75 サプリカント王国の双子
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――……さあ。
少しだけ、お静かになさいますよう。 まだ、仕上げの紅を、引けておりませんので。
[告げれば顎を持ち上げて。 無骨にも見える指が持つ筆はゆっくりと唇の形をなぞっていく。
引かれていくのは濃い桃の。 赤よりは柔らかく、桃よりも鮮明な、繊細ないろ。
遠くからでもその唇が、笑みの形が鮮明にわかるよう。 選んだそれが現女王のいつかの晴れの日に携えていた色と、 同じものだと気付けた者はいるのかどうか。]
(77) 2012/01/08(Sun) 18時頃
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[支度を終え、告げられた事にはひとつ、頷く。] はい。きっとミッシェル様も喜ばれる事でしょう。 ――……、ミッシェル様も、きっと艶やかなお姿なのでしょうね。 ええ、私も楽しみです。
お気をつけて。 私も、来客の様子を一度見て参ります。
式典の前には、再度手をお入れしましょう。
[シメオン、の名。告げられた際に僅か眉が上がったのは、 きっと目の前の王女には気付かれなかっただろう。 式典前には、控えの間に待機する旨を告げ。 背を見送り、ひと通りの片付けを終えれば、 足は部屋の外へと向かう**]
(78) 2012/01/08(Sun) 18時頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2012/01/08(Sun) 18時半頃
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……ありがとう、
[姉様は何も悪くない。 そう言ってもらえたことにほっとして苦笑いを浮かべる。 だけど噂の出所がわからない以上、もしかしたら己の弛んだ姿を出入りの商人に見られて……という可能性もあると思えば、自分は全く悪くないと胸を張ることもできずにいた]
(79) 2012/01/08(Sun) 19時頃
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―回想―
[あの日のことは、今もよく覚えている。 "妹"が死んだ。 10歳の己は、死ぬということはどういうことか知ってはいたけれど、 机上で学んだ知識だけで理解はしていなかった。
病死した妹はベッドの上で眠っているようにしか見えなかった。頬に触れることを許された時も、その頬はまだ温かかった。 そして彼女はまた暫くすれば目を開けるのではないか という夢想が醒めきらぬうちに、"彼女"がやってきた。
"彼女"はとても"妹"にそっくりで、 今日から"彼女"が"ミッシェル"なのだと教えられた]
(80) 2012/01/08(Sun) 19時頃
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[だがいくら似ているといっても血縁者とそうでない者の違いくらいはわかる。 "この娘"は妹ではない。だけど、妹なのだ。
――よろしくね、私の可愛いミッシェル!
そう言いながら彼女を抱きしめた瞬間に誓ったのだ。 "姉"として、"王女"として。今度こそ"妹"を愛し、守るのだと――。
妹の前ではなるべく立派な姉であろうとしてきたのは、その誓いの結果の一つ。 彼女が王女になる前の人生を知ろうとしなかったのも、その誓いの結果の一つ]
(81) 2012/01/08(Sun) 19時頃
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―ミッシェルの部屋―
嬉しい。 貴女が私の妹で、本当によかったわ。
[握りしめられる片手に気づかぬまま、自信に満ちた笑みを見つめる。 そして、真似するように自分も気丈に笑ってみせた]
ええ、そうよね。今日を無事に終えて……。
あら。 私は今日の客人がミッシェルを見初めてしまわないかと心配よ? ――うふふ。 でも、貴女が気に入る人がいたなら遠慮はしなくていいのだからね?
