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[ この空間でもその恩恵は、俺にはない。
奪いたいほどの衝動があっても、俺は奪えない。
血も、涙も、あいも、―――隣も。
薔薇は根を張り、檻の中。
咲いて香って、枯れて、散る。
自由さえ手にいれる事が出来ない、この指先。 ]*
─── 神から?
[ 声為らざる声には、 振り向きもせず、
目線を合わせることさえ無い。
…平気で佇んでいるか、は 少々わからない。
そもそも"平気"とは何か と言う状態だ。
いつだってこの男には背中ばかりを見せてきた。
( 其処は似ていないな、 "もうひとり"。 )
自然と反芻した言葉は不遜な疑問系。]
神にはとうに裏切られている。
──── 信じた記憶なんて殆ど無い。
祈った記憶、 も
それならずっと 薔薇からの、
……お前からの賜り物だと、
そういわれる方が使う気になる。
[ 薔薇の 真紅の囁きに、
微かな笑いが混ざる。
喉をならすような、 ……螺の弛んだ其れだ。 ]
【人】 蝋燭職人 フェルゼ[ はたっ、と我に返った。 (142) 2018/05/22(Tue) 02時頃 |
【人】 蝋燭職人 フェルゼ
(143) 2018/05/22(Tue) 02時頃 |
[突き放そうとしている癖に
抱き寄せられて、嬉しくて。
本当にどうにかしているんだ。
そうされたいとずっと思っていた日々が
脳裏にどこまでも美しく蘇る。]
[涙(あめ)も雨(なみだ)も降らない乾いた日。
日の光は煩わしい程、それも輝く思い出の一つ
あの時彼はどんな言葉をくれたっけ。
思い出すのが今は苦しくて、止めた。
甘やかしい心地と、手すら伸ばせない苦しみ。
矛盾する感情の名前をとっくに知っていた
臆病者は声にすらせず、心の内に留まったのは。
やっぱり自分勝手で、願いきれなかった想い。
────好きだって、言ってくれたらなぁ。
自分で言わなければ、返るわけがない。
それなのに。]
………… ああ、
[君もそう思ったのかな。
俺は嘘をつくのも上手くなかったみたい。
────本当にばかだなぁ。]
[俺は彼に暴かれたかったのだろうか?
分からない。触れてはならないと思っていたから。
ただ、誰に、というものが無くても
暴かれることを望んでいたのは事実。
そして、同じことを、
二人ともそれが出来なかったのは
手を伸ばし合えなかったということなのだろうか。
きっと気持ちの問題じゃなくて、
どちらも何かに囚われていた。]*
── 独白 ──
嬉しかったけど、
[同じくらいに辛かったけど、と
いつか願いきれなかった想いを浮かばせる。
残酷に叶えられてしまった、それを。]
最後くらい、イアンって呼んでくれても。
[いいじゃないか、と。細やかな恨み言。
それは正常の声、決して対象には届かない響きで
落ち着いた後、ひとりきりで口にした。]
[先輩、会長、いっちゃん。
みんなみんなそうだ、ああ。
“あい”も“こい”も手に入らないと分かっていても、やはり
可愛い女の子でもない寂しがりなんて
────気持ち悪いだけかもね。]*
【人】 蝋燭職人 フェルゼ 周りをよく見て、せんぱい。 (161) 2018/05/22(Tue) 05時半頃 |
【人】 蝋燭職人 フェルゼ 俺は、痛いことからも、逃げないから。 (162) 2018/05/22(Tue) 05時半頃 |
【人】 蝋燭職人 フェルゼ[ イアンの言う通り、刺さらなければ (164) 2018/05/22(Tue) 05時半頃 |
【人】 蝋燭職人 フェルゼ …………本当に会いたい人がいるのに、 (165) 2018/05/22(Tue) 05時半頃 |
【人】 蝋燭職人 フェルゼ 誰もせんぱいを置いて行ってないよ。 (166) 2018/05/22(Tue) 05時半頃 |
そうね、カミサマなんていないからね。
悪魔はいるのにおかしなこったよ。
いや、悪魔もそのうち消えてなくなるかな。
[ カミサマがいるんだとしたら。
茨に締め付けられたこの空間を見て嘲笑ってるんだろう。
そういう性格の悪いやつだと、思ってる。
目も合わされず返る声。
届きもしない独り言。
この声は、俺の声は、
どこにいても届く、呪いのような声。 ]
[ 水があれば。 精があれば。
生きることは出来るかもしれないけれど。
一度吸い上げた肌に、まだ淡く残るだろう花弁を。
触れた耳許を。
見つめて。
それでも自分から触れにいかないのは
花が枯れる決意をしたから、なのかもしれない。 ]
どもね、ケヴィン。
[ ぽつ、と呟いて。 ]**
──── 一応、 言っておくが、
色々、聞こえてしまっているんだからな。
[ ぽつん、 と 声が降る。
全く、人選ミスだ。 ひとの心の機微なんて、
パンにしか繊細で無い、己に分かろう筈もない。
……でもそう、残念ながら、
一部始終を聞かずとも、
"もうひとり"と"もうひとりだったもの"の間、
薔薇と、"もうひとり"の間の"別れ"
それらを"知る"のは、 只この青年のみで、]
まあ、 ―――― 信じちゃいないが、
何時か、 幼い俺を抱いていた彼の司祭も、
確かに俺を"あい"していたんだろう。
…司祭が体言すべきは"エロス"でなく
"アガペー"であるべきだが。
[ きっとこれだって、"もうひとり"に聞こえてしまう。
呪いの言葉に罪の懺悔を……随分と開き直って乗せて、
"穢い"と言えばこの男も、 神の定義で言えば十分に、
遠い昔に当てはまってしまっている。
薔薇に染まり行く茶は射抜く。 薔薇の真意を計り行き、]
――― "お前が選んだ"んだろう、 俺を。
勝手に選んで、勝手に授けたくせに、
勝手に枯れるな、 阿呆。そのくらいの責任はとれよ。
[ 首もとに花弁を残したからには、 …なんて
めんどうくさいおんなのように、]
"一度振られたぐらいで"
……お前が自分の存在を否定するなら、
また―――― 何を信じていいんだか、わからなくなる
[ ……はじめて、"彼"の欲がわかった。
この"薔薇"の顎を引っ掴み、
"此方を向け"と無理矢理に視線を合わせ、
薄い唇を食めてしまえば、 ……
――― もうひとりに"見えている"場では
随分と薄暗く、 おもたい欲望だ。
嗚呼、でもこれは"あい"じゃあない。
明らかな"害意"が、其処には 有る。]
……ずっと生きろと言った筈だけど。
[口を挟んだのはその一言だけ。
どう取られても、受け取られなくてもいい。
でも、これも中庭で見つけた時と同じ
彼のことを想って行ったこと。
先に何があるのか、そこにいない俺が何かを変えることはない。]
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