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嗚呼。
人に成るとかだったか。
―――好きにするが善いさ。
[男には興味もない。
花でも蝶でもないのなら。]
【人】 看板娘 櫻子―― 地下牢 ―― (67) anbito 2014/09/25(Thu) 01時半頃 |
【人】 看板娘 櫻子[皮肉を彩るくせに、指先がこんなにも優しいこと。 (68) anbito 2014/09/25(Thu) 01時半頃 |
【人】 看板娘 櫻子[接吻けが、甘い毒を流し込んでゆかれます。 (69) anbito 2014/09/25(Thu) 01時半頃 |
【人】 看板娘 櫻子 (70) anbito 2014/09/25(Thu) 01時半頃 |
―――お前だけを愛してやろう、“丁助”。
[艶めく顔に、返すは歪な笑みひとつ。
さあさ、焔とひとつ戯れようか。
御伽噺なぞ、始まる狂宴に燃やしてしまえ*]
―奥の部屋―
[一階奥の部屋にて、揺り椅子がゆらゆらと揺れる。
座っていながらにして、まるで見下す男の瞳。
焔を捕らえたのなら、微笑み告げよう。]
立ったまま。
自分で自分の雄を勃たせてごらん。
指を絡め、扱き。
[さあ、と動かすは顎ひとつ。
きぃきぃと揺り椅子が啼いている。]
蝶が花を買いにやってきても
善しと言うまで、自慰をお続け。
[まだ見ていてやろうと、足を組む。]
― 未来の話 ―
[冬も終わりに近づくある晴れた日、
鳥篭へと一通のファンレターが届く。
出版社経由ではないそれは、
シーリングに異国の文様を刻む異質なもの。
封を切れば、癖の強い文字が躍り、
彼の捕われた籠の中へ、何処か懐かしい香りを拡げた。]
Cher Belle ―――
突然の手紙をお赦しください。
貴方の著書を読み、筆を取らずにはいられませんでした。
貴方の書かれた物語は大変美しく、我が国でも老若男女がこぞって貴方の世界に恋をしています。不幸の末に結ばれる結末は万民の心に訴えるものがあったのでしょう。
けれど、私は貴書を拝読し、胸を高鳴らせる少女等とは別の思いを抱きました。
貴方にとっては取るに足らないものかと思いますが、何卒このまま読み進めてください。
風の噂で、この物語の結末は最初悲劇だったと聞きました。
悲劇を変えた筆はなにを想い、結末を足したのでしょうか。
幸福と言うのは私のような若輩者が語るものではありませんが、酷く多面的なものだと思っています。幸福な結末を迎えた物語の主人公は貴方から見て、幸せでしたか?
私は貴方を知った気でいましたが、まだまだ足りないようです。
興味と言っても差し支えないこの感情は、いずれ貴方の傍に寄るでしょう。
貴方の一筆には才気が宿るのは周知の事実。
ですが、貴方を満たすには長い時間が掛かるのだと思います。
いずれ訪れる歪んで、何処か歪な幸いこそが、貴方の求めるものではないかと、そんな風に考えるのです。
続刊を楽しみにしています。次は貴方の悲劇を、―――貴方から見えた結末を教えてください。
―――…そうそう、来週、櫻を連れて観光に邪魔をします。
貴方の見つけた美しいものと、あまいショコラを用意してくだされば幸いです。
………また、貴方を識りに参ります。
――― Votre grand fan .... Amitié **
【人】 看板娘 櫻子── 郊外のお屋敷 ── (80) anbito 2014/09/25(Thu) 23時半頃 |
【人】 看板娘 櫻子 わっ あ! (81) anbito 2014/09/25(Thu) 23時半頃 |
【人】 看板娘 櫻子 あっ、あのっ!! (82) anbito 2014/09/25(Thu) 23時半頃 |
[すきです、すきですと
心がうるさいのです。]
アイして下さいますか、花主様。
[言葉に何の意味があろうか。
枕元で囁くべきは、蝶へ、蛇への媚ばかりの筈。
本心が其処に含まれるとは、誰も期待などしないもの。
――魅せるべきものは主の期待をなぞり、唯唯快楽に溺れれば良い。
羞恥を目元に、吐息を震えさせ、望まれるまま。
着物をたくし、自慰を見せ、蝶の視線を遮るべく瞼を閉じて。]
ー未来の話ー
[ファンレターが来た。珍しいことではない。
隣国からのファンレターだということも、しばしばあることだ。
だが出版社経由ではなく直接僕の住まいに届くというのはなかなかあったもんじゃない。この鳥籠までわざわざ誰が…?
僕は封を切って中身を読んだ。
そして最後まで読み終えた僕はまた手紙の最初に戻って"Cher Belle"の文字を目に入れ、苦笑した。]
美しいものとショコラね…はは。
はいはい分かりましたよ。
[歪な幸い、ね。
手紙の主の来訪を待ち望んで歪められた口許は楽しみのためか、それとも愉しみのためか……
僕は指を節くれ立たせる筆胼胝に無意識に触れながら、さて美しいものとショコラは何を用意したらいいだろうかと考えた。]
―――丁助、誰が目を瞑れと?
[たくしあげられる着物の隙間に揺れる雄。
触れなどしない。
嬲りつけるように触れるのは視線。]
こんなにも愛してあげているんだ。
ほうら、その瞳を私にむけておくれ?
[やがて蜜でも溢し始めるだろう。
触れることなく、男は揺り籠の上。
痴態をしかりと、その目に刻む。]
――畏まり、ました。
[赤褐色を、愉悦を浮かべているだろう花主様へと。
眉に快楽と戸惑いが毀れる。
アイしてくださるお方への余興。
自身のモノを扱く手付きは、早く終われと滲む雫に構わずに。]
【人】 看板娘 櫻子[新しい場所で、僕の色んなものが育っていきます。 (94) anbito 2014/09/26(Fri) 01時頃 |
【人】 看板娘 櫻子 ……待、ちますっ。 (95) anbito 2014/09/26(Fri) