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― デニス来店中の、背後 ―
おつかれさま。
[それは多分、ケイがデニスに料理を振る舞い始めて少しした頃。
注文や客足も落ち着き、厨房やカウンターを忙しなく行き来していた店主は静かにフロアの、…正確には、出入り口付近の警備員へと歩みよる。
手には二つのワイングラス。揺れる中身は、いつかの朝と同じ物。
そろそろ酒もなくなって悪魔も寂しくなった頃だろうと、自分もしばしの休憩に入ろうか。
店主は食べても居ないザクロとカツの香りをさせて、肩には彼の分身たる小さな猿。*]
[ほかの何者でもない、己かもしれないという恐怖。]
[飛び移り猿が消える
寡黙で無くなった悪魔を見下ろす笑みは客向けより柔らかく、他から見れば明らかな特別扱いで。多分、これで察しない周囲の方がどこかおかしい。
そんな店主モードでも膝に座れと言われたら、それなりにうろたえるのだが。]
膝、て、
いや、 だって、俺、重いし?
[述べる言い訳は、多分悪魔にとって何でもない事。
膝と彼の笑みを見比べて、赤と紫のワイングラスを両手に暫く座れずオタオタしていただろう、が、
再び痛み始めた腰に観念し、大人しく膝上に収まった。
大変、大変控えめに。
ぴったりと寄り添うと、また色々、思い出してしまいそうで。]
[大の男を軽い
と思ったものの悪魔にとってはそう気になる事では無いんだろうなと、肉付きの良い己の腰回りに一瞬思いをはせて、
はせてたらグラスを両方とも取り上げられたので観念してすっぽり膝に収まった。
刺さる客からの視線に、若干身を小さくして。]
乾杯。
[ヒト用のワイングラスを受け取り何度か中身を揺らして、乾杯と、近い距離でまた笑っただろう。
ガラスをなぞる澄んだ音に耳を傾ければ、周囲の様子は何時しか気にならなくなっていた。
営業中で、他にも客が居るのに。なのに、なんだかオフの時みたいだ。
いけない事をしているようなシチュエーションに胸が高鳴って、ほんのり頬を染めただろう。]
[回された腕
客の前、客の前だからとじっと耐えても、頬の赤みは消えなくて。
しかし嫌じゃないのが、困った所。]
うん?ニッポ…
――ああ、あれね。
[あれから。と言うより悪魔に想いを伝えて繋がり合ってからになるのだが、
あれからゴロウから借りている写真と旅行パンフレットを照らし合わせ、メモをし、季節や観光名所、行事ごとを調べ、大まかな旅行計画を練り、
…旅費に打ちひしがれ、
片手間にあちらの種族や伝承について調べ。
同時に借りた筈の小説の消化スピードが一番遅いのは、目の前の男とプライベートを二人で過ごすようになったからなのだが其れは今はどうでもいい。
全体的な進みは上々として、一先ずの進歩報告を。
合間合間に顔をそらしてキスを避けるのは、今まさに客から見られまくっているからであって、決して嫌だからという訳ではない。
迫られるたびに「後で」と小さく呟いて、その後とは勿論閉店後の事。
店を閉めた後ならいくらでもキスしていいししてやるのにと、我慢の出来ない警備員に困った顔をしていただろう。]
あれね、今度皆で社員旅行行こうと思って。
…行く?
