44 【game〜ドコカノ町】
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[64というゲームに関するやり取りには、何も口を挟まなかった]
[床彼商事の床の上。
見慣れぬアイコンが目に付いた]
…ん、あれー?
ナンだろう、これ。
[触るか触らまいか。迷った末に指先で触れた**]
ヤニク様であってヤニク様でない。
『リュヌド』様……その時のお名前はそう仰るのですか。
どこか、水面の影のような響きに聞こえます。
[「水の月」という名前を呼ばれて、ぴーぃと口笛を鳴らした]
うん、もう一回言って。呼んで。
[「水の月」という名前を呼ばれて、ぴーぃと口笛を鳴らした]
うん、もう一回言って。呼んで。
[名を呼ぶ事を願われるも、答えを返せず。弱くかぶりを振る]
……はい。 ――
[息を整える間は長い。]
リュヌド様は、『ぷれぜんと』の事は……?
[彼に叶えたい事柄があるならば、
『ぷれぜんと』の持ち主が解っているのは好機に思えるが]
[はい、というのは了承ではなかったのか。
ただ待つだけの時間はひどく退屈で]
あー
[リュムド様、と。ようやく名前を呼ばれて。
「嫌だったんだ。じゃあなんで良い返事をしたの?」そぅ、乱暴に投げかけようとした言葉を飲み込む]
…あぁ、俺は持ってないよー?
俺にはくれなかったの…。
酷いよね。
[痛みは、消えた。次の答えに淀みはなくなる]
くれなかった……そうでしたか。何故なのでしょう?
ああ、ですが。
これを持っていると、リュヌド様も狙われてしまいます。
寧ろ、お持ちでなくて良かったのかも知れません。
[ね? と首を傾ぐように言い含めてから、
声の調子が少し変わった印象を、気遣わしげに問うた]
……私は何か、お気に障る事を申し上げましたか?
[不機嫌そうな声で、返す]
そぅ? 狙われてしまうの?
本当に、良かったのかなぁ…。
あ、でも安心してね。
俺は奪うつもりなんてないし。ヤニクにも言いきかせておくから!
志乃ちゃんは、何も…言ってないよ。
うん。
ただ、すぐに呼んでくれなかったから…。
[返ってこない応えに対しても、頬を膨れていたのだ**]
狙われる、と思います。ここを出たいと思われる限りは。
[一人しか出られないと言われた時の周囲の動揺ぶりは、
皆がプレゼントの持ち主探しに躍起になる可能性を示した]
ですが、リュヌド様達とは戦わずに済むのでしたら、
安心しました。
すぐ呼ばなかった? ……ああ、申し訳ありません。
もう大丈夫です。
[不機嫌な相手を宥めようと、そう言う。]
ゲームだよ。
これは、ゲームだ。ゲームなんだ。
あいつは魂のないモブにすぎないし、これは悪趣味なイベントだ。
ゲームだ、これはゲームだ。
[呆然としていた間に囁き交わされた、
こちらのパーティの発言履歴を文字化して表示する]
残り一人はカミジャーか。
[彼(?)の、口調が変わった後の不安定さが気にかかる]
……そうか。
別に、ドロップ品なら負けなければ渡さないでいいんじゃないの。
それより、カミジャー、大丈夫か。
リュヌドね、リュヌド。
[告げられた名前は呼んでみた。HNだろうかと思う]
[そこから先のやりとりは、ただ聞いているにはとても艶めいて見えたから。
こちらが忙しかったのもあり、しばらく黙っていた]
―― ドコカノ商事 ――
[レティーシャの前に割り込んだ。
検索画面で、相手がヤニクだということは分かっていた。
けれど、表立ってはパーティを組んでいないことだし、戦闘態勢は見せていて]
リュヌド、お邪魔さま。
[もちろん、即攻撃する気はなかった]
[耳に流れる煩い雑音を飛び越すように、
脳裏には明瞭に低い声が届く]
……?
[これは『ゲーム』、皆が言うからそう言うものだろう。
『悪趣味』、それも振り返って同意出来た。
今仲間でも、プレゼントを奪い合うならいつかは敵だ。
繰り返し言い聞かせるのは、何故だろう]
――、……ゲームでなかったら、どうなるのですか?
[声音は素朴だ。]
斧を振るって倒した相手が消えるのも
どんなに仲間として手を組んでも本質的には敵なのも
俺たちが理不尽に狙われる状態になっているのも
生き残れる可能性がとても低いのも
―――リアルに、なる
それは。
[俄かに声が震えた。
『君の居場所は、このセカイ』]
『ゲーム』は『現実』ではないと、……
[皆ここを出たがっている。
このセカイの別に『現実』があるとして。
あるとして、この己は何なのか。]
………
[何かを言おうとして、でも言えなかった]
―― 分からない
それならそれで。
……困ったものなのですが。
[居場所を護る、その事を思えば。
言い聞かせる声は今も尚]
ドナルド様には、このセカイでない『リアル』が必要でしょうか?
[まあ、『プレゼント』の在りかは既に知れているのだが。]
……もし。もしもの話、です。
私が先に負けて『ぷれぜんと』を奪われそうになったなら、
その時、その半分を……
貴方がたに、お預けしても構いませんか?
[掌中の『プレゼント』は、綺麗に分かれそうなかたち。
そしてその半分は、多分『パーティ』にとって、
"使える"ものの筈だと思った。]
構いません。
[応えは淀みなく。]
……きっと私には、ここを出た所で、
ゆくべき場所など、ありはしないのです。
[過ぎる、志乃の形跡のない家の光景も。
胸の空虚が元々は何だったのかも、もう解らなくなっている。]
分かった。
[しばらく迷ったように間が開いて]
こちらも、もし、の話だけれど。
もし、志乃がすべてのプレゼントを集められたら、何を頼む?
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