人狼議事


240 なんかさ、全員が左を目指す村

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[開いたのは情人眠るダルヴァザではなく、
黄泉比良坂だったらしく。
咄嗟に逸らした視線の先の肌色は、ひとつは遠戚の物で。]


 …………よぅ、励んでるか。


               すまんな、部屋を間違えた。


[再び繰り返される、天丼行為。
親子丼を食わされないだけマシだと解釈してくれればいいが。*]


[バレリーナも裸足で逃げる華麗なバックステップをかまし、
閉めた扉に書かれている名前を凝視して。
何故、名前が書かれているのに間違えたのかと自問自答。

気が緩み過ぎだと眉間の皺を親指と人差し指で伸ばし、
溜め息を吐き、ぺたぺたとリビングを闊歩。改めて扉を開き。]


 ………………………。


[無言で閉じた。そう、また間違えたのである。
Danrick Duncan Dantalian.
悪魔の名を持つ男は齢34にして、方向音痴を自覚した。*]


[最終的に、自室であることを38回確認し、
吾郎の名前を同じ回数指でなぞってから部屋へと入った。

苦労の甲斐あって、ようやく戻れた楽園。]

 吾郎、飲み物を貰ってきた。
 存外旨いぞ、お前も呑むと良い。

[渇いた喉を潤そうとコップのドリンクを一口飲み、
口に含んだネクターXを甲斐甲斐しく吾郎に運ぶ。


結果、潤した筈の喉の渇きを更に加速させ、
引っ掻き傷やらを増やし、ベッドに沈む屍が一体追加。
――― 風呂場で体を清めてやるのはもう少し、先らしい。*]



 …ころ、す気か…っ

[この状況を、初夜と呼ぶなら浪漫のあるものかもしれないが
身体を投げ出した彼の胸板の上、ゼ、ハ、と吐く息に混じって吐いた言葉は浪漫の欠片もなかった。

確かに丁重には扱われたのだろう。
一度一度の行為に関しては。
事実、痛みや苦しみは最初だけであったと思う。
それでも相当に暴れたせいで、相手の身体には噛み痕やら爪痕を刻む結果になったが。

相手は9つも年上。
一度抜いてやれば大人しくなるに違いないなどと考えていたオレは相当に浅はかだったと身をもって知った。

腹に熱が吐き出され、自身も慾を吐き出す度、
もう無理だと、これ以上したら死ぬと訴えて、
結局それでもあやす様にその指や唇が落ちてくれば赦してしまうのだから
彼奴の言ったとおり、俺は他者に、

   いや、彼に甘いのだ。]


 …はっ、何が正解だったかは知らんが、孕みたいのなら叶えてやってもいいぞ?

[と、大口を叩いては見るが、さんざ組み敷かれた力の抜けた身体を彼の上に預けて退かない時点で、
その正解とやらを否定する説得力はなかったのだが。]

 いや、回数重ねすぎなくらいだぞ何を言っているんだ貴様、……ふっ、ぁ
 …っ、思っていたが貴様の冗句はいちいち品がないぞ。

[汚れた大人の社交界とやらはそういうものなのかと
悪態を吐くのは腹に溜め込まれた子種をノックする指に対する抗議だ。

甘い桃色の粘性のドリンクとは違い、苦いと思った胎内を満たしているそれは、
余程、あの毒よりも全身に、神経に回る毒。
 
悪戯にその毒が注がれた入り口を滑る指に小さく跳ねる身体が悔しいから、
その肩口に噛み痕を増やして抗議を重ねた。]


 だから、品のない冗句はやめろ。
 分かったとしても言わんからな、絶対。

[これだけ出されたのだからどれかは着床でもなんでもしてるのではないか、と
恨みがましく言って、重なる下肢にまた過敏に反応する自身を治めながら
その胸板の上、少し身を乗り出して]

 …検査薬はいらん、その代わり忠実な従僕に風呂を所望しよう。
 落としたりするなよ?クリス。

[何度も呼ばされたおかげで染み付いたその呼び名を呼び、
しかし滲む若干の照れを誤魔化すように高い鼻先に甘く噛む様な口付けを落とした。*]


[―――瞬間、扉の開く音がした。]

 ―――…コロス。

[あの男は確かいつぞやに世話になった喫茶店の店主だったが、そのような恩義は捨てる。

今度あの店に行くことがあれば
メニューの上から下まで全て献上させなければ割に合わない、と、
店の扉に赤ペンキで魔方陣を施すような仕返しをしようと考えない分、
オレも随分と丸くなったものである。*]



 ――――……、

[無茶をした心算はあるが、無理をさせた心算は無い。
目の前で息を切らす男の方が負荷が大きいとはいえ、
暴れる度に身体を止め、落ち着いて焦れるまで体温を分けた。
腕に刻まれた歯形も、背中の爪痕も、勲章の区分で良い。

だが、それでも彼は死にかけた。

奥ばかりを捏ねて慣らしたにも関わらず、
射精管理もせずに好きなだけ精を吐かせたにも関わらず。

嫌だ無理だと唱えられても、止めろとは聞かなかったのだから、
自身の選択は間違いでは無かった筈だ。

故に、今、彼がこうして憤っているのは―――…、]


 君、耳年増なだけで、性経験は少ないだろう。

[脳内で誰を何度犯したかしれないが
指摘は彼の幼気な心をばっさりと袈裟懸け一刀両断。
ただの2ラウンド付き合っただけで白旗降参とは。

存外体力を使う身である政治家は、品性を問う声聞き流し、
視線を天井に向けて思案を彷徨わせる。
体力枯渇の原因を考えれば、夜更かし偏食貧窮と即座に並ぶ。
実際どのような生活を送っているかは知れないが、
外れているなら、二十代の若きで音を上げはしないだろう。]

 足りない訳ではないが、過剰な負荷を掛けたい訳ではない。
 もう少し、体重を増やし、体力を付けたまえ。
 これから腹にもう一人抱えることになる。
 ……即ち、それも高貴なる義務だ。キルロイくん。

[上からの命令は、聞きようによっては伴侶面。
彼の好むだろう単語を用いても、
さらりと混ぜられた再戦の示唆は隠せていない。]



 今の仕事が合わないなら、アルバイトを半分に減らし、
 私の処で働きなさい。理解のある職場だ。

[実質、理解は過ぎるほどある。
何せ、彼の先輩にあたる男は二部屋隣で悪魔と懇ろだ。
己が改宗したように、部下も悪魔崇拝へと乗り換えているなら、
腹をさすり合う違和を、分かつ事も出来るだろう。

己が下す全ての結論が、手元に彼を置いておくと云う、
やや大人げない結果に至ったとしても、然したる問題はない。

多少の甘えを覚え始めた彼を撫でてから寝台を降り、
ローブに腕を通すと時を置かずに、両腕を彼へと差し出した。]

 では、実際に胎児卵が出来たか突いてみるか。
 ―――…そう、睥睨するな。冗句ではないから良いだろう?

[悪びれぬ態度と捻くれた口。
鼻先に落ちる口唇を下から掬い、奪う癖の悪さも折り紙付き。] 


[僅かに滲む彼の羞恥に、僅か口角を持ち上げ掛け、
――――― 鍵のない扉がオープン・セサミ。
努力だけではない方向音痴ぶりを見せつけて、
神判の門を易々開く悪魔の血族。

流石に喉奥に呼気を詰めるが、揶揄めく一言を聞き逃さない。]

 ――― ダンリック、
 ダンリック・ダンカン・ダンタリアン。

[途絶えてしまった血族の、顔は知らずとも名は知っている。
Cに並んだDの末裔、血に重きを置くなら該当を絞るのは易い。]

 ………子が出来たら、教えたまえ。
 只野くんは私の部下だ、出産祝いくらい贈ろう。

[即座に閉まる扉の隙間を縫って背に届く声。
呪詛を吐いた彼に反して己が示したのは寛容。
彼の体躯を事も無げに横抱きに抱えながら、
疑問の色が飛んで来れば、軽く首を振って他愛無く口を開く。]