[そう言えば彼も一応従業員の仲間入りをしたんだっけど、赤を傾け問いかける。
この際4人が5人になっても大して変わらない。
――残念ながら各従業員の恋人も付いて来ると言う可能性まで気付ける有能雇用主では無かったのだが。
彼も行くならプランを練り直してホテルの部屋数を調節して、俺達だけ二人部屋で、自由時間は皆と別行動で、えーっと、
…なんだかハネムーンかもしれない。
と言う事に気付けば、今度こそ本格的に顔を赤らめた。**]
なら、数に入れとく、から。
[嬉しそうな顔
困ったような嬉しいような赤い顔で唇を遠ざけて、しかし「後で」と触れた指先が、代わりにキスを受ける事になっただろう。
いとしい。あいしてる。
湧き上がる感情に胸を満たされ、どうしようもなく、抱きしめたくなる。
悪魔への信仰や畏れの薄い地。収めるモノも違い、漂う空気や、夜に蠢く闇も違う色。
そんな場所に不安を抱くのも無理はない。しかし自分が彼の、世界への拠り所ならば喜んでそう働こう。
腰にまわされた温もりに、そっと手を重ねる。
迷子にならないよう、消えてしまわないよう。
その存在を確かめるよう。
そして、口づけんと目を閉じ顔を近づけ、]
プリ――…、
………ブローリン、
忘れる訳ないだろははは。
[しまったまだ営業中だった危ない危ない完全に二人きりプライベートモードに入り掛けてた。
ついでにうっかり呼びかけた真名をすんでの所でキャンセルすると、ガバリと効果音でも付きそうな勢いで身を離す。
離す、離して、立ち上がろうとしたのだが、
しかし腰が言う事を聞いてくれる筈もなく、よろめき床に崩れ落ちただろう。]
【人】 匿名軍団 ゴロウ…………… (240) mikanseijin 2015/08/16(Sun) 13時頃 |
【人】 匿名軍団 ゴロウ―――。 (241) mikanseijin 2015/08/16(Sun) 13時頃 |
[
何が起こったか分からず見上げるのはセピアも同じ。
スローモーションで上に浮き上がる周囲の風景に一瞬何が起こったか分からず、喋っていた口は半開きで、
足と尻に感じる床の感触に、周囲が浮き上がったのでは無く自分が落ちたのだとようやく気付いた。
なに?どうした?何でおれ床に居るんだ?
しかし気付いたからと言って思考が回復する訳でもなく、腰のへっぴり具合も、同じこと。
そして、じわじわくる熱と、恥ずかしさ。
だってそんな、キスしかけて腰が痛くて転ぶなんて。そもそも腰が痛いのってアレがコレの結果だし。
先とは違う意味で赤面し、目線は見上げた金から剃らせない。
正しくは、他を見れない。客からの視線が痛すぎて。
それでも発するヘルプより早く悪魔が動いたのは、幸いだったか。
現在の脳はあらゆる処理を停止させており、消えた大盛魔除けにも、抱きあげられた事にも一切反応は返せぬまま。
…が、]
みっ、ず虫は、ないからあああぁぁぁ!!
[それだけは譲れないのだと、それだけしか返せなかったのだと、
ばびゅんと連れ去られる店主は、最後にそんな叫びをフロアに残しただろう。
体制に文句をつけ暴れはじめるのは、バックヤードに引っ込んでから。]
オジサンとかよく言うよ
トシとかかんけーねーっての
[ゴドウィンに向けてケラケラと笑う
人魚の涙は……女性的魅力が上がる、らしいぜ
まあ、オスに効くかってーと微妙かもな
マスターにちらほら食わせてんだけど、効果あんのかね?
