない闇に身体を抑えこまれ 倒れ伏すムパムピスと、 その傍らで、一心不乱にヘクターの腕にくちづけている ドナルドの姿]
ドナ……ルド?
[掠れた声を発した。 目の前で行われている光景が すぐには飲み込めなくて――]
(68) 2012/05/03(Thu) 16時頃
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[やがてその行為の意味を悟ると 剣を右上段に構え、ドナルドの首の付根をめがけて走りだした]
この……野郎……!
[悪魔のような行為への嫌悪だったのか、 かつて人間だった彼が、魔物になってしまった同情ゆえか
恐らくどちらも正解なのだろう]
(69) 2012/05/03(Thu) 16時半頃
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捜査官 ジェフは、メモを貼った。
2012/05/03(Thu) 16時半頃
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[不意に、火の中の木材が乾いた音をたてて爆ぜ、ヒューの意識を闇の中から呼び戻す。]
…誰も 戻れはしない。
[燃え残ったテーブルから飾花をとると、並んだ亡骸へと放った。 清楚な白い百合の花から金の花粉が散る。]
(70) 2012/05/03(Thu) 16時半頃
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……っ、…、…
[ぴちゃぴちゃと獣の様に舌を使い、 こぼれおちた血液を愛おしそうに嘗め上げる。
…髪を撫でる掌にぞくりと身を震わせ、 男が誰に声をかけているかに漸く気づいく。]
…ぁ、…。……
[荒い息に胸を波打たせ、のろのろと濡れた瞳を上げた。
──のぞきこむ男の眼に、 ひとつだけの昏い紅がとろりとした甘さをもってあわされた]
(71) 2012/05/03(Thu) 17時半頃
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[美味かったか、と尋ねる声に酷いいたたまれなさが襲う。
震える唇が開かれ──
紡ごうとした其れは声にならず、消える。]
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……。
[響く男の『声』に、刹那の逡巡。 隻眼は躊躇うように逸らされ、 やがてちいさく、こくりと頷いて]
……わかった。
(72) 2012/05/03(Thu) 17時半頃
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──ッ、
[闇の血の効果は激烈だった。 ジェフリーの声が届いた瞬間、 修復された躯が男の元からとびすさる。
いつのまにか転がっていたレイピアを拾い上げ、 向かってくる男の剣に向け、薙いだ]
(73) 2012/05/03(Thu) 18時頃
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[隻眼の男か―― と、
そう声を掛けられた事には気づいていた。
酩酊して返せなかった返答を、
酷く気まずげに年の近い『弟』に向けて響かせる]
……悪ィ。
もしかして、聞いてたか?
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…… ……。
[見ろと言われても>>66、やはり視線を向けることはできなかった。 自分を坊っさんと呼んだ陽気な男はもういない。 そう心の中で言い聞かせても、生前と変わらない姿で、血を貪るドナルドの姿を見ると、耐え切れない感情が溢れてしまいそうになるから。]
[息を吐き、脇腹と足にわざと意識を向けた。 揺れる感情を麻痺させるように強い痛みで覆い隠す。]
(74) 2012/05/03(Thu) 18時頃
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お前たちにとっては…それが子になるのか…? その、呪われた犠牲者が。
[あえて「ドナルド」ではなく「犠牲者」と彼を呼ぶ。 目を逸らしても、微かな…命を啜る水音が耳から離れない。>>64 両手を拘束されている為、耳を塞ぐこともできない。]
それは子じゃない。ドナルド様じゃない! ただの…お前の傀儡。 人の形をした魔物で――
[その時だった。信じられない宣告が目の前の男から成されたのは。 あまりにも、あっさりと…夕餉の食事を告げる様な何気ない口調で。]
(75) 2012/05/03(Thu) 18時頃
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「いずれ、貴様もこうなる。」
[神の代行者として殉教…殺される可能性は充分に覚悟をしていた。 魂を抜かれた後の人間が、吸血鬼の魂を入れる器として利用されることも教えられていたし、ドナルドの姿を今もこうして目の当たりにしている。]
[しかし神に仕え聖別する力を持つ自分を眷属として引き入れる事はないと信じきっていた為、意味する内容を理解するまで、少しの時間が必要だった。]
(76) 2012/05/03(Thu) 18時頃
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……ああ。
アンタにとっては仇になるんだろうな。
[なのに、何故こんなことになっているのか
まるでわからないと言いたげな、苦笑]
アンタは『ヒュー・ガルデン』――
クレアの騎士だろ?
