43 朱隠し
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あー………んっと。
[困った顔になっていたが、春松がきつく問いただしているのを見て、口を開く]
……さっき、狐面のお人の姿が、ふわっと消えてもうたん、見てもうてな。でも、そこに居た誰も驚いてへんかったから…みんなアヤカシなんかな、って思ってな。
それとも、アヤカシと友達になった、人間なん? 俺、みんな人にしか見えんのやけど…
[戸惑いながら尋ねた]
(231) 2011/02/15(Tue) 18時頃
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定吉は、藤之助>>230に、ばれてた!と言いたそうな顔になった
2011/02/15(Tue) 18時頃
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あ。
[藤色の着物。くくった長い髪。藤の香りのキセル。その特徴に心当たりがあった>>1:184]
……あんたさん、もしかして、朧さんが探しとった人ちゃう? 朧さんが、お礼言いたいって探してはった…
(234) 2011/02/15(Tue) 18時頃
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定吉は、>>0:184だったかな、と思いなおし。
2011/02/15(Tue) 18時頃
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春坊!怒らせたらあかん…!
[後ろから、春松の両肩に手を置く>>233]
すんません…この子な、お兄さんが「神隠し」にあってん。一人になってもうたんや。だから、怖い目にあわせるのんは堪忍したって…!
[藤之助の手を見るも、本当にすり抜けてしまうのが確認できず、春松の肩から腕を動かせない]
(235) 2011/02/15(Tue) 18時半頃
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………手妻?そうやったん?
[きょと、と。あまり人を疑う事を知らない飴師は、あっさり信じかけた>>236]
……せいっ!
[が、思い切って、片手を出して、差し出された藤之助の手を握ろうとしてみる。…触れる事はできなかった]
わー!やっぱし触られへんやーん!! …正体知られず遊んでいたかったんやったら堪忍なあ…
(239) 2011/02/15(Tue) 18時半頃
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いっぺーたぁ……
[現れた、自分よりも年下の青年に、年上の飴師はどうしよう、とばかりに情けなく眉を下げ]
あっ……、春坊!
[激昂して飛び出す春松。あまり強く押さえていたわけでもない手は、あっさりと振り払われていた。その光景をただ見つめる事しかできず]
(247) 2011/02/15(Tue) 18時半頃
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[アヤカシに近づけないなら、せめて人に]
[夢幻でも、近付いていたかったのに]
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そんなんっ……アヤカシかて、無邪気に笑たり、 寂しがりだったりで、人とあんま変わら……な……?
[「同じように扱ってくれない」という華月斎の言葉(>>245)に、思わず言い返しかけ、自分の呟いた言葉に疑問を抱く。無邪気な笑い声?――誰?]
[りん]
[記憶の中の鈴の音。…ゆる、と頭を振る]
こ、怖ない、言うたら嘘んなるけどな! んでも、褒めてもらえたんは嬉しかったし、今でも嬉しい。本人さんに言って貰えたんやもん。
(251) 2011/02/15(Tue) 19時頃
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――… はは、俺が欲しいのは。
"俺"自身の価値だというのに。
[それを呉れるものだと、いうのに]
人の子を攫っても、"俺"は変わらない。
そうだろう、なあ――…?
[ならばいっそ、全てを忘れられればいいのに]
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春坊……
[家族を失った悔しさや悲しさ。それが伝わってくるから]
あ、あの。雪柳さん、元気なんやろ? それやったら、会わせてあげたりできひん……かなあ?
[おずおずと、藤之助に申し出て。]
(256) 2011/02/15(Tue) 19時頃
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[物悲しげな鈴の音。
りん、りん。
頭の中で、何かを思い出せというように響く。
りん。
きっとそれは、大切なことなのに。
――まだ、思い出せない]
人になりたいなんてなあ。
[人間からアヤカシに転じた自分には到底わからない話]
正しくは――… 人になりたい、わけじゃあないがな。
どちらかに、成りたいんだ。
[独りきりは、嫌だ]
成れないなら。
[独りきりだと感じないように、成りたい]
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そんなんできたん!?柳生さん、すごかってんな……
[まさか自分も、連れ戻された対象だったとは知らず、他人事のように感心して>>162]
[父母を失い、祖父母に引き取られた姉弟三人。どうしても家族と離れるのは嫌だったから、戻る事を願った。その時に、アヤカシの里の記憶は失われた。年を経たアヤカシや、飴を作ってみせたら無邪気に喜んでいたアヤカシの事も、もう、消えた記憶。
『ここは楽しいけど、俺もっと細工の腕あげたいし、姉ちゃん二人もおるの、守ったらなあかんねん。父ちゃんも母ちゃんもおらんから…だから、堪忍なあ』
『忘れてしまうんかなあ……でも、もし忘れてもきっと思い出すで』
帰る際、里を振り返って呟いたそれが、アヤカシたちに伝わったのか。 その事すら、覚えていない]
(269) 2011/02/15(Tue) 20時頃
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[ ――寂しい、 と 。
意識 をすれば するほどに
孤独は 深く なっていく]
その穴を埋めたいから
人の子を攫うんだ。
何故それがいけないのだ。
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一平太の力では無理なんか……
そんなら、アヤカシさんらの力で、雪柳さん、こっちに戻す事はできひんの…かな?
[華月斎と藤之助。両人を伺うように見て]
なあなあ、春坊、まだちっさいのに、可哀想やん? 兄ちゃんと会わせてあげてえな……
[人に見える藤之助と、友好そうな華月斎の態度に、もしかしたらいけるかも?と思って押してみる。]
(275) 2011/02/15(Tue) 20時半頃
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―― 穴 を 、 埋める ――
[藤乃助の言葉に、赤褐色の眸が、揺れる]
[男は、人の子を攫う事を、肯定も否定もしていなかった。
"神隠し"は、自分以外のアヤカシにとって必要な事のようだと薄ら感じていたし、
そも、"神隠し"事態に、男には興味を惹かれなかったのだ]
[人の子を連れ去る事に興味を持てなかったのは、男のアヤカシらしくない部分で、
興味が無い事には一切無頓着、それはアヤカシらしい男の一面だったのかもしれない]
[けれど]
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えー。それやったら…
[春坊が行くしかないやん、と口にしかけて、噤んだ。>>277
あるいはそれが、春松にとって幸せなのだろうか? だが、神隠しを実際に行える者たちの前で、不用意にそんな事を発言するのは憚られた]
(281) 2011/02/15(Tue) 20時半頃
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うぅ。
[藤之助の言葉は、不意に浮かんだ自分の考えが正解に近いのだと裏付けるように思えて、思わず呻いた>>282]
(285) 2011/02/15(Tue) 21時頃
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飴師 定吉は、メモを貼った。
2011/02/15(Tue) 21時頃
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そういう人間もおるんやろね。せやけど……
[少なくとも、春松は兄が居て幸せだったのではないか。 そう言いたくなるのを堪えて>>290]
へぁ?
[アヤカシ側へ行ってもいいという一平太と、焦る華月斎。込み入った話のようだからとほぼ聞いていなかった飴師は、急に華月斎が立ち上がったのを不思議そうに見た]
(294) 2011/02/15(Tue) 21時半頃
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飴師 定吉は、メモを貼った。
2011/02/15(Tue) 21時半頃
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[細かい事はわからなかったが、華月斎は、一平太を無理矢理連れていく気はないらしい。>>299 一平太もそれを受け入れたようだ。安心したように息をつくと]
食べられへんかもしれんけど、作るん、また見にきてなあ。 …やっぱり俺、アヤカシに好かれる腕なんやね、きっと。
[そう華月斎に告げる。完全に元通りというわけにはいかないが、それが精一杯の出来ること。軽く頭を下げると、去っていった春松の後を追って歩き出す]
(302) 2011/02/15(Tue) 22時頃
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[風は言葉を運ぶ。
人の子らの言葉も。藤之助や華月斎の言葉も]
……会って話をしたら、触れたくなる。
俺たちが持ちえない温もりを持つそれらを、知りたくなる。
[鳥居の上。
面を外したアヤカシはくるくるまわる風車を、冷たく見降ろしながら]
触れたいと思えば、欲しくなる。
人の子を己が手で、花の様に咲かせたくなるものだ。
[くるりくるり。
回る風車へ、そっと口接けを落として。
まるで憐れむように、
その赫い眸を縁取る長い睫毛を震わせた]
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[やがて春松の姿を見つけ、石段をじっと見ている彼を、遠くからしばらく見守っていた。希望をなくしてしまった人間に、どんな言葉をかけていいのかもわからず]
…くっそ。俺ほんま、話すんと飴作るくらいしかできひんやん。 ちーっとも役にたたへん。
[自らの無力さに、がしがしと、手ぬぐいを巻いた頭をかく。里でしばらく暮らした者は、アヤカシになってしまうらしい。 たった一人の肉親と暮らす為に人であるのをやめるのがいいのか、兄を忘れて生きていくのがいいのか。春松の幸せはどこにあるのだろう?]
……難儀やねえ。
[空を見ながら*呟いた*]
(305) 2011/02/15(Tue) 22時頃
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飴師 定吉は、メモを貼った。
2011/02/15(Tue) 22時半頃
触れたい…………相手に触れたい?
[今までそう思って人を攫っただろうか。
――否、ただ隙間が埋まればとそれだけで]
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