73 ─深夜、薔薇の木の下で。
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――オレ、バイトで、そういう事した事あるんです。
[少し泣きそうな声でモリスは呟く。]
で?ソレを僕にいって、何ていってほしいの?
…君、もしそのサイラスって子が同じことしてたら、汚いって思うんだ?
最初は、ちょっとぎゅっとさせて、って事だったけど。
実は、帰ってくる前も、薔薇園でちょっと……
違う!サイラスはオレみたいにそんな汚いことはしない!
[直面してもいない相手に怒りをぶつける。]
サイラスはオレみたいに小遣い目当てでそんな事するヤツじゃない!
オレはともかく、アイツをバカにしないでください!
[モリスは少し興奮した様子で叫ぶ。]
そう。薔薇園で。…君の感覚で言ったら、
僕なんて汚く見えてしょうがないんだろうね。
[実際エリアス自身にそんな経験は勿論ないのだけども]
別にいいんじゃない?
僕にはわからないのは、本当なんだから。
君が後悔しなければいいと思うよ。
たとえばの話。
キミのことをサイラスが知らないように、サイラスのことを、キミはどれだけ知ってるのさ。
キミは…否定されたいの。それとも肯定されたいの?
僕に、どんな答えを求めてるのさ。
……肯定も、否定もしてもらう気はないっス。話を聞いてもらいたかった、だけではあるので。
ただ、どうしてこんな気持ちになってるのか、薔薇となんか関係あるのかは、知りたかったスけど。
[モリスは力強く言う。]
まだ、サイラスに関しては気持ちがまとまってないというか。
アイツの事、好きだけど、自分はアイツにそんな事出来る資格は無いって気持ちは、ありますから。
[モリスは少し間をおいて。]
でも、後悔はするなって言葉は、受け取らせて頂きます。
ありがとう。
そう。聞くだけなら、聞くよ。
でも、答えは求めないでほしい。
…キミは何か、負い目に生きてしまうタイプじゃないのかな。
…咲いた花も、後は散るだけだと、
咲いたことを後悔してるのかもしれない。
でも、いいじゃない。
咲かない花は花ではないもの。
過去のない人間なんて、いないでしょ?
僕は、過去は過去でいいと思うよ。
頑張りな。きっと棘は、後押しだけ。
キミやノックスが思いを遂げることができたら、
薔薇の棘は…
[感染する、とは言わない。
それで人が死ぬわけではないから。
問われても、そこだけはぼかして話をするだろう]
[セックスをどう伝えるか、悩んでいる間に
どうやらモリスの相談コーナーになっていたようで。
モリスの秘密を知って、どうしよーと、おろおろと
するものだから、会話に挟まることもなく。]
えーちょっとまってー。
モリスはともかく、
俺には想い告げるような相手いないよー。
[言葉を発したのは、最後になって。
将来情熱をかけられるものを見つけること叶ってなく、
それは人に対しても未だ*]
あれ、ま。
[ヴェスパタインが逃げていくのに驚いた顔してみた]
…折角薔薇の棘のケガを、手当てしちゃ駄目じゃないか。
だから少し、怒ったのに。
嫉妬したのかと思ったのかな。
かわいい子だね。皆。
薬屋 サイラスは、メモを貼った。
2011/12/24(Sat) 20時半頃
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…ぁ。
[目元へと触れる、ヴェスパタインの冷えた唇。 薔薇の香りとその感触に、すっかりぼうっとしてしまって。
あの時出会った者が、人ならぬものだったのかどうかはわからない。 けれども、何かに魅入られたかのように、あれ以来この目が見る世界の色は少し変わってしまったらしい。 当人に自覚はあまり無いけれど…。]
………わ、す、すいません…レオナルドさん。 えと、そういえば、モリスが……
[雪まみれの服をほろってもらいながら、ふと思い出したことを先輩に告げて。
兄に向けられた幾つかの言伝。 こくんと頷きはするものの、なんだかぼんやりとしたままで。 不思議と寒いとは思わなくて、柔らかい雪の上にペタンと座り込む。
人気がなくなれば、中庭に吹く風は悪戯に白い雪を舞い上げ、柔らかな金髪をくすぐって踊り始めた。]
(387) 2011/12/24(Sat) 22時頃
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[探しに来た兄の目には、見えない何かと遊んでいるように、 手を伸べて中空を見上げる姿が見えるだろう。
幼い頃には頻繁にあったけれど、大きくなるにつれそんな事は無くなっていったはずだったけれど。]
(388) 2011/12/24(Sat) 22時頃
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[呼ぶ声は父親の声に似て、違う声。 ふっと振り向けば、太陽の光にも似た輝かしい金の髪。
兄の姿を認識して、にこ…と幼い笑みを向けた。]
(394) 2011/12/24(Sat) 22時頃
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…カワイソウな子。
[諦めだけで今までを生きてたエリアスに、
あざ笑うような、哀れむような。
ただ、同情だけは寄せない薔薇の精]
…誰か……。
どうしたらいいの。
どうしたら、忘れられるんだろう。
[それはエリアスの呟き。
薔薇の精のそれではなくて。
悲しさだけが漂う気配]
えっ、エリアス先輩……?
