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[あたしの死後、うちの冷房はフル稼働だった。
夏だから、温度をできるだけ下げていた。]
[そしてあたしが、振り返って、
颯成の手をとろうとしたことも]
[夏休みが始まったら?
どんなにあたしの死を両親が
恥ずかしがって隠そうとしたとして。
学校からあたしが突然いなくなることになれば
どんな言い訳も嘘も、きっと罷り通るまい。
きっと、誰しもに明らかになることだった。
あたしが死んだら…………]
[あのひとはこれから先いつかきっと
誰かにとられてしまう。
あたしが想いを一言も伝えられもしないうちに。**]
[まあ電波障害で納得出来ているのなら別にそれでいいのだけれど。
ずっとそれで説明付く筈無いよね。
己の内で渦巻く何かがゴウゴウと音を立てて燃え盛っている。
肉なんだか神経なんだか、それとも骨か。
焼き切れる痛みに包まれているようでいて、その奥から溶け出す浮遊感に浸かっているようでもあって。
己の頭の後ろからまた別の己がこの世界を覗いているようだ。
───誰がどの程度この事態に気付いているのだろうか。
気付いて、どんな風に思うのだろうか、と。]
じゃあいいか、ってならないかな。
皆一緒に此処にいようよ。
[ベストを掴んだ自分の手を見下ろす。桜色の爪、子供っぽくて小さいけど、それなりに形の良い指。
夏色に少し日焼けした肌。
焼け爛れて崩れ落ちたあの手には見えない。
嗚呼、このまま。このままがいい───誰も邪魔しないで]
わっかんない……
[無意識に漏れたつぶやきが、どこに届くかなんて考える余裕もない。]
[昨日食べた串焼きの屋台の前で、「わっかんない」という颯成のつぶやきをきいた気がした。]
……颯成?
[近くまで来ているのだろうか。]
― 八月の回想(1) ―
お母さん、なんか頭痛いんだけど……
[あたしは、あたまがずきずきずきずきずっと痛くて。
なんだかわからないけど、手がしびれてるような感じもあって。でもそれは錯覚かも。
心配しすぎかもしれないけど、でも頭がいたくて。
その時家にいたお母さんに相談してみたんだ。
けど、あたし頭痛がそれなりに多いほうだから、またあ?なんて感じで、薬のむ?ガマンする?といわれて、あたしは、ああ、そうか、『あたしのこらえ性がないだけだ』と判断して、我慢を選んだ。**]
――え?
[名前を呼ばれた気がして、立ち止まる。
きょろきょろと辺りを見回しても、声の主が誰かはすぐにはわからない。]
[あたしは、あたまが痛かった影響か、なんだかわからないけど、とにかく、人との距離を聞き分けるのが難しかった。
あたしは、みんながあたしを生きているものと扱うから、あたしが生きていると思い
あたしは、あたしは確かに死んだという気が縺励※縺?k縺九i縲√≠縺溘@縺梧ュサ繧薙□縺ィ諤昴>
とにかく、『昨日お祭りに一緒に行った』とあたしが思い込んでいるはずの颯成の姿でも見て、今日が9月1日と、まずは確かめることから――]
鬚ッ謌! 鬚ッ謌ー?
[自分の声が妙にボヤける。水の中に入っているみたいだ。]
颯成ー!
[あたしは、颯成の名前をよんでいる。
声が、出ているかどうかの判断がつかなくて、「いまはもしかして声なんて出てなかったん縺倥c縺ェ縺?°」と思ったから、二度三度とよんでみているまるで夢のなかにいるみたいだおきているのかねているのかわからないけれどあたしはたしかにここに居る
エアコンの効いた我が家に、「たった一人きてくれた」のは誰だったろう。(
あたしはあたしがはずかしいとおもわれているだけなのがこわくて誰か知っているひとをとおもっていたけれど叶ったんだっけ叶わ縺ェ縺九▲縺溘s縺?縺」縺
昨日掴んだ手のひらの柔らかさをおもいだす。]
[声が聞こえる気がするんだけど、うまく聞こえない。
誰かが読んでる気がするんだけど、誰だかわからない。
それが言葉なのかもわかんない。モゴモゴ言ってて、外国語ともどうも違う感じの、くぐもった音。
そのくせ、『颯成』って呼ぶ声だけは、はっきりと聞こえた
2回めの9月1日と合わせて、本当にとうとうおかしくなったみたいだ。]
ああ、もうっ!
誰なんだよぉ!!
