276 ─五月、薔薇の木の下で。
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あー、えーーと。
おつかれさま?
[ 何を謂ってもきっとそぐわない。
思うことを紡ぐけれど。
的はずれなことばかり謂ってるかも、しれない。 ]
ごめんな? 大丈夫?
悪いのは全部、薔薇(──)だから。
だからさ、いっちゃんはなんも悪くないよ。
[呼ばれる度に心臓が痛い。
苦しみ以外のものが、そこにあった。]
選んだのは俺。
[手に喜んだのも、あいが欲しいと思ったのも。
それ以上は喋る気力が無くて、項垂れる。
呼吸だけが荒い。]*
もう泣いてもいいんだよ。
────イアン。
[ 暴れようが引っ掛かれようが。
離すつもりもなく。
側に誰かいようがいまいが気にする余裕もなく。
痛いほどの力で、抱き締めた。 ]**
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