人狼議事


216 宵闇駆けるは天つ星

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[わからぬまま動きを止めていると、鬼丞の方へ動く気配があった
 しかし、彼は足を止め、不安定ながら結界を生じさせる]

 あんた。

[時折輪郭をぶれさせる男に、軽く肩竦めてから]

 ……林の中程に血止めの薬草がある。
 ここから出られるならひとっ走り行ってきな。
 気休め程度には、生き長らえさせることが出来るかもしれないよ。

[それを教えてどうするのか、自分でもわからない。
 半分は打算、かもしてないが。
 立てぬ男に向け目を細めた後、鬼丞へ向き直った*]


[風が掻き消えたと言うことは、その維持が出来なくなったと言うこと。
それに加えて、聞こえて来たあの言葉。
嫌な予感ばかりが募る]

………ちぃっ!

[波間へと向かった妖がどうなったかを確認せぬまま、余四朗は逆の方向へと駆け出した]


………。

[ついさっき知り合った相手だとは思わず、
親しい間柄であることを示す言葉に何とはなしに笑みを浮かべていたが、>>+19
眼前の相手にしては珍しい険しい視線を向けられればすぐに引っ込めた]


なんじゃ? ……まだやる気かの?
お役目熱心なもんじゃのう。

[先程退魔の者に与えられた指令については聞いていたから、>>+17
そう告げて、痛む獣の腕を、わずかに動かした。

影の使い手がああ言ったのは、頭領からの指令を果たすためとは別の、
強い思いによるからだとは、おぼろげながらも、判っている*]


[鬼丞の口調>>+21に、彼はもう意識を長くは保てないのではないか、と予感する。
 それでも、途切れ途切れの彼の言葉を、聞き逃さぬように耳を傾ける]

 そうかい。
 ……枝を強く曲げれば、元に戻ろうとする力も強くなる。
 結界とやらの仕組みも同じようなものかい。

[内にある妖気が強ければ、結界もまた反発しより強固なものとなる、と。
 鬼丞の言葉から推察したのはそのようなもの。
 しかし、思考しながら言葉紡ぐ様子は、彼自身にも確証はないのだろうと感じられた。
 冗談交じりの言葉に肩を竦めて]


 折角ご親切にも教えてもらったんだ。
 試してやろうじゃないか。

[退魔師という妖力の絶好の糧を前に、妖が出した結論はそれ。
 ゆっくりと、手足の爪を引っ込め、地に張った根も戻していく。
 それは同時に、鬼丞を喰らわぬということでもあった]

 でもね、忘れんじゃないよ。
 ――沙耶がどうなったかはわからない。
 もうあたしにはどうにも出来ないかもしれない。
 そんでも、あたしはそうと確信するまで、絶対に沙耶のことを諦めない。

[髪は白いままで、背の傷も塞がりはしない。
 それでも、人の形の顔で艶やかに笑んで]

 だからあんたも、諦めんじゃないよ。
 あたしが見逃してやった命、粗末にしたら容赦しないよ。

[尊大に、まるで見下ろすように言ってやる。
 そう、これは意趣返しだ*]


[太刀を鞘に収め、己が作り出した結界の端まで駆ける。
雷の網は依然張り巡らされたまま。
異相の結界の境目であるそれに干渉すれば、他に張られた異相の結界へと渡ることも出来る。
残り少ない力を以て他の結界を探れば、ここ以外には一つしか形成されていないことが知れた。
これならば迷うことなく渡ることが出来る]

通せ、わしぁ行かにゃあならん。

[伸ばした手、その先で小さく雷が爆ぜた]


[現実より隔離された空間は距離を縮め、もう一つの結界へと余四朗を運ぶ。
渡りの時間は長いような短いような。
それでも、探し回るよりは格段に早く目的地へと着いた]

っ、とと。

[渡りの影響で浮遊感の強かった体に重力が戻る。
鑪を踏んで体勢を戻した後、結界の中を探ると煌闇混在した気配を結界から感じ取った]

もしかしゅうて、亀きっつぁんも…?

[退魔師の数の割りに結界が少なかった理由を悟る。
二人分の結界であるためか、規模はそれに準じたもののようで、余四朗が着いた場所からは鬼丞達の姿は見えない。
恐らくは中心部に居るだろうと予測を付け、可能な限り早く着けるよう足を動かした]


………。

[膝をついた相手を真っ直ぐに見返す。>>+22
途切れた言葉の先、おそらくは決意のこもったそれを。

やがてはあっと大げさにため息をついて近付いていくと、
獣への変質を遂げていない方の手で盛大に額を指で弾く。それも一度ではなく]


…ったく、 口では立派なこと言ってる割にその有様ではないか。
わしが温厚さを見につけておらねば、
とっくに、喰われていてもおかしくなかったぞ? んん?

[よどみなくそう告げてから、にんまり顔で離れていく。
その様はどこか満足げでもあった]


さぁて、そろそろ休ませてくれんかのう……。
なに、おぬしらが手を出さぬというのなら、わしもおぬしらには手出しはせんよ。

もしこん中の妖を祓いたいっていう輩がまだいるのなら――

  ――命を大事にせい、としか言いようがないのう。

[その声は他の――たとえば別の結界を渡ってこちらへ来た退魔師へも届いたか。
ともあれ自らの意思を示せばその場にどっかりと腰を下ろすのだった*]


[鬼丞>>+23の困り顔に、思わずといった風に笑みを零し]

 悪いねえ。加減を知らなかったんだ。
 何せ、人喰いなもんでね。

[眉尻を下げながらも、口角だけは上げて軽口を叩く。
 実際、致命傷を負わせるは本意でなかったにしろ。
 真面目に謝られた所で、鬼丞も困るだろう。
 だからそうした態度で、気休めにでもしてもらう以外に術はなく]

 フン……――

[人の身に変じた女怪に、鬼丞の声が掛かる。
 その目に宿る強い光。
 返す女の眼差しもまた、冷たく鋭きものとなり]

 この次だって、追い返して――生き延びてやるさ、何度でもね。

[それを最後に踵を返す。
 人のものとなった素足で、地を踏み駆け出し]


[そして間も無く。
 人の身の樹怪は、結界の内に現れた、新たなる人影と出くわした]

 おや、あんた。
 ……驚いたね、向こうからこっちには入れるのかい。

[驚愕を隠し、平然を装って語り掛ける。
 こちらは人の身へ変じ、力をなくしたも同然の状態。
 しかしだからと言って、退魔師がそれを見逃すとは考えにくく]

[そしてそれ以上に、沙耶と対峙していたはずの彼が、この場に現れた意味を考えない訳にはいかなかった*]


[居るだろうと推測して進んだ先は、元の地形が分からなくなっている場所もあり、熾烈な戦いがあっただろうことが知れた。
そこまで来ればそれを為した者達の姿も容易に確認が出来る。
退魔師は劣勢と言える有様だった]

っ、

[動向を探りながら近付く最中、牽制するような声が届く。
思わず足を止めると、人の姿をした者が余四朗へと声を掛けてきた]

……結界内じゃったら、移動は出来ぃけぇ。

[短く返しながら、鬼丞と亀吉の様子を横目で確認する。
まだ息はあるよう。
けれど、あまり猶予は無いように見えた。
更にはもう一人の闇星が異様な状態になっていることを知る。
余四朗も余力はあまり無い。
この状況をどうするか、先ずは妖達の動向を見極めようと視線を投げた*]


[こちらの問いに、退魔師から短い答えが返る]

 そうかい、便利なことで。
 ――妖は、そういう訳にはいかないのだろうねえ。

[ふ、と溜息こぼす。
 見極めるような視線に、相手はこちらを有無を言わさず害する気はないのだと判じて]

 あんた、沙耶――海の妖と戦っていた退魔師だろう?
 あの子はどうした。

[彼がここにいることが、何よりの答えではあるのだろう。
 それでも、彼からはきとした言葉が返ってくるのを、樹怪は待った*]


[警戒は消さぬまま、出くわした妖の言葉を聞く。
紡がれる言葉、繋がりの在る者の名を耳にし、この妖が”ふよう”と呼ばれる者なのだと知った。
問いには相手を見据えたまま一度だけ首肯する]

