16 『Honey come come! II』
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→はうっすらと見えていてもだってケイトに一目ぼれしたんだ。
他の女子に食指が動かなかったと言うか。
完璧に玉砕するまで諦めきれるかーとか。
そういう意味では本来中身狙いだったホリーにもごめんとか
うっかり一直線になりすぎてすいませんでしたとか。
むしろいろんな意味で墓下が本番だとか。修羅場とか。
だからさっさと墓にいきたかったはずなのになんで難攻不落そうな相手を
見初めてしまったのかとか。
休みで昼前に誰も居なかったから別作業してたらいつの間にか会話が進んで
終わってたとか悔しい思いをしたとかー。
うん。いろいろごめんなさい
明日は休みだから遠慮なく混ざらせてもらいます。*ガールズトークに*
[姉3人を持つ末っ子として生まれ、家族からも周りからも、ずっと「女の子みたいで可愛い」と言われて育った。
成長するにつれて、男らしさへの憧れが芽生えると、「女の子みたい」という言葉への不満は生まれたが。
そうなっても猶、なぜか中性的な服装や髪形を、きっぱりと止めることができなかった。厭がっているような素振りを見せながらも、なぜか断ち切ることのできない自分]
(……まぁ、ようするに、怖かったんだよね)
[今ならわかる。「女の子みたい」という評価が不服でも、それでもそのポジションに収まることで得られる好意は嬉しかったのだ。それは自分への「好意」に違いはないから。
だから。「女の子みたい」というポジションを捨てることが怖かった。それを捨ててしまえば、自分にどれだけの価値が残るのか、わからなかったから]
[フィリップに「それほど嫌がってないんじゃない?」と言われて、あんなに気分を害したのもそういう理由だった。見透かされて、馬鹿にされたような気がしたから。……馬鹿にした、ってのは明らかな被害妄想だけれども]
(女の子みたい、と言われることに不平を言っておきながら。
結局、そのポジションにいることで得られる好意に胡坐をかいていた。
俺は男だ、なんて主張しておきながら、そう変わろうとしないのはカッコ悪いよね)
[だからもう、そういう中途半端は昨日でおしまい。
もう、不特定多数に媚を売る必要はないんだ。好きな子に、好きって言ってもらえたから]
(まぁ、女っぽい外見が、何かのきっかけになれたとしたら、少しは感謝かな)
[そんなことが思えるくらい、今はもう、平気]
[――その人は、近所に住む大学生だったと思う]
[もう記憶も曖昧で、顔も覚えてはいないのだけれど。
とても優しい人で、一緒に遊ぶ兄はあまりその人を好いていなかったみたいだけれど、私は懐いていた]
[でもある日、兄が居なかった時の事。
とても怖かった事しか覚えていないけれど――彼が『男』として私に接触しようとして]
[寸での所で助けてくれた兄と、二人で抱き合って泣いた]
[だから『女』として見られるのは嫌で、化粧もしないしスカートも穿かない。
同級生に揶揄られる事もある発育不順な肢体も、寧ろ都合が良いと考えている面もあって]
[いざこういう事になってみると、どうして良いのか分からない]
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