[突然の呟きにモリスは動きが、止まる。]
…忘れたいだけなんだ。
ただ、辛い、だけ……
[シーツを握る手に力が入る。
ぽたぽたと涙だけが零れて。
答えの声に、違和感すら感じずに]
…もう、いやだ…。
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[肩に掛けられる毛布。 心配そうな兄の顔に我に返れば、 迎えに来られるなんて、子供みたいでかっこ悪く思えて。]
なっ、なんだよ!? なんでもないっ……っ!!
[毛布越しに抱きしめてくる腕の中は、やっぱり自分よりずっと大きくて、 追ってもいつも先に行く、届かない絶対的な差を感じてしまう。 近くて、暖かくて、敵わなくて。 ドキドキするのと息苦しいのが、なんだかよくわからない。]
…離せ、よ。部屋にくらい、自分で、帰れ…る……
[その腕の中から逃げ出そうと、兄の胸元をぐいと押した。]
(417) 2011/12/24(Sat) 23時頃
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[夢から目覚めさてた声は、2つ。
1つはベネットのもので、もうひとつはエリアスのもの。]
うん?どーしたのー……
[寝ぼけた声が、モリスの後を追うように問う。]
ん〜?どうしたんだろうね、この子。
[答えを返すのは薔薇の精]
随分混乱してるみたいだけど?
君達なんか言ったの?
……っ。
[聞こえてくる嗚咽。
エリアスは何を忘れたくて、泣いているのだろう。
近くにエリアスの同室のセレストがいるだけに、複雑な悲鳴が洩れる。]
…キミ、誰かしらないけど。
バイトで、とか、言っていなかった?
[モリスが薔薇の精としていたやりとりはおぼろげだったけれど、夢の中できいたのだろうと。
この少年は一体いつこの声の異様さに気付くのだろう]
バイトなら…誰とでも、できる?
忘れさせて、くれる…?
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…にい、ちゃ……
[かけられた声に滲むものに、それ以上拒めなくて。 幼い頃のように、そっと身を預けた。]
(428) 2011/12/24(Sat) 23時半頃
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……いいんスか。忘れちゃって。
[モリスは少し躊躇を見せると]
オレも忘れたいこと、あるし。
先輩がいいなら、『手伝いますよ』。忘れたいなら。
[セレストが放った自己責任という言葉が重くのしかかる。
それで、きっと、いい。
自分には負い目があるのだから。サイラスには綺麗なままでいてほしい。友達のまま、そのままで過ごせれば。
金で自分を売った、汚い自分にはきっと相応しくないのだから。]
むにゃ……。
[未だ夢現。2人の会話は聴いているけれど、脳みそには届いていないようで。]
……どこまで行けばいーんすか?
さすがに場所は選んだほうがいいと思うんスけど。
[モリスは少し困った様子でエリアスに告げる]
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[かすかに聞こえた言葉の意味はわからなかったけれど、 その声に滲む感情は何となく伝わって。
色濃い薔薇の香りと、冷えた身体に染みこんでくるぬくもりに、 なんとなくふわふわとわけがわからなくなっていく。
青い瞳が、不思議そうに見上げた。]
(438) 2011/12/24(Sat) 23時半頃
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