73 ─深夜、薔薇の木の下で。
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……?
何かあったの?
[正直薔薇の棘が人に欲を浮かびあがらせる以外、
自分とて知るところではなく]
さあ…僕にもわかんないなぁ…
気になるなら誰かに移してしまったら? 棘は君達を殺しはしないだろうから。
ごめんね、本当にわかんなくて。
[薔薇の精の艷めいた声だけで、こちらまでも煽られて酔い痴れるよう。]
駄目だ、…欲しいよ。
どうすれば収まるの?
[咲きかけの花は、咲く場所を見つけられず、
身体の中で出口を探して暴れ続けていた。]
…移す?
[モリスから自分に移ったように、思いを受け入れてもらわなければ。
同室の華奢な相方は、この思いを受け入れてくれるのだろうか。]
モリスは君にどう棘を移したかな?
同じことをすればいいんじゃない?
[棘を受け入れると言ったセレストへと言えばよかったのだろうけれど、
薔薇は何故かそこは口をつぐむ]
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[立ち尽くしたままのキャロルを見ているのは気持ちいい。勿論着席を赦すべくもなく、俺は足を組み、頬から耳の後ろまでを撫でてキャロルの処遇など知らないふりをしてやった]
ほう。俺様のような人間を試して得られるものが欲しいのか 季節知らずの草風情が随分大上段に構えるじゃないか。 そして薔薇はまだ満足してないって。それがお前の考え方なんだな?
[ふん。キャロルに問われ俺は考え込んだ。
薔薇の望みか。 クライトンは、感情のままにぶつかり合って本当の気持ちを強くする、 と言ってたな。冗談じゃないけどね。 それで得られるのは精々破滅か、軽蔑か、自己崩壊か。 ……そうだな。友達になりたいっていうのはあるもしれないな。 クライトンは 仲良し が出来ていたみたいだし。 クリスマスに帰る家もない子供たちと仲良くなって、あっちの世界で幸せになりたいとか…… どうだ?子供染みたお伽噺みたいでロマンチックってやつだろ
薔薇も冬になど咲かず、春に仲間と咲けばいいんだ。わざわざ辛い世界を選んで、わかりあえもしない人間を陥れてまで咲き誇らなくともいい。仲間といられた方がいいだろうに。
(178) 2012/01/02(Mon) 00時半頃
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