 ―――…君と同じで、子供まで友人が少ないのは難がある。


[静かに告げる言葉は、彼に根差した発露。

或いは、曽祖父から繰り返し言い聞かされてきたDへの懐古。
彼とは友だったのだ、と懐かしんで漏らした語を覚えている。

そっと彼の体温抱き寄せるまま、熱を交わすままに。
神の門を抜け出し、サバトに背を向け、湯殿へと。**]


[尚も強情を張るのは予想の範囲内。
けれど、組み敷いた身体は着実に抱かれることで与えられる快楽を、思い出しつつあるのは明白だ。
悪態を途切れさせ形を成さなくなっていくその声は、己の雄を煽る意味しかないというのに。

吸い上げる先端から溢れた蜜を啜り、弾ける手前で根元を圧迫して荒れる快楽の出口を阻めば。
悶え仰け反る首筋に、薄ら残した痕が視界の端をちらついた。

口を塞ぐ、その手が邪魔だ。
先端から血管の筋を辿るように根元へと舌を這わせ、小刻みに震える内腿に歯を立てた。
普段露わになることのない柔肌へ首筋より濃い痕を残すことで、今は我慢する。]


[急所をおさえられ、苦しみ悶える彼へ甘く囁きながら。
強情な口から一言を得られるならば、今なら悪魔だろうとなんだろうと身を売ってもいいとさえ思う。
普段は放っておいても蜜に群がる蟻のようにあちらから寄ってくるのに。言葉一つままならず、執着して振り回される己は、酷く滑稽かもしれなくとも。

迷う彼の答えを促すように。
濡れ細った先端と同じもので湿った唇を歪め、ちゅ、と期待で雫を溢れさせる先端へリップ音を贈る。]

 ほんとうに、欲しいのはそれでいいのかい。
 身体の方はそう言ってないみたいだけど。

[苦みを含んだその味を舌先で塗り広げながら、太腿を撫ぜ。
つけた痕をなぞり、指先の向かう先は前からの滴りで湿る窄まりへと。
彼の脳裏に描かれているだろう、抱かれて達する甘い妄想を、刺激するように。くに、とまだ硬いそこを押し上げよう。]

 じゃあ、聞き方を変えようか。
 理津、ここに僕が欲しいって言って?

[もう一度。
戦慄くその唇から、答えをねだろうと。]


[それでも屈しない声と笑みには称賛を送ろう。
とはいえ、こちらも折れる気はなく。
更に言葉を連ねようとした矢先、シャツを掴み上げられ、噛み付くような口付けに目を大きく見開いた。]

 ───…ッ
 なにを……んぅ、 り、……つ  っは、

[捻じ込まれる舌に、間近に迫った彼の歪んだ顔。
反射的に頭を引こうとしても、シャツを掴む手がそれを許さず。強引に割り入ってきた軟体に絡めとられ、必死の口付けが胸を焦がし下腹を熱くする。
まるで見越したように、下肢へ伸ばされた手に腰がぴくりと跳ねた。]



 ……当然だよ。
 乱れる理津の姿を見て、勃たないはずがないじゃないか。

 言っただろう。
 今すぐにでも君を抱き締めて貫いて、滅茶苦茶にしたい。

[布地越しに猛る雄を握られ、小さく息を呑む。
懸命に平静を装いながらも扱く動きに合わせて、手に擦りつけるように腰が揺れるのは止められない。

シーツの上で乱れる彼の痴態に散々煽られ。限界が近いのは、己も同じこと。
彼の器用な指の動きだけで達するなんてことをしないように、眉根を寄せて堪えながら。]


[荒い呼吸を混ぜ合う口付けが途切れた瞬間。
聞こえてきた声に、瞬きを忘れた。

 ………り、つ?

