62 あの、夏の日
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[皆が呟く「不思議な言葉」を、少年は食堂から退出しながら考える]
…皆、現実を少しずつ引き摺ってるな。
[それは、紛れもなく現実で交わした会話の一端]
暫くすれば、皆もメアリーや俺達の様に、此処が夢だと分かるんだろう。
だが…
[今が夢だと分かれば、中には現実に戻ろうとする。
もしくは現実と同じ様に振る舞おうとする者も出てくるだろう]
……できれば皆、気付かないでいてほしいのだがなあ。
せめて、今だけは…
[それは、男の勝手な願望]
[大人になって、暗黙のルールを知った。
少年の頃は知らなかった、黙認すべき事、排他すべき事。
それが社会での生き方と悟るのは、容易い事だった]
……
[無言で寮の廊下を歩く男は、少年の掌を見た]
[そうだ。この少年は不正が嫌いだった。
それは10年後も変わっていない。変わり様の無い事で]
[だが、社会人になって…無駄に聡い脳は、暗黙のルールを覚えた。
その淀みに、時々やり場のない怒りを覚える事もある。
だが、その界隈で生きる為には「しょうがない事」としてやり過ごさなければならなかった]
[ずっと、そしてこれからも]
――きっと
[両手をだらりと下ろし、立ち止まり。
懐かしい寮の廊下の天井を見上げ]
この歳の俺が、現実の俺を見たら…
「貴様なんぞ、俺では無い!!」
…って、激怒するな。
[少年の信じた正義は、清く美しく、どこまでも真っ直ぐなもの]
[現実の男には、それが眩しく、尊く思えた]
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―― 回想・風呂場 ――
[無事タライを発見し、律儀に礼を述べるケイト>>106に手を振って首を振った。]
いえいえ! 私は役立たずでしたし。
[談話室に向かうその背中を見送っていると、もう一度彼女が振り返った。お礼>>109の言葉に全力で手を振り「気にしないでくださいね!」と付け加える。 同時に顔を見合わせたディーンには、へへ、と笑うだけで]
―― 回想終了 ――
(156) 2011/08/28(Sun) 23時頃
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そうかも、しれないですね。
[夜空に向かってため息をつき
ディーンの声に耳を傾けた。]
全部、ここに置いてきた気がします。
何もかも捨てて、大人になって……。
[社会の波に紛れて、忙しさを理由にして。そんな大人には、なりたくなかったと響く落ち着いた声音に、ゆっくりと頷く。]
びっくりするくらい、冷めてしまって。
子どもだったからって理由もつけて。
でも、それもただの言い訳だったのかもしれません。
皆さん、現実を思い出してきてるみたいですね。
みんな思い出しちゃったら、この夢も終わるのかな……。
[夜空を瞳に移しながら、噛んだ唇。
それは、嫌だ。
いつかそうなるとわかっていても。]
ずっと、気づかなければいいのに。
……なんて、都合よすぎですかね。
[薄暗く翳った声と共に、長いため息。
胸に宿る苦さはやはり完全に消えることは無く燻っている。]
………。
[静かに、頭に流れ込むディーンの声を聴く。
口元に浮かぶのは、薄っすらとした笑み。
夢でない、10年前を思い出してみる。確かに彼は真っ直ぐで、破天荒な行動に何度か怒られたこともあった。
それもまた、良い思い出で。]
でも、それもまた先輩ですから。
怒ったってきっと、わかってくれます。
[それがディーンという人であると、確信しているから。]
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―― 中庭 ――
[ぽん、と頭に重量を感じて我に帰る。アンタレスを映し続けていた瞳は、真ん中に赤い残像がくっきりと残ったまま。マリアに声をかけられたことにようやく気づき、苦く笑った。]
えへへ、ごめんなさい。 マリア先輩は蠍座なんですか! アンタレスは、あの……
[真っ直ぐに夜空へ指をさす。南の空にある赤い星。]
あれです、たぶん。 私もそんなに詳しいんじゃないんですけどね。
[言っている事が少しずれているが、解説が突如として出てきた理由は本当にわかっていない。 ぱっと立ち上がってスカートを払うと、早速始まっている花火の輪の方へ視線を向けた。]
そうですね、参加しないと! ぴ、ピンク……
[元気良く立ち上がったものの、奇妙なピンク色に怯んだ。]
(168) 2011/08/28(Sun) 23時頃
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ヤニク先輩、お風呂担当だったとは…… 黄門様じゃなかったんですね、うぐっ……
[泣きまねをしつつも輪の中へ走り寄る。]
私もやりまーす! へへー、なにしよっかなぁ。
[たくさんの花火に迷いつつ、どれがいいかと吟味する。すると、ベネットから飛んできたネズミ花火>>137。]
うわ、わあああ! ちょ、ちょっとついてこないでえええ!
[走り回って逃げる先に、今度はヨーランダの95個のヘビ花火がある。叫び声を上げながらまたそれを避けて走った。]
よ、ヨーラ先輩! ナイスチョイスですー!
[でも思った以上に、可愛いと思ってしまった。]
(174) 2011/08/28(Sun) 23時頃
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[ヨーランダとヘビ花火に視線を遣りつつ走る。ネズミ花火は相変わらず元気良くついてきていて]
な、なんかくねくねしてて 可愛いと思いまああああああああ
[す、と言い切る前に中庭に生えた草に足をとられて勢い良く転んだ。]
ああもうだめだ…… 私はネズミ花火に踏まれて死ぬんだ……
[転んだまま絶望したように紡ぐ。足元に迫った花火は、そこで急に勢いをなくして停止した。]
(180) 2011/08/28(Sun) 23時半頃
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[メアリーの同意する声に、ゆっくりと頷いて。
やがて肺の奥から出すような溜息が聞こえた]
夢が、終わる――
[そうしたら、待っているのは現実。あの飲み会が終われば、また皆は――
きっと、メアリーもそんなのは嫌だと思ってくれるかもしれない。
そうだ…そうでなければ、あんなに明るかったメアリーの声が、翳る筈が無い]
そうなる、前に
[は、と息を吐き]
思い出そうとしている奴が居れば…「それは夢だ」って、言ってやるさ…
[男の思考は、少量のアルコールに溺れていく]
[メアリーの言葉に、揺れる思考を集中させる]
――分かって、くれるかな。
[大人になれば、信じる事に抵抗を持つ様になる。
男も例に洩れず、不意に言葉を零した]
誰かが――分かって、くれる か――――
[それは少年の身体がアルコールに慣れていない為か。
身体の方は眠りについた様だが、意識の方は、徐々に溢れていく]
……先輩?
[覚束ないディーンの声に、ちらと顔を上げる。転んだままの体勢で中庭に寝そべっていたから、彼が酒を飲んだことにまだ気がついていなかった。
途切れる言葉を読み取り、薄く笑って]
――……私は、分かりたいです。
[きっと聞こえないだろうからと、密かに零した。]
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うおおおおお!助かった!
[足元で停止したネズミ花火に気がつき、立ち上がりながらガッツポーズ。とてつもない達成感で満ち溢れていた。まさかヘビ花火が下級生女子のトレンド>>185だと誤解されているとは知らず、スカートを払って再び駆ける。]
ホリホリー、花火やってる? 私はねえ、今ちょうどネズミ花火に勝ったとこ――
[少し離れた場所に立つ同級生に、笑顔で声をかけた。しかし彼女はどこか表情を曇らせていて>>189、ようやくその状況に気がついた。]
わ、ディーン先輩大丈夫ですか!? ケイト先輩も顔色よくないですよ、無理せず休まれて……
[ぽたり。頬に落ちた雨粒。 思わず空を見上げた。]
(195) 2011/08/28(Sun) 23時半頃
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[ヘクターの声>>200にそちらを振り向き、一つ返事をして身の回りのものをかき集め始める。 謝って駆け去っていくホリー>>202には笑顔で頷いた。]
うん、頑張って! 私は片付け頑張る!
[軽く手を振ったあと、燃え尽きたネズミ花火を拾い上げた。空を見上げるヨーランダ>>201に]
窓閉めるとじめじめしちゃいますからね。 涼しくなるといいなぁ。 ヨーラ先輩も溶けなくてすみますしね!
[明るく笑いかけながら、手を動かす。 彼女を真似て空に向かって口をあければ、生温い雨粒が舌に乗って。]
……じめじめまっしぐらかも、ですねぇ。
(210) 2011/08/29(Mon) 00時頃
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