クレア姉ちゃんを、……護ってくれてた奴だ。
[最初から、この騎士に悪感情はない。
アヴァロン伯が『クレア』であると理解した今は尚更]
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[遠距離攻撃を得意とする彼の首を狙うには、 剣速、威力ともに十分だったはずだ。 だが、それでもあっさりと払われ>>73驚愕に目を見張る]
お前……!
[最後に見た時は、破片がささりボロボロだったはずなのに、 彼の主と同じく、その傷はどこにも見当たらない。 口元の赤さが、ひどく胸をついた]
剣も……つかえたのか
[汗に濡れる手で剣を構え直し、 ドナルドをしっかりと見据えながら、 目の端でヘクターの姿を捉える]
どけ……。 そもそも私の相手は――あの男だった。
(77) 2012/05/03(Thu) 18時頃
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[やがて、大階段を上り、2階の惨状に足を止めることもなく進むその手には、クラリッサが好んだしなやかな茎と刺をもつ紅薔薇が握られていた。]
謙虚であれ、誠実であれ、礼儀を守れ、 裏切ることなく、欺くことなく、弱者には常に優しく、強者には常に勇ましく、 己の品位を高め、堂々と振る舞い、 民を守る盾となれ、主の敵を討つ矛となれ。
[「北」の塔へと向かう足音が、騎士の誓いを刻む。]
(78) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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[混乱し、絶望に沈みそうになった時、自分の名前を呼ぶ力強い声>>68が聞こえた。]
ジェフリー様… やっぱり…来て…しまったんだ…
[自分を見捨てて逃げてほしかった。 彼単独でヘクターとドナルド…強大な吸血鬼とかつての仲間であった存在を倒すのは至難の業に思える。 それでも、助けが来たことで呪われた運命を切り開くことができるかもしれないと、一縷の希望が生まれてくる。]
(79) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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ジェフリー様!それはドナルド様じゃない……!! この男が生み出した、新しい眷属です…!!
[首を曲げ、腹に力を込めて、できる限りの大声で警告をする。 同時に、何とか影の拘束から抜け出ようと退魔の聖句を小声で唱え始めた。]
(80) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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[熱に浮かされたように上げられる"子"の瞳。 腕から離された口元を指先で拭い、 顎に指をかけて持ち上げ、覗き込む。
潤む瞳に浮かぶ、絆の紅。]
(81) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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いいぞ。
一段と可愛くなった。
[低い笑いに、嘲る色はない。]
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[闇の囁きに、"子"が頷く。 逸らされた視線に未だ抑圧はあれど、 拒絶の色は薄い。
満足して頭でも撫でようと手を伸ばしたとき、 螺旋階段から飛び込んでくる姿(>>68)があった。]
………どこまでも無粋な奴だな。
[突き出された刃を躱して、ドナルドがとびすさる。 余撃を避けて自分も一歩下がった。
攻防を眺めながら、 無言で剣先を修道士の首筋に置く。]
(82) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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── 「北」 物見の塔・屋上 ──
[意識して避けてきた場所。 クラリッサが灰となった場所。
人ならぬ身にはわかる「その場所」の前に血盟騎士は立つ。]
(83) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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クラリッサ姫、 あなたと同じ糧をわかちあい、 同じ罪と苦悩を知り──
真にあなたと同じ世界に生きたい。
(84) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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あなたは闇の中の救い、絶望の中の愛。
── どうか、 ご帰還を。
[手にした薔薇を首筋にあてがい、ヘクターがつけた誓約の傷を刺で突いて血を捧げる。]
(85) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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[脅しの言葉は口にしない。
ただ、わかっているだろ、とでも言いたげに 修道士を見下ろし、剣士に視線を投げた**]
(86) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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ホントに無粋な奴が来やがったみたいだぜ…? ゴシュジンさま。
[薄く朱の残った唇で苦笑する。
漆黒のレイピアを構える腕は、 決して本職のように使い慣れてはいないが それなりにさまになったもの]
戦場で武器を失ったら、 あるモン使うしかねーだろ。
[ヘクターを庇う様に足を踏み出したのは、 無意識のもの。
伺うように、『声』を彼に響かせる]
(87) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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…な。
俺が相手して、いいのか?
[ヘクターが彼に向ける波動が、
恐らく気に入りの獲物に対するものであることには
気づいていた]
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[聖句を半ば唱え、諦めずに握りしめたままだった杖がほんのり温かみを帯びてきたと思った瞬間、首元に鋭い剣が突きつけられる>>86
詠唱は中断され、凍りついたように剣をつきつける男の姿を見た。]
(88) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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