52 薔薇恋獄
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『……本当に変わった人ね』
[ 将棋盤を出し始める士朗を見て少し呆れたように ]
『百年近く亡霊やってるけど、こんな反応も初めてだわ』
『見えないか、見えたら逃げるかのどっちかしかなかったもの』
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なるほど、そういうことか……。 楓馬は……ああ、皆に好かれていたから。
[ふっと日向の答えを聴いて綻ぶ顔、しかし直後に影が生まれる。]
……そうだな、信じて貰えるといい。
日向も、大変だろうに、大事なこと伝えてくれてありがとう。
(189) 2011/05/21(Sat) 21時半頃
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ディーンは、新たに聴こえた声に、そっと日向との距離を詰め囁いた。
2011/05/21(Sat) 21時半頃
どうも、俺は、変わり者が好きみたいだからな。
仕方ない。
[苦さの混じった顔で紡ぐ。
楓馬にしても、鳴瀬にしても――嗚呼、似ているからと言えば、多分それは罪で。]
出来うる、限り努力はする。
お前も……無理をするなと言いたいが、
出来たら頑張ってくれ。
お前達が勝ち負けでなく、救われることを、俺は願うから。
『……わたし、あなた達には罵られこそすれ感謝される立場ではないはずなのだけど』
『そもそもわたしがいなければ』
『あなた達に危険が及ぶこともなかったのに』
『まして救いなんて……』
[ 楓馬も同じことを言っていた ]
『……失恋して、恋人の家族を祟り殺して』
『なんの罪もない人達を殺して仲間にして』
『百年も泣いたり嘆いたりしているだけの』
『わたしが救われる道理なんてないのにね』
『地獄に落ちていないだけ、ましなほうよ』
……人を好きになるのは、どうしようもないさ。
十分苦しんだんじゃないか?
なら、救われてもいいはずだ。
いつまでも逃げ場のない想いは辛い。
[囁いて伸ばす手、触れられないけれど、撫でる仕草を見せた。]
『……』
[ 撫でるような仕草に、困ったような顔を見せる ]
[ 罪深い己が救われる方法など、わからないのだ ]
『……そっちの人が困っているみたいだし、そろそろ消えるわ』
[ 視線を士朗に向けて、外して ]
[ *引き止められなければ、女の姿はすぅと消える* ]
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[どのような会話があったのか、触れられない相手を撫でようとする仕草をする。]
……俺も、考えるから。諦めるなよ。
[その一言は、囁きではなく言って、つっと手を引いた。 ゆるっと足は動いて、手持無沙汰にしている鳴瀬の傍に]
お待たせしました。説明しましょうか。
[やや緊張しているのは、先程の己の所業を思い出してのこと。]
(205) 2011/05/21(Sat) 22時頃
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[飛車の動きを見詰めながら、鳴瀬に語りかけるは、以下のこと。
まず、消えた4人は無事であること。 それは日向(ひなた)のお陰であること。
次に、日向(ひなた)と日向(ひゅうが)は、同一人物であること。 日向(ひゅうが)は、失恋の哀しみに応じて力を強くするけれど、日向(ひなた)は逆の想い(恋による安らぎや幸福)があれば日向(ひゅうが)を押さえられること。
互いに想い合っていれば、日向(ひなた)によって逃がすことが可能らしいこと。]
けれど、ずっと可能という訳ではないようです。 日向(ひなた)が日向(ひゅうが)を押さえるのはとても大変みたいで。だから、楓馬や大須のように、誰かに思われていると判った者は、逃がしたみたいですね。
皆を逃がすことが出来れば良いけれど そうでなかったら……―――。
[残った者は、恋獄の焔に焼かれてしまう(日向(ひゅうが)の牙にかかってしまう)と。いつもの言葉足らずで、しかし、いつもよりは長文で。]
(215) 2011/05/21(Sat) 22時半頃
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男ばかりで、恋愛というのも変な話ですけれど、ね。
[自重気味に笑むのは、それでもこの場にあると、自身が判っているから。]
