82 謝肉祭の聖なる贄
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[娘を壇上に引き据えて、今すぐ引き裂いてしまおうか――とかちりと微か牙鳴りさす。
……そうしないのは、交わりを忌避する自制では、既に無い。]
さあ見せよ。
我に、汝の魂のいろを。
[人の耳には聞こえぬほどの、かすかな呟き。]
[返事を聞くか否かのところで、重なるくちびる。
割り込んでくる舌を受け入れ、自分からも、やわらかいそれを絡めていく。
恋人にするのではなく、同胞として触れ合う行為だったから、
故にそんなに躊躇ったり、逆にのめり込んだり、などはしなかった。]
(お酒っぽい………)
[内心では、そんな感想。
受けた精気のためか、はたまた酒気のためか。
くちびるを離したとき、目は少しぼんやりとしていた。]
[舌を絡め、唾液をすすり。同時に精気を口移しで注ぎこんで。
ゆっくりと顔を離せば、ぼんやりとした瞳を見つめてフッと笑みを浮かべた]
………そのような顔をするな。
同胞相手に無理強いする気はないというのに、押し倒したくなるだろう?
[そう囁き掛けた後は、唇を舐めてやろうか。それとも、首筋に顔を寄せてみようか?]
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[近づいたままの顔。瞳を覗き込むように見つめて、微かな笑みを浮かべる。 杯を片手に、何を話しているものか。
贄にもその他の人間にも、決して向ける事のない慈しむような仕草で。 時折、白金の髪を撫でたりなどするだろうか]
(52) 2012/03/19(Mon) 00時頃
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そんなこと、言われても。
[どうしようもないし……とばかりに、
今の自分の顔のこと言われればごちて。
また少し、睨むような目を作る。]
押し倒すとか、ダメ。しないで頂戴。
………それに、僕の身体は、僕だけじゃないんだから。
[金糸の贄で満たされた腹を擦りながら呟いた言葉は、
微妙に酔っていた所為で、その声調さえも拙くなっていた。]
[けれど膝の重みの所為でその場から動けない白金は、
くちびるや首筋に近づくものをも、上手く避けることはできない。]
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