[頭をぐしゃぐしゃに掻きむしりながら、癇癪任せに叫んだ。]
[犬がおこって蜷?縺医k荳?豁ゥ謇句燕縺ョ繧医≧縺ェ荳肴ゥ溷ォ後◎縺?↑讒伜ュ舌↓鬩壹>縺ヲ縲√≠縺溘@縺ッ縺吶%縺礼岼繧貞、ァ縺阪¥縺励※縺?◆縲ゅ↑繧薙□窶ヲ窶ヲ?溘??2縲?遘偵⊇縺ゥ縺ョ髢薙r縺ィ縺」縺溘?]
縺?s。お蟋峨■繧?s縺?縺代←。
今からお祭いくの?譌ゥ縺??。
[逅?罰縺ッ縺ゅl縲∽サ翫@縺後◆蜃コ縺ヲ縺阪◆縺ー縺九j縺ョ縺ゅ◆縺励′險?縺医◆縺薙→縺ァ縺ッ縺ェ縺?¢縺ゥ窶ヲ窶ヲ螯吶↓鬘斐′縺薙o縺ー縺」縺ヲ縺?k縲ゅ@繧?≧縺後↑縺??ゆサ頑律繧、繝∵$繧峨¥貊醍ィス縺ァ縺ゅm縺笑い話でもしてやるか。]
聞いてよ。
あたし莉頑律蟄ヲ校陦後¥譌・縺九→縺翫bっててさー……
[喋るたび、水のなかでしゃべってるみたいでなんだかおかしい。耳がおかしいのかな……プールで水が耳に入った時のように、あたしは少し耳を気にした。]
[それは、無意識に出た音だった。]
ひ、
[恐怖と混乱が行き過ぎて、喉が引きつれるような音。]
[そうやって笑っていても、頭の中はめちゃくちゃだ。
さっきの気持ち悪い声がする。
くぐもった、言葉なのかもわかんない音が、レイ姉のしゃべった言葉に重なるみたいに、二重に聞こえる。]
なん、何なんだよぉ、これ……!
やだ……
[振り払うみたいに頭を左右に振っても、消えてくれそうにはない。
耳、耳だ、そう、耳を塞ぐ?
いやでも、話してる途中に突然耳を塞ぐなんて変中の変じゃないか。
浮かべた笑顔をがちがちに強張らせるくらいしか出来ずに、レイ姉を見ながら、半分固まっている。]
[ひ、という音の意味がわからなくて、あたしはまわりを軽く見まわした。何か驚くようなことがあったのかとおもった。すこしあたまがぼんやりしているから、なにか見落としたのかなとゆっくり視線をあっちとこっちとむこうへやった。]
[真顔になったのはもう一つ理由がある。(
颯成がなにかをこわがっているせいだ。]
螟ァ荳亥、ォ?
[大丈夫?と聞いた。耳に水が入った時や耳鳴りで音が遠い時のようによく聞こえない。颯成が頭をふっている。虫でもいたのかな?虫、虫、虫、虫、陌ォ縲虫、陌ォ縲虫を探す。みつからなかった。ごめんね。]
【人】 甲板員 デリクソン― 図書館 ― (141) 2019/09/03(Tue) 00時頃 |
【人】 甲板員 デリクソン誰かこういうの詳しいのいたっけなぁ…… (142) 2019/09/03(Tue) 00時頃 |
【人】 甲板員 デリクソンあぁ、安住とかいいんじゃね? (143) 2019/09/03(Tue) 00時頃 |
[きょろきょろするレイ姉に、何でもないってもう一回首を振った。
頭の中で鳴っている声の主を目で探そうとしたって無理だと思う。
特に、レイ姉に聞こえてないんだとしたら。
何でもないっていうのは、もうずいぶん無理がある言い分かもしれないけど。]
【人】 甲板員 デリクソンいや、なんで『夢の中の出来事』が『現実』になってンだよ………… (146) 2019/09/03(Tue) 00時半頃 |
[相変わらず声は何を言ってるのかはわからない。
わからないから怖いけど、さっきより落ち着けたのは、声が途切れて、目の前のレイ姉が何かを探すようなのを止めたからだ。
何でもないって言ったのが、聞いたんだろうか。]
レイ姉、なの。
[声の内容も聞こえる理由もわかんないけど。
こっちの訴えを聞いてくれるのがレイ姉で、声が重なってるのがレイ姉なら、可能性はそれくらいしかなかった。]
[言葉をうしなった。考える先から目玉の裏が思考につられて引っ張られているようなかんじがする。……]
………?
[あたしは宍井澪だ。
だから颯成の質問に黙って頷いていた。
あたしは鳥肌と同時に、難しいことや不安を思うよりも何よりも先に、ただシンプルに「ああ、――じゃあ、あたしの願いは叶っていた」と考える。]
[これがあたしにとって
唯一のやり直しの方法なのだろう。]
………
縺溘@縺九↓螟休みおわらなければって、……
言った縺代←縺……
[(
腕を摩り、そこを強く手で握る。]
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