問題は、今の話を、どうやって皆に信じてもらうか。 信じてもらえたところで 人の気持ちは……操れるものではないから。
[ふっと笑みはひいて、無表情に近い仄暗い表情を浮かべた。]
(217) 2011/05/21(Sat) 22時半頃
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[鳴瀬の返答に、少しだけ唇の端に笑みが戻る。]
彼女が、先生のこと、変な人だと言ってましたよ。
[何に対して変かは言わないけれど。]
……彼女がいなければ、こんなことにはならなかったかもしれない。けれど、彼女も十分に苦しんだのだと思います。 [だから彼女を怨みたくはないし、彼女も救われればいいと思っている。そして、放たれるカミングアウトに眼を見開いた。]
そう、なんです、か。
[それ以上、どう反応しろと言うのか。 固まった所で、立ち上がる人を見る。誰かに話に行くのだろう。もしかすれば……と、思い至れば]
(231) 2011/05/21(Sat) 23時頃
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俺は、鳴瀬先生のこと、好きですよ。 おそらく、恋愛感情として。 でも、それは、楓馬に重ねてなのか、違うのか判らない。
――……我ながら、最低ですけど。
[そうまるで釘を刺すように囁いた。 楓馬の手を取れなかったのは、それだけが理由ではないけれど。 手を取ってしまえば耀が ……だから、そこが全ての起点ではあったけれど。]
(232) 2011/05/21(Sat) 23時頃
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……似てると、思ってました。心のどこかで。 でも、違う……。
[おそらく、タイミングの問題。 どっちつかずの時(今)に、自覚してしまった想い。]
切欠は、楓馬なのは確か、です。 楓馬は、無意識に、手を伸ばしてはいけないと思っていたから。 だから、きっと違う人に想いを向けたかった。
でも、貴方だって、本当は、想いを向けてはいけない人だ。
[生徒と教師……男同士だから、ただの憧れで終わる筈の想い。]
(254) 2011/05/21(Sat) 23時頃
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なのに、俺は、貴方に、貴方が寝ている時に 接吻けして……―――。
[追いつかない言葉、追いつかない想い――去る姿に、ぐちゃっと顔が歪んだ。]
耀は大事です、でも1番には……ならないんです。
(256) 2011/05/21(Sat) 23時頃
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[自分では耀は1番にできないから。 それでも耀も大事だから、幼馴染2人とも大事に出来る立ち位置を取ろうとしていた。そうすれば歪な形でも3人で居ることができると思っていた……その想いはまだすてきれていない。]
……わかり、ま、せん。
でも、接吻けただけで、貴方の気持ちが手に入るとも思いません。
違う、でしょう。そんなの。
何故、貴方も、ヤケみたいなこというんですかっ。
[想いが混沌としすぎて、もう訳が判らない。 酷い顔を覆って、俯く。]
……耀……蘭香と、話させてください。
[ぼそっと、1つ願いを呟いた。]
(270) 2011/05/21(Sat) 23時半頃
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……では、2人を追ったらどうなりますか、ね。
[ぐしゃぐしゃの顔で、ふっと笑んだような声音で冗談のようにまず言った。次は、真剣に言葉を選ぶように。]
まぁ、二兎を追うもの……と、言いますか。
……先生、2人は先生のこと好きだったから追ってこなかったんですよ。そして、もう一人も大事だったから追ってこなかったんです。
間違いないと、思いますよ。
[大雑把に顔を袖口で拭くと、少しだけ穏やかな顔で告げる。]
蘭香と話をして、それでも先生のこと好きだと思ったら ちゃんと伝えます。
……その場合、接吻けしたら簡単に好きになるとか 浮気するような言葉言わせないですよ。 俺、自分が嫉妬深いのは、自覚あるんですから。
(285) 2011/05/22(Sun) 00時頃
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