[囁きに、冗談のように微笑む。 引かれた濃桃が、ゆるりと弧線を描いた]
(82) 2012/01/08(Sun) 19時頃
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薬屋 サイラスは、メモを貼った。
2012/01/08(Sun) 19時頃
本屋 ベネットは、メモを貼った。
2012/01/08(Sun) 20時頃
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……なら、良かった、……です。
[結局、伸ばした手は所在無く。 仕方なく引けば、僅か長い袖が手の甲を覆う。それを引っ張り上げながら、立ち上がる相手>>74を木立瑠璃の瞳は追う。
随分と多い荷を持っていたようだが、立ち上がったその背の丈などは自分と然程変わらない様に見えた。 あの荷の一つ持ち上げることすら、自分には難しそうだというのに。]
…………ぁ
[そんな事をぼんやりと思っていると、此方を案じてか、覗き込む顔。 伏せがちだった瞳を開け、ゆるく首を横に振る。]
いえ、大丈夫です。……こちらこそ、すみませんでした。
[そうして、その視線から逃げる様に屈みこめば、散らばった栄養剤を一つ、二つと拾い上げる。 屈んだ際、丈の長い上着が地面と擦れていたが、そんな事は知らぬ風に、彼の持っていた箱に納めていった。]
(83) 2012/01/08(Sun) 20時半頃
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―城外:城敷地内―
[空の色に、見蕩れる。 その色すら、あの日とまったく同じようで。 目を細め、暫し立ち止まっていれば、声をかけられ振り向いた。]
冷たい飲み物?
[声をかけてきたのは、主人に命を受けた従者>>40。 服装から、城に従事する者と見られたか。 胸元の銀に彫られるのは、王家近くに従事する者に許された飾り。]
ああ…グレーアムの。では、暫しお待ち下さい。ご希望のものを用意しましょう。
……申し遅れました。私はシルヴァーナ様へお仕えしております、ハンス=ブローリンと申します。
[事情を聞けば、木陰で休む青年へちらりと顔を向け。 舞踏会にも招待されている相手、もてなすのが良と判断する。 従者が固辞するようでなければ、自身の手でラルフの元へと飲み物を運ぶ心算で。*]
(84) 2012/01/08(Sun) 21時頃
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―城下・公園―
[結局、猫は丸くなってベンチの上で眠ってしまった]
―――…。
[静かな風の中、細い指先は緩やかにその背を撫でる。 視界の端には既に王城が映っている。 此れからのことを想い、脳裏を過ぎるのはささやかな記憶]
(85) 2012/01/08(Sun) 21時頃
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[舞踏会へは誰に相談することもなく、 一番其処に近い位置に居る筈の兄にすら相談することなく応募し、 結果として参加権を得た。
招待状が届いたことを知り、母は酷く狼狽していた。 病弱な息子の身を案じ、無謀なことは止めろと言い募る。 そも、こんな病人が王となれるなど、母も思いもしなかったろうが]
"けれど、折角の御招待を断るのは失礼にあたりますよ、Mam。"
[にこりと微笑む仕草は、歳不相応でまるで子供のよう。 そのまま我儘を押し通して本日に至る]
(86) 2012/01/08(Sun) 21時半頃
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そう、ですか…? それなら良いのですが、って、あの! いいです、いいです!自分で拾いますから!
[ゆるく首を振る様子に再度胸を撫で下ろす暇はなかった。 その場に屈みこみ、栄養剤を箱に詰めていく相手にベネットは慌てて制止の声をあげた。]
ああ、洋服が……!
