270 食人村忌譚
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狼
墓
少
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全
牛や雌鶏の孔に突っ込みたいほど餓えてもねぇし。
[俺にとって、女と呼べる存在も。
母と呼びたかった者ももういない。
慈しむ様に抱いたゆりでさえ。
群れを成すのに必要な胎は傷付けぬのが道理。
それに傷付いて、世話をするのは結局俺になるのだから。
薬草の無駄遣いになる事はしない*]
[弟が想うのは己の事ばかり。
それは随分と甘美な言葉であった。
互いに想い合っているのならば遠慮は必要はなく。
誰にも渡さずにすむ世界がないのならば作ればよい。
そうでしょう、と興奮したかのように高くなる声に僅か圧倒された。]
あ……、ああ、
[人を美味いと思わぬという。
それが苦痛だという。
ならば、彼はずっと苦痛に塗れて生きてきたのだろうか。]
そうか、そうだな君の言う事は正しい。
人を喰って、その相手が転生した事を知る術はない。
[知る術があるのならば、私は愛した女を迎える事が出来るのに。
それが出来ない事を知っていて、理解しているからそれを望んだ事はなかった。]
……孕む腹がなければ増えない、が。
[真っ先に脳裏に浮かんだのは娘のゆりだった。
愛する女の腹から生まれた女は嫉妬の対象であり、親としての僅かばかりの情を攫う女。
彼女を殺すのならば、せめてこの手でなどと。]
私は錠がいればそれでいい。
だからその為に、
君に手を貸そう、この村を滅ぼそうという君に。
[この話を聞いた時からもう後には引けぬ。
人が減れば私は何をするのか。
私は私のしたようにしよう。
そこに弟の意思が存在しない事に気付かぬまま心を決めた*]
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―社から離れるまで―
[櫻子との道中は賑やか>>236>>237で、江津子の頬を緩ませる 種の知れない、お腹の子>>242 首を振り、江津子の言葉を飲み込めなさげ>>243に共にゆく彼女は、 幸せなのだろうかと、ふと思う
……考えるなんて、おこがましい 子の幸せすら他者にゆだねた己には、 考える資格すらない気もする
神社を離れる志乃>>235に、すれ違いに頭を下げて、 巫女へと馳走の施しを請うた>>192 暫時、神社も困窮しているのだろうか>>223と、不安を抱くも 一緒に作るというのなら、それも杞憂なのだろう 卵を差し出し、慈悲を辞して――――>>193]
(254) 2017/11/24(Fri) 23時半頃
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はい、村のものたちみな、笑顔を頂戴しております
[恐れ多くて、目を伏せているから、 江津子はゆりの変化>>224>>225>>226を感じてはいなかったかもしれない]
櫻子さん、ゆり様のお手伝い、頑張ってくださいね
[櫻子から猫を受け取る>>247と、 飛び跳ね去り行く姿>>249を、見送ったのだった*]
(255) 2017/11/24(Fri) 23時半頃
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[同意を得てススムは勢いづいた。
手を貸してくれるという。
嗚呼矢張り、彼に話してよかったと
口元を綻ばせる]
有難う御座います、先生
先生やミナカタさんが知識をくれたから
僕は良い方法を思いつく事が出来ました。
お陰で、漸くこの苦痛から解放される
[殺して、潰して
全部処分してしまったらもう
家畜どもの群れに、人であることを気取られぬように
怯えて暮らす必要は無くなるのだ]
ねぇ、先生
最初に間引く女は櫻子が良いでしょうか。
あれは子を宿していますし、早く潰さねば増えてしまいます。
それとも、巫女を先に縊りましょうか
あれは数々の男を宛がわれていますから
[先ずは誰から始末しようか。
家畜の順序を指折りながら淡々と並べていく]
巫女様、櫻子さん、愛理さん……
[混じらぬ名は、仔を産み渋る女たち*]
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―閑話/神社の手水で―
[猫が、激しく暴れている 水はやめろと、のたうち回る]
……………………
[小さな首筋に指を当て、くっ、と力を込めてやれば 瞬間、ぴっと、動きが止まり、 後はふるふる震えて、大人しくなった]
少し、やりすぎてしまいましたね ごめんなさい
[洗い終わりの湿った猫は、 少しだけ、怯えた様子だったかもしれない
猫を境内にそっと話すと、神社を後にしたのだった*]
(263) 2017/11/25(Sat) 00時頃
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―丞の自宅―
[残った卵は、たった1つ。 脆いそれを片手に納めて、目的の場所へと進んでいく 鶏を捕まえてくれた丞>>47へのお礼 こんこんと戸を叩けば、中から返事はあるだろうか]
丞さん 江津子です 卵をお届けにあがりましたよ 1つだけではありますが……
[また開けてみようかと、 戸に手を触れながら、呼びかけた]
(271) 2017/11/25(Sat) 00時頃
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ミナカタさんが……?