[ちらりと店長を伺う]
あ、でも旦那の店の男客は増えるかもしんねーな
女性フェロモンが増えてさ
そんな事言ったって…、
[こんな恰好恥ずかしすぎる。
続く文句は塞がれて
抵抗していた手は何時の間にか縋りつき、せがむかのように引き寄せて、今度こそ目を閉じ、交わす甘さに溺れていただろう。
だから、抱かれ階段を上がったのも、ベッドに横たえられたのも知らないうちに。
後半は余韻の内に感じたかもしれないが思考はそれどころではなく、熱で緩む意識の隅に、軋むスプリングを微かに聞く。
離れぬ距離に腕をからませ、触れる体温に甘えていた。
後で、後で。そう我慢していた
――あ、
ごめ、
[覗きこんだ瞳
心配させた事に気付けば、途端にしょんぼり申し訳なさそうな顔になっただろう。
それでも熱は抜けぬまま、擦り寄って、二人の前髪の色を混ぜ合わせる。]
…気にするかと、思って。
言ったらもう、して貰えなくなるかな。…って、
後悔させたいとか、そんなんじゃ、無くて、
あれ、結構、よかった、し。
またシた、い…し……。
[近いまま目を伏せて逸らして、言葉尻は小さくなるばかり。
朱を浮かべ、目を潤ませて、
今度こそ、この距離からは逃れられそうにない。]
【人】 匿名軍団 ゴロウ[今の虎徹の姿は目に毒だ。>>265 (274) mikanseijin 2015/08/16(Sun) 20時半頃 |
【人】 匿名軍団 ゴロウ[拒まれないのを認識すれば、触れただけの口づけはより深く、奥まで届かせようと欲張りになる。>>280 (287) mikanseijin 2015/08/16(Sun) 22時頃 |
【人】 匿名軍団 ゴロウ[今のは、駄目だったか、良かったのか。 (296) mikanseijin 2015/08/16(Sun) 23時頃 |
女性客増えるかなーって思ってさ
って……あれ?
[言葉を繋ぎ合わせる
男性客だけ、女性フェロモンには反応しない。つまり…]
あー、噂のゲイバーって旦那のとこか
別の部屋でやれる親切なバーがある、って聞いた事はあったんだよな
じゃあ、此処に来てる人外の客も、そっちに行ってたかもな
[そう言えばトレイルも行っていた。
ああだからトレイルは女性が苦手なのか、と勘違いのまま納得して]
ま、人魚の涙なんてお守り程度だけどさ
これからも、ウチも旦那も
繁盛していこうぜってことで
こっちも、昼も、よろしくな
ゴドの旦那
[にんまりと笑った**]
[
だが枕に顔を埋めても始まるのは普段のソレで無く、しかしそれを彷彿とさせる事と大差ない。
触れられ漏れ出る声は、きっと相手を煽る物なのだから。]
ン、…っふ
……ごめん。
今度から、正直に、言うから。
ぜんぶ。
[じっとして、おとなしく。
そう言われた癖に首をひねり、視界の端に背後の彼を捕らえれば、丁度背に口づける所だっただろうか。
咎められている事位きちんと分かっている。
彼の気持ちも汲まず、自分の満足感だけを優先して、それで悲しませた。
頼らないのは、信じないと同じ事。もうそんな悲しい顔させたくない。
言ってしまうと全てが恥ずかしくて堪らない気もするが、君がそう望むなら。
俺の物である君が、そう、望むなら。
これから共に過ごすであろう長い時を、些細な事で歪ませない為に。]
[唇が触れる度、行為の最中のように肺が、喉が震える。
漏れ出る声を我慢しなかったのは、どうしてか。
ずくずくとした痛みは徐々に消えて、しかし代わりに、彼の唇の感覚が消えてくれない。
不思議さに関心やら感謝をするより先に、覚えたのはもっとと言う欲で、
彼が好意でしてくれているというのに、それなのに自分はこんな、どうしようもなく、
どうして、こんなに、
こんなに、気持ちいいのか。
沸き上がる快感と甘い背徳感を吐息に混ぜ吐いて、後は身を任せるだけ。
喫茶店の、決して厚く無い扉と床。
止められない声が下階まで響いてしまったかどうかは、悪魔のみぞ知る。
あと、蛇。]
【人】 匿名軍団 ゴロウ―さらにその後― (324) mikanseijin 2015/08/17(Mon) 01時頃 |
【人】 匿名軍団 ゴロウ……うん、ちゃんと動くな。 (326) mikanseijin 2015/08/17(Mon) 01時頃 |
【人】 匿名軍団 ゴロウあとは、ラッピングしてと…… (328) mikanseijin 2015/08/17(Mon) 01時頃 |
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