103 善と悪の果実
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――扉をくぐる前に――
[烏の背を追い掛ける目に、殺意と怯えが消え去ることはない。
輪廻の環に囚われるまで。
何度でも何度でも、この運命を抱くのだろう。
扉の向こう側に消える背に、羨望を抱くことは出来ず。
―――女を、子供を手に掛けて。
今はまだ沈んでゆくばかりの輪廻だ。]
その目。 刳り貫いてしまえば、良かった。
[震える口唇が、小さく呟いた。]
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[少年の姿をした"誰か"。
銀の紡ぐ運命に、小さく男は目を伏せる。 魔女の館に置去りにした――銀の環。 男の遺したたったひとつの、くそったれな運命。]
―――…ああ。
[溜め息のような肯定は、果たして届いただろうか。
烏の羽ばたく音が、耳元で聞こえた**]
(86) mo_om 2012/10/02(Tue) 00時半頃
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