…そうじゃ。
あやつは───……海じゃ。

わしにゃなんも残さんち言うて。

[刹那の一撃が届いたかは確認出来ていない。
けれどあの妖の体は確かに海へと向かっていた]

全部、海にやるゆぅとった。

[そこまで言えば、”さや”と言う妖の意図も目の前の妖にも伝わろう]


行きとぉなら、わしん通った道使ぃ。
こん先にある結界の窪みじゃ。

[ここで阻んだところで何の益も無い。
行きたければ行けと、余四朗は道を開けた*]


[退魔師の返答に、瞬いて。
 何も残さない。
 その言葉の意味に、人喰いの妖は、思い当たる]

 ……そうかい。海に、か。

[しばし顔上げて、見通せぬ遠くを見た。
 それから、道を開ける退魔師に、視線を戻す]

 いいのかい?
 あたしは、沙耶を――……。

[言い掛けて、言葉を切る。
 沙耶は少なくとも、男の手の届かぬ場所に行ってしまった。
 だからこそ、彼はここに来て、こちらに道を示すのだろうと]

 わかった。……ありがとうね。

[退魔師に目礼を向けて、教えられた道へ向けて再び歩き出す*]


[礼を言われて、余四朗は妖から視線を外して、ふん、と鼻を鳴らた]

礼なぞ要らん。
わしも優先したいもんがあるけぇ。

[言って、一度視線を鬼丞へと向ける。
余四朗は鬼丞を助けるために来た。
故に妖が仲間を助けに行くのを止める理由は無い。
開けた道を妖が行くのを見遣った後、余四朗もまた先へと歩を進めた]


鬼の旦那っ、

[歩は徐々に走となり、余四朗は鬼丞の下へと駆け込む。
いつ命の灯火が消えてもおかしく無い状況。
けれどその顔には諦めぬ意志が見える]

早急ん医者ん診てもらわんといけんき。

[汚れていなそうな着物の裾を破り、鬼丞の喉元へと当てる。
しかし結界が崩れたとしても医者の下まで運ぶのが大変だ。
血止めだけでも出来れば違うのだが、と余四朗は思案の色を見せる*]


[かつて悪戯に引っかかった時のような表情見せる相手を、
かつてのように盛大に笑う暇は、なかった。
実に残念である。>>+25]


なるほど。 ……わかったようなわからんような。

つまり、こん中で力がぶつかって……、勝ったり負けたりをやっとれば呪は解けるのかのう?

[ぼそりと零された、呪の消える術を示す言葉の意を、>>+26
自分なりに噛み砕けばそんなことを。
その時はまだなんにも思い至っていなかったが、
座り込んで小鬼の鳴き声やら、
人喰らいの樹の妖と見知らぬ退魔の者が話している声を聞いているうちに、
ようやくそれに思い至る]


なあ、なあ、つまり此度はわしの勝ちってことでええんじゃな?


[向けた表情はどこまでも楽しそうなものだった。
悪戯に引っかかった者の様子をご丁寧にも確かめに行く時とさほど、変わらず**]


― 海辺/結界内 ―

[退魔師は鬼丞の方を見る
 彼が鬼丞と会話していたを思い出し、ならば助けに来たのかと頷いて。
 彼と入れ違いに結界の窪みへ向かい、その向こうへ手を伸ばす]

 ――……っ

[結界の境は、弾くことなく樹怪を受け入れた。
 宙へ浮かぶような、奇妙な感覚がしばらく続いた後、周囲の風景は一変して。
 思わず転びるようにしながら、岩の上へ着地する]

 あの場所、か。

[間違いなく、沙耶と会った場所であると確かめて。
 妖は岩場を歩み、波の被るぎりぎりまで近付く。
 目に入る所に、あの幼い妖の姿はなかった]


 沙耶、

[樹の妖は泳げない。
 海に潜り、妖の行方を探すことが出来ない]

 沙耶!

[だから、呼ぶ。
 答えが返るまで、何度でも、何度でも]

 沙耶あっ!

