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[『わたしたちが、生き延びるための、方法が。』]
『…ケイト、ドロテアさんと先生の話、聞いてて。』
[音を介さず頭の中に響く声。
立ち去る間際の彼の目が
自分と彼の思考が繋がってしまっている。
それが『どういう』事なのか、少女にはもう分かってしまっていた。
時折脊椎を駆け上がって、強制的に介入する、他人の意識。
それがおそらく「雪鬼に憑かれる」という事なのだろう。
つい先刻まで夢だと思っていた全ては、おそらく曖昧になった記憶の断片で。
認めたくはないけれど、すべて、現実に起こった事なのだ。]
ねえ、……シメオン。
[その場を去った彼に、囁いてみる。届くのかどうかは分からない。
けれど、どうしても、どうしても、不安に思う事があった。
本当は駆け寄って、彼の瞳を見て確かめたい。けれど、そうすることが今の状況を悪くするのが分かっているから。]
あなたは、私の声を聞いてるあなたは、『シメオン』なのよね?
[私が知ってる、私を知ってる、あなたなのよね?
祈るような気持ちのその問いに、果たして答える声はあったのか。]**
【人】 お針子 ジリヤ[ふるふる、頭を振る。] (170) 2015/05/28(Thu) 20時頃 |
【人】 お針子 ジリヤ[ドロテアと一緒に用意したスープと茶を皆の居る場所へ運んで行く。 (172) 2015/05/28(Thu) 20時頃 |
【人】 お針子 ジリヤ[――が処刑されるのだけは、嫌。 (175) 2015/05/28(Thu) 21時頃 |
【人】 お針子 ジリヤ[例えば、もし。 (177) 2015/05/28(Thu) 21時頃 |
[ 殺さなければ。
脅迫概念のように頭に渦巻く一文字を打破する声があった。 ]
俺は、……俺だよ。
[大衆の前で言葉を浴びせながら、胸の内で囁く。
意図などしていないのに掠れた声色は自分の精神状態に影響しているのだろうか。分からない。]
………なぁ。
[ ケイト。
あれ程、馬が合わないと思っていた人物に呼びかける声は情けない。]
お腹が、……空いたんだ。
[何でだろう。
絶望に呟きは溶けていく。
やり切れなさの混ざった囁き。
虚栄心の合間に潜り込む思考は爪先から忍び寄り、嗤った。]
『 キミの聞いた“おはなし”を教えてよ。
今日は誰を仕合わせに仕立ててあげよう? 』*
【人】 お針子 ジリヤ[頭を振る、何を馬鹿な事を考えているんだ。 (183) 2015/05/28(Thu) 21時半頃 |
【人】 お針子 ジリヤ[「会って間もない人間の何が分かるっていうんだ。」というシメオンの言葉に静かに頷く。 (186) 2015/05/28(Thu) 21時半頃 |
【人】 お針子 ジリヤ[電話のコードが人為的に切られてたと言う。状況から言って、犯人…「雪鬼」の仕業で間違いないだろう。 (197) 2015/05/28(Thu) 22時半頃 |
『 ────みつけたわ、「あなた」。 』
【人】 お針子 ジリヤ[シメオンを見つめる透明に近いブルーの瞳に、切なげな光が瞬いて、揺れた。] (199) 2015/05/28(Thu) 22時半頃 |
【人】 お針子 ジリヤ……同じ様に、アランさんのことも。アランさんが人間だと言う、リーのことも信じたいの。 (200) 2015/05/28(Thu) 22時半頃 |
[ざらざらと思考のノイズがまた背後から忍び寄る。
能力者。邪魔者。
目の前の洗濯婦を見詰める視界が赤く染まってゆく。
最初の頃のように、割り込まれたという感覚は無かった。混じり合い、端から、溶け合っていく、感情。]
『 能力者は、ご婦人よ。
──でも、ね。小賢しい、せんせい。
コレも、生かしておいては、きっと邪魔だわ。 』
[とろとろと、蜜のような甘さで謳う声。
どうする?「あなた」の、望むまま。
けれど、ざらつく獣の感触は、ふいに聞こえた弱々しい声に一瞬で霧散した。
ケイト。名前を呼ばれる。お腹が、空いたんだ。
なんて悲しそうな、やり切れない声。
空気を震わすことなく伝わる筈の声なのに、少女の唇が戦慄く。シメオン。]
(……私は、お姫様なんかになりたいんじゃ、ない。)
[彼には伝えない言葉と、決意。]
あなたは、どう思う?
真実に一番近い誰かに──今夜、『会いに』いきましょう。
[それが、彼女の意思で吐かれた言葉だと知るのは彼女だけ。]*
【人】 お針子 ジリヤ[気が狂れた人間、という単語が耳に引っ掛かる。 (207) 2015/05/28(Thu) 23時頃 |
[ そう。
“何も知らないふり”をしている。 ]
【人】 お針子 ジリヤ[耐えられずに目を伏せる。 (214) 2015/05/28(Thu) 23時頃 |
【人】 お針子 ジリヤ[シメオンの星もまた遠いところへあるんだろう。 (223) 2015/05/28(Thu) 23時半頃 |
[ 唐突に紛れ込む声はもうすっかりと耳に馴染んでいた。
周囲の喧騒が何処か遠くに聞こえる。
脳に直接語りかける音に瞬きをやめた。]
『 …そう。「先生」……? 』
あの人は“昔から勘が鋭いから”。
[ どうしようか。
「キミ」の望むままではあるけれど、その情報を知り得るのは、婦人が能力者だと知るのは、当人と先生と───キミだ。]
『 本物かどうかは分からないけれど、肌に触れただけで人かどうか見極めることのできる男もいいんじゃないかな。 』
[大衆の前で公言した男だ。
その分、失敗するリスクもかね揃えてはいるけれど。
意識がしっかりと附着する間際まで、鬼は嗤っていた。]
[憔悴仕切った声は弱々しい。
誰かを疑うばかりで、変に視線を集めてしまっただけに思える。
このままなら、遅かれ早かれ命を落とすのは、]
………情けないな。
[ケイトの反応に薄ら笑い。
地につく足は冷えてきている。
緊張によるものなのか、それとも雪鬼としての能力によるものなのかは分からなくなってきている。 ]
………『 先生にご挨拶に行こうか。 』
[答えてから、息が詰まったことを自覚した。]
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