彼奴も何を考えているのか。
[彼には随分と焚き付けるような事を言われた。
何か目的があるのだろうか。
気を許していいのか分からない。
少し警戒をしていた方がいいのだろうか。
警戒も何も、彼が村の誰かに告げ口をすればそれで終わってしまうのだが。]
ゆり…巫女は周りに人が多いから櫻子か愛理。
そうだな愛理あたりがいいんじゃないか。
[愛理は一人でよく村をうろついているから。
人目に付かないように殺す事は容易いだろう。
教え子の上げる名に混じらぬ名前がある事に気付いてはいた。
何故、若い女を外すのか問い詰める気はないが*]
エツコは、丞が留守であれば、この場に置いていくつもりだ
2017/11/25(Sat) 00時頃
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[丞とは、戸を開けようとしたところで、 鉢合わせた形>>274となっただろうか 出した手を引っ込めて、はい お会いしましたねと言葉を返す]
経緯があって、1つだけになってしまいましたが、 せめて、お渡ししておきたいと
[差し出された手に>>276卵を、ころり 鮮度は確かめ済みである]
(280) 2017/11/25(Sat) 00時半頃
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丞さんには、またお仕事をお願いすることもあるかと思いますから 心ばかしですが、召し上がってください
[ただ、手ぬぐいが巻き付けられた包丁を見れば、 なんとはなしに察しがつく]
外出される途中だったんでしょうか お邪魔してしまったら、申し訳ありませんでした
[きっと、研ぎあがった獲物を届けに行こうとしていのだろうと そのまま向かうならば体を端に寄せ、見送りの体制に入っただろう*]
(281) 2017/11/25(Sat) 00時半頃
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この村は、不要だと
僕が考えるよりももっとずっと先の事を
考えられる”人間”です。
[ススムは彼を随分と買っていた。
家畜と人の違いがわかる者だ。
信頼しても良いと、思っている]
――――愛理さん。
何時もひとりだから……
確かに、最初の相手としては手ごろですね。
嗚呼、早速にも始めましょう
僕、教わった捌き方を早く試してみたかったんです!*
[離れた場所で教師と教え子が共犯者へと
絆を変えていく。
それを知る事は今は出来ないが、
悪く転ぶことはないだろうと踏んでいた。
進は聡い。
きっと答えを見つけ……そこから動くかどうかは置いて。
仔を生む女を殺せば、これ以上は増えない
それは正解だが、もう1つ長い意味で意味がある]
[雌のいなくなった群れは滅びるしかなくなるのだ。
例え他の雄が屈強で間引くことが出来なくても。
志半ばで倒れても。
群れは滅びる。
この村に返りたくはないから、早々に潰してしまえれば
それが一番だが。
出来なくても、いつか必ず滅びる計算を立て。
密かに仔が成せぬ身体になる薬も探していた。
機を窺っていたが、運が向いてきた気がして。
焚き付けた教師と、道を示した教え子がどうなるか
楽しみにしていたのは事実*]
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前払いいただいたのは、私の方ですよ 前払いというのなら、田畑を荒らす猪でも、 駆除しなければなりませんね 何かございましたら、いつでも、なんなりと
[捕まえてくれた鶏の件を思い、くすりと笑う 事情を聞けば>>287、リツとの経緯もだいたいは読み取れて]
リツさんの仕上がりで力が出れば、 なお、素晴らしい業も生まれるかもしれませんね それは、とても楽しみです
[背中を向けるなら朝方と同じく、 礼で見送ったことだろう**]
(295) 2017/11/25(Sat) 01時頃
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