[地面と擦れる上着に気付いて手を伸ばしそうになるが、自分の手が汚れていた事に気付くとその手は宙を彷徨う。 どう声をかけたものかとオロオロしている間に、栄養剤はすっかり綺麗に箱へと収められていた。]
すみません、僕のせいで…。 …本当に、すみません。
[箱を渡してくれるその手を見て、ベネットは困った顔で詫びる。 勿論謝罪は手だけではなく、地面と擦れた上着に対しても。]
(87) 2012/01/08(Sun) 21時半頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2012/01/08(Sun) 21時半頃
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……服、……あぁ、いいんです。 どうせ、今日くらいしか着ないだろうし……。
[栄養剤の箱くらいならば片腕で抱えられることができたか。
空いた手でぱたぱたと上着の裾を叩けば、両手で箱を持ち直し、青年に差し出す。 困った顔>>87に向けるのは、僅か眉を顰めた様な顔。]
気にしないでください、……僕が、前を見ていなかったから。
[と、箱を差し出したところで、散らばる荷へと視線は向く。 一つ一つの質量がかなりありそうな肥料の袋と、手元の箱とを見て。]
これ、……どうやって持ってたんですか。
[尋ねたのは、何気ない純粋な疑問からか。 はっ、と我に返った素振りをして見せれば、数度首を振って。]
すみませ、ん。 ……変な事を、聞きました。
(88) 2012/01/08(Sun) 21時半頃
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――庭園――
[呼び付けた庭師はゆったりとした顔で、手筈は滞りなく、と伝えたが、しかしどうも歯切れが悪い。 何か気がかりでもあるのか、とそぞろな様子に眉を寄せた。]
『いや、それが。使いに出した新米がまだ戻らんので』
[使いといっても大役でなく、花そのものの準備は問題ないとのことだったが、しかし戻らぬというのも問題だ。]
(89) 2012/01/08(Sun) 21時半頃
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そうか。なら、私が見てこよう。 少し手が空いている。
花々はミッシェル様も楽しみにされている。 手を抜かぬように。
[慌てる庭師を尻目に、大方城下の広場やらで迷うかしているのだろうと城下へ向かう。 もし外に招待客が来ているようなら、そちらへ顔を見せるのも仕事のうちだろう。]
(90) 2012/01/08(Sun) 21時半頃
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―城下・公園→ ―
くすくすくす。
[楽しげに肩を揺らしつつ立ち上がる。 黒い日傘を縁取る銀のレースがふわりと揺れる。 服装の趣味は多少なり、 昔の兄の所業>>48の影響を受けたと言わざるを得ない。 …もっとも、施される折はいつも嫌がる素振りを見せてはいたが。
結局は大人しく着飾られて、 最後に困った様な呆れた様な顔で笑いながらこういうのだ]
"兄さま、美しいだなんて言われて喜ぶのはレディだけですよ"
[猫へと別れを告げて、穏やかな足取りは城へと向けられる]
(91) 2012/01/08(Sun) 22時頃
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――城敷地内――
[広い庭園を抜け、敷地内をこつこつ靴音立てて歩む。 その、視界の端に認めた姿。]
(――ハンス)
[従者らしき人物と会話する、良く見知った男。 その生成地色の髪に目を黒絹糸の細さまで怪訝に細めて、ふんと一息。
それから軽く見渡せば、幾人かの従者や身なり整えた男の姿があったろうか。 咳払い一つ居住まい直し、笑顔浮かべて城門へ向かう。 無論、誰かとすれ違うたびに会釈と挨拶は忘れない。]
(92) 2012/01/08(Sun) 22時頃
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今日しか…と言うと、もしかしてあなたも式典に?
[ぴしり、と顔が強張る。 もし、彼がどこぞのお偉い様で、そんな方の手と洋服を汚してしまった日には…。 手渡された箱を持ったままそんな事を考えていると。]
……へ?
[飛んできた質問に間抜けな返事を返してしまった。]
あ、いえ、別に変な事じゃないですよ。 すみません、僕の方こそ変な声をあげてしまって…。
[首を振って謝る青年に慌てて誤解だと告げる。 そして疑問に答えるべく、地面に落ちた荷を肩へと担ぎあげた。]
よ、っと。 重いのはこうやって、肩に担ぐんです。 あとは空いてる方の小脇に抱えて、最後に手提げをさげます。 本当はもっともてるといいんですけど、僕にはこれが精一杯で。
(93) 2012/01/08(Sun) 22時頃
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はい、式典、に。 ……“も”、ですか? 貴方も、 ?