[笑む顔と裏腹に、シャツを握り締める指先が震えているのがわかる。
お願いするなら、あげてもいい。
そう聞こえるのは都合のいい耳の、幻聴だろうか。

違う、と言われても。もう遅い。

白くなるほど握りこまれた手を包み込むように、掌を重ねる。
きっと今。己は他の誰にも見せたことのない、だらしなく緩んだ顔をしているに違いない。]


 ────理津が、欲しい。


[シャツに絡まる指を解かせ、顔の前へと持ってくる。
中指についた痛々しい歯型に目を細め。紫に変色したそこへ、唇を押しあてて。
瞼を伏せれば、誓うように言葉を重ねた。]

 理津の全部を、抱き締めたい。愛したい。
 ……だから理津を、僕にちょうだい。

[そうして、ゆっくりと上げた瞼。
彼を射抜くように見つめるのは欲情した雄の目。

ムードも何もない、即物的な懇願。
触れたい、抱きたい、愛したい。
彼の中に今まで刻まれた、他の誰かの気配なんて思い出せないくらい。彼の全てを、己だけものに。

一回り細いその身体に腕を回せば、愛おしさが募るまま。
背が撓むほど強く抱き締めた。]**


[全く同じことを思っていると言うのに、俺と彼とじゃ説得力が違うと言うのだろうか。
俺だってダンとの子供が欲しい、ダンを孕ませたいと思っていたのに。

そして、さらりとまた嬉しい事を告げるダンはやはりズルい。
もう何でもよくなってしまう様に肩の上で項垂れる。]

 ……当たり前だろ、じゃなきゃ抱かせてやらねぇよ。

[耳許に聞こえる‘‘好きだ’’と言う台詞。
今きっと茹蛸みたいに耳まで真っ赤なのだろう。

此方の様子を愉しむように見つめてくる視線が、
また憎たらしくて、でも嫌いじゃないから困ったものだ。
最後の最後まで餓鬼扱いをする男を何故か憎めない。]


 必死になってるダンが是非見たいものだがな。
 …別に愚か者なんて思わけないさ、ズルい奴には違いないけど。

[引き寄せられる腰に今度は逆らうことなく。
唇が離されたあとでも鼻先の柔らかい感触に擽ったさで目を細めて。
若干自分が高い身長差にも拘わらず、彼の方が大きい気がしたのは何故だっただろう。]

 ――…ディー?

[彼の口から告げられる名は、ダンではなくディー。
愛称なのか、それを教えられたことが何故か擽ったく嬉しい。

潤う唇は何故か甘い気がした。]


[つい数時間前は抱くつもりで此処へやってきて、
自分の相手がまさかのおっさんに驚愕して、
何故か抱く抱く合戦を勃発させ、
数分前までは意地でも譲らなかったのに。

その言葉に惑わされ、その身体に魅了され、
その囁きに毒され、その声に酔いしれた。

誰にも抱かれたことない身体を、彼にならと思ってしまった。
少し困ったように眉を下げながら微笑した。*]


[そんな甘い甘い雰囲気の中。
彼の声は俺の名を呼ぶ、何度も何度も。]

 ッ――…、 まぁディーに言われるならいいか 、

[その言葉の先はもう喋る事を許されず、
口から出るのは彼を求める言葉。
拓かれたことの無い身体を無造作に暴く男は、何処までも貪欲でズルい男。

此方が啼き喚くまで止まる事もなく、彼の名を何度も呼ぶ。
決して女みたいな嬌声は吐き捨てられない。

既に遠慮なんて言葉と、初めてだから優しくなんて言葉はいったい何処に行ったのだろう。
その身体は羞恥に侵食され、強く求められる。

離さないで、と絡む指を確りと握り。
欲塗れの身体はそれでもお互い様だっただろう。

俺の身体はいったい大丈夫なのだろうか。
快感の狭間で、そんな事を考えるぐらいには愛に溺れている。**]


[此処に集まった連中の中で回数は一番張れる自信はある。
そう思っていた時期がオレにもありました。
しかしそれは単純な吐精の回数であり
初めての且つ予定外の経験で死にそうになるのは仕方のないことではなかろうか。

確かに止めろとは言わなかった
最中に何度ももう無理だ死ぬと思ったのは事実だが、
口で言うほど嫌がってもいなかったということは絶対に言わないでおこう。]

 経験人数を貴様に明かすつもりもないが
 抱かれるのはシミュレーションすらしたことがない。
 
 …少ないも何もないであろ。

[相手の物言いに一瞬青筋が立つのを抑えて
自分の内では真っ当で論理的な答えを返す。

口淫をした際に彼奴のせいでイメージ的なものは
不覚にもしてしまったわけだが
あれはシミュレーションしたわけではない、ノーカンだ。]


 貴様はオレの母ちゃんか。
 まあ、これからは多少健康的な生活というのも気にはするが。

[夫面するなと思ったものの若干気恥ずかしいので
母親気取りかと言ってみたが実際母親になるのはオレである。
それを結果意識することになるはめになったと内心で歯噛みする。

腹にある違和が初めての経験のせいであるのか
それこそ着床とやらをしているのかはわからず。
まだあまり実感もないのだが。]


 今の仕事が合わないわけではないが
 健康的な生活には遠いかもしれんな。

 オレの崇高な思想を理解する職場など
 地の果てまで探してもないとは思うが、まあいい。
 腐敗した大人の裏社会の現場を見に行ってやらんこともない。

[この男が普段何をしているのか知らんが
おそらく爛れた生活を送っているに違いないからな。
見張っておいて損はないかもしれない。

というこの発想が非常に女々しいのでそれも口にはすまい。]


[体力に自信があるならば酷使してやっても問題なかろうと
浴場に運ぶという大義を与えてやったわけだが
忠実な従僕らしく本当に実行するらしい。

差し出された両腕に一瞬惑う。
浴場へ向かう際、その状態を此処にいる連中、特に隣人、
に見られたら死ねる、と暫し逡巡しながらローブを羽織り、
しかし彼奴から仕事を取り上げるのも悪い品とその腕を取り
悪びれもなく告げられた言葉に]

 っ、冗句でなければ良いとは言ってない。

[変態め、とボソリと言って怒りのためでなく染まった頬を隠すように顔を背けた。

その羞恥が顔に出ることも素直に甘えたような素振りを見せるのも葛藤の末である。
その現場を目撃しようが何も思わないかもしれないが
個人的に非常に恥ずかしいのは事実であり
突然の乱入者に呪詛を吐こうがオレは悪くない。]


[しかしこの男は乱入者に対して随分と寛容なようだ。
そういえば此処に来たばかりの時もあいつとは会話していたな。
知り合いなのかだろうか。]

 どういう意味だ。
 オレとて友人の一人や二人…
 まあ、子に関しては多少選ばれし者のハードルを下げても良いかもしれないな。

[首に腕を回して、近づいた顔の何か物思うような表情の意はオレにはわからない。

ご立派な血統とやらにいろいろと複雑な事情があるらしいことも
よくはわかっていないが、そのうちわかるだろう。
そんな風に考えてしまう時点で思考が嫁入りのそれであることには目を逸らしつつ、風呂場へ向かう際に誰にも鉢合わせないことを祈った。*]


[正面からぶつけられる「滅茶苦茶にしたい」という言葉に、心臓の辺りがぎゅっと収縮する。
ときめいた、とか。
そんな乙女チックな感情じゃないと自分自身に言い訳をしながら。
劣情の灯る瞳に、心臓へ杭を打ち込まれたのは確かで…。

布越しに触れる手へ熱い昂ぶりを擦りつけるシュウロの仕草が、否応なく注挿の動きをイメージさせる。

反射的に引きそうになる手をぐっとこらえて。
シュウロの咥内から奪い取った唾液を苦い味ごとごくりと飲みこんだ。

今、ここで…
目を反らせば、手を引けば。
完全に、負ける気がした。]


[それでも濃厚な負けの色に、素直に敗北を認めるのは悔しくて。
荒っぽい口付けの最中に導き出した妥協点は、あくまでシュウロの懇願を強請るもの。

抱く立場は譲っても、精神的な優位は譲らないと。]

 ほら。
 お願い…、してみてよ。

[男としての意地を込めた挑発は、シュウロの顔に蕩ける様な笑みを浮かべさせた。

それが、最大値まで引き下げた妥協点で得た戦利品だ。
女にも男にも、引く手数多そうな外見のシュウロが浮かべた、このだらしなく緩んだ笑みが。

これがせめて、自分だけのものであればという欲は脇にどけて。

試合には負けたが、勝負に勝ったのだから。
それでいいだろうと自分を納得させる。]


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