[気付けば両手を着き、海を覗き込む姿勢となっていた。
 常ならば決して見せぬその姿にも気付かぬまま。
 海風と波音に向かって、ただ、呼び掛け続ける**]


[鬼丞の言わんとすること>>+32は分かる。
実際、余四朗の傷は雷で焼いて止まっているようなものだ]

無茶言いよぉなぁ……。

[腕や足などならば躊躇うべくもない。
心の臓から離れているならば、多少の無理も利く。
しかし今回は喉、心の臓に近いもさることながら、失敗すれば喉を潰しかねない]

……焼く痛みで叫ばんちくれのぉ。
動きおうたら危ないき。

[けれど、現状他に手段があるわけでもない。
命を預けるという言葉>>+33を聞き、心を決めると余四朗は太刀を抜いて両手で握り、鬼丞へと向けた。
焼く範囲を広げるため、切先の側面を傷口へと当てる。
幸い、高圧流を流せるほどの力は残っておらず、焼く程度の雷の制御は苦心せずとも可能そうだった]


始めぇで、旦那。

[緊張に一つ息を吐き、吸い込んで息を止める。
強者と対峙する時のように神経を尖らせ、傷口を焼くだけの雷を太刀へと奔らせた**]


[男は退魔師が死にかけるような事態に際した事はなかった。
>>+18混乱の最中、先程よりも厳しい兄弟子の声が降る。
確かに師匠であれば拳骨一つでは済まされないだろう。

力を酷使して色の抜けた髪のままの樹怪による知恵や、
>>+20彼女に咽喉が傷つけられた煌星の退魔師の声まで風に乗って聞こえて来れば]

…ぅ、…

す、すいません…。

[気を鎮めろ、という言葉を受けて男は瞑目し、呼吸を整えようと務めた。
結界の色は息をするように濃淡の移り変わりを繰り返し始める。

そんな頃、岩場で感じた雷の気配が近付いてきた。]


[結界を渡って来た退魔師は樹怪と何かを話し、人の姿に戻った彼女はどこかへ消える。
脂汗を浮かせた男に彼女が結界を渡っていったのだと悟る余裕はない。
やがて彼は瀕死の疵を負った風使いの元へと赴く。

早く医者に、という言葉が耳に入って]

…あ…

[医者に見せる事が叶えば、助かるのだろうか。
否、諦めてはそこで負けたも同じ。
諦めないで手を施そうとする人が其処にいるのだから。
こんな所で力に飲まれているわけにはいかない。

男は歯を食い縛って眉間にぐっと力を込める。]


[羽音に似た音と共に薄墨の結界は砕ける。
その残滓は煌星と闇星の張った結界の中に溶けた。

結界を破った男の身体は僅かに傾ぐ。
足に力を込めて踏み止まると、腰に提げた印籠と巾着を探る。
血止めの軟膏や手拭いなどを取り出して、]

雷の旦那、疵口にはこれを当ててあげて下さい。
宿で洗ってから使っていませんから。

…風の旦那、ちょいと染みますが失礼しますよ。

[かなり出血をしていたようだから、これ以上の出血を抑えねばと。
蔓や葉で傷ついた疵に血止めの軟膏を塗る。

足りねば薬草を取りに教わった林に向かって全力で駆けた。
そう動く男の瞳には怯えはなかった。**]


[鬼丞の意地>>+36を受けて、余四朗は喉の血止めを進める。
着物の袖を噛み締めた口端から零れる呻き声>>+37。
ここで動揺しては惨事が起きる、と処置が済むまでは心を鬼にし手早く傷口を焼いて。
焼け焦げる臭いが漂う中、余四朗は太刀を鞘へと収めた]

旦那っ、

[血止めに呻く鬼丞の体を支え、声をかける。
声の代わりに返るのは緩く握られた拳と緩やかな風。
生きていると示すそれは余四朗に安堵を与えた]


おぅ、助かるけぇ。

[処置の間に己を取り戻したらしい青年から手拭を受け取る。
喉の傷口は焼いて出血を止めたものの、代わりに火傷がその箇所に残った。
火傷も晒したままでは傷に障る。
手拭は首の傷にあて、緩く首の後ろで縛った]

亀きっつぁんの方も血止めせぇにゃいけん。
薬足りぃけぇ?

[傷が多いようなら薬は足りそうに無い。
方法が無いかを問うと、樹怪に薬草が在る場所を聞いたと教えられた。
場所が分かるなら、とそちらは青年に任せることにする]


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