[ゆるりと首を傾げれば切り揃えられた髪が頬にかかる。 街を歩く最中、整えられた格好で城へ向かう人影がちらほらと見えたが。 青年の格好は、お世辞にも“正装”とは呼べないそれで。
木立瑠璃の瞳は、不思議そうに一度、二度と瞬く。
そうして、荷を担ぎあげる様子を、箱を手にしたまま見て。 精一杯と自称する姿に、首を横に振る。]
それだけでも、充分だと思います。 僕は、荷台でもないとこれだけの量、運べないだろうし。
[眉を下げて、薄らと浮かべたのはかろうじて笑みと呼べただろうか。]
(94) 2012/01/08(Sun) 22時頃
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エリアスは、シメオンの姿を城門付近で見かけたかもしれない。
2012/01/08(Sun) 22時頃
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―城敷地内―
ほんとうに、いい空の色だ。
[普段住んでいる港町とは違う空の色だと思った。 この季節、常に真っ白な入道雲が視界に入るものだと思っていたが、 そういうものでもないらしい。
―なんて、しみじみと旅先であることを思ったのは少し前までのこと]
遅い。 いったいどこまで何を探しにいったんだ。 ボクはそんなに難しい注文はしていないはずだぞ?!
[今はむすっとした表情を隠すように、 黒の透かし彫りの入った香木の扇子をひらひらして、 増え始めた人々を眺めていた。
ふと、城門の方を見れば金髪が揺れるのが見えた。 しかしそれには一つ瞬いて、他へと目を向けた]
(95) 2012/01/08(Sun) 22時半頃
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―城敷地内―
[足音は、ざわめきに紛れ聞こえるかどうか。 けれど視線感じて>>92僅かにそちらへ顔を向ける。]
――……。
[僅かに寄った眉は、きっと目の前の従者にも気付かれない。 経歴を伝え聞いていれば、良い印象など持つ訳もない。 今も、本人を前にした時でも、表立っての表情と口調だけは 崩す事は無かっただろうけれど。
細められた黒絹糸と、生成に隠されたオリーブは 視線絡むことも無く。]
(96) 2012/01/08(Sun) 22時半頃
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掃除夫 ラルフは、メモを貼った。
2012/01/08(Sun) 22時半頃
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―城門付近―
[歩く道すがら、ふと目にとまった金糸の青年。 随分と綺麗な顔立ちだと思った。 そう、まるで僕の絵本に出てくる"王子様"のよう。 服装から顧みるに、唯の一般人では無さそうだが]
―――――…おっと。
[そんな余所見をしていたからだろうか。 後方から歩いて来る集団に押しやられ、軽くよろめき手を付いた。 日傘もふわりと手から滑り落ちる]
(97) 2012/01/08(Sun) 22時半頃
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あ、やはりそうでしたか。
[げ、と出そうになる声を必死に押し殺して、苦笑する。 それから向き直り、ぺこりと頭を下げた。]
お客様にとんだご無礼を…どうぞお許し下さい。
僕は、城に仕える庭師です。 と言っても仕えて日の浅い新米ですが…。
[苦笑しながら、そう告げて。 十分との声にはゆるく首を振った。]
僕の師は僕よりふたまわりも年上だというのに、片手に三袋ずつ担ぐんですよ。 それに担げてもしっかり歩けないようではまだまだです。
僕には土をいじる位しか能がないので、これ位出来ないと城を追い出されてしまいます。
[冗談交じりにそう答えるが、そこには本音も含まれていた。]
(98) 2012/01/08(Sun) 22時半頃
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あ、っと。 そろそろ戻らないとどやされてしまう…。
すみません、その箱を頂けますか?
[ベネットは肩に肥料を二袋担ぎ、小脇に肥料と箱を抱え、手には石灰の袋を提げ、最後の1ピースである箱を渡して欲しいと青年に告げた。]
(99) 2012/01/08(Sun) 22時半頃
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―城敷地内:木陰のベンチ―
[一度場を去り、飲み物を手に 苛立った様子の彼>>95の元へ赴いたのは、 彼の従者と共にだったろうか。
銀のトレイの上には、冷たく冷えた紅茶、水、 シロップとミルクを添えたコーヒー。]
失礼致します、ラルフ・グレーアム様。 私、シルヴァーナ王女付きのハンスと申します。
お飲み物をご所望とお聞きしましたのでお持ちしました。 簡単なものばかりで申し訳ないのですが ……どれになさいますか? それとも、他に希望があるのならお持ちしますが。
[客人に、失礼ないよう頭を下げて。 他に何か希望があるのなら、叶える心算で問う。]
(100) 2012/01/08(Sun) 22時半頃
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[城門付近、また人とすれ違いかかる。 黒に銀レースの日傘で影の落ちる表情も整った、美しい青年。 いでたちからして招待客である。足を止めてゆったりと礼をすれば、シャツの襟を留める銀のピンが陽を返した。 ピンには、紋章(>>84)が刻まれているのを青年が見るかどうか。 まさか、目の前の青年が先ほど目をすがめた相手の弟などと知る由もなく。]
ようこそいらっしゃいました。
[にこ、と笑顔で中へと指し示す。]
(101) 2012/01/08(Sun) 22時半頃
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[目の端に、ふわりと浮かぶ日傘>>97が過る。 そちらに視線流せば、暫く合っていないとは言え 忘れる訳もない、弟の姿。]
――……。
[舞踏会への招待客。 名は、流石に知らされている。
それでも弟本人から、何の連絡も無かった以上 此方からも問う手紙も出していなかったけれど。
浮かべる笑みも、周りから見える表情もきっと変わらない。 そうやって感情出さぬようにするのに慣れてから、 どれ位の月日が経っただろうか。]
(102) 2012/01/08(Sun) 23時頃
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[ちょうどそれと同時にか、後ろから別の人影。 ぶつかりあい落ちた日傘へ手を伸ばし拾い上げると、青年に差し出した。]
皆様、お怪我は御座いませんか。 大事なければよいのですが……
[青年にも、後方から来た者にも、揃って様子を伺った。]
(103) 2012/01/08(Sun) 23時頃
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……お客様、だなんて、そんな。 ただの冷やかしのようなもの、ですし。
[確かに父親は政治の割と深い所に関わる位置にいるし、母親だって地方とはいえ名家の出で、家柄としては悪くないのだが。 別段自分の生まれを特別と思った事もなければ、特別扱いして育てられたわけでもない。
城の庭師と聞けば>>98、あぁ、と納得したように相槌打ち。]
……、この季節ですと、盛りは何でしょう。僕はロベリアなんかが好きですけども。
……城の庭だったら、もう少し違う花なのかな。
[そういえば城の庭園など、碌に見た事が無かった事を思い出す。 後で時間が取れれば、ゆっくりと見る時間はあるだろうか。
花は、嫌いではない。]
(104) 2012/01/08(Sun) 23時頃
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[そんな風に考え事をしていれば、かけられた声>>99にはっと我に返り、手にしていた箱に視線を落とす。]
すみません、お仕事の、邪魔をしてしまって。
[そうして、箱を差し出そうと手を伸ばし、はたとその手を止める。 少しばかり思案して。]
城に戻るんですよね?僕も其方に向かいますし。 ……よろしければ、途中まで運ぶの、手伝います。
……これくらいしか持てませんけど、よければ。 迷惑と、時間を取らせたお詫びとして。
[どうだろうか、と、問いかける様に傾げる首。 元より断られる心算の問いかけではあるが、青年の答えはどうだろうか。]
(105) 2012/01/08(Sun) 23時頃
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[いくら表情を隠そうとしても、 扇いでいる扇子ではその役目は果たせなかったようだ。
視界の向こうからやってきた従者を見つけ立ち上がろうとして、 共にいる人物>>100で目を止めた。 誰だ?と訝るような視線は一瞬。
何度かまばたきをした後、苛立ちを消してやって来るのを見ていた]
え?なぜボクの名を…王女さま、の?お付の方?!
[一瞬、ぽかんとした。 そういう人は今この場に出てきたりしないものだと思っていたから。
一度従者を見る。 彼は小さく頷く。 そして、目の前の彼の胸元の銀飾り。 ごくりとつばを飲んだ]
(106) 2012/01/08(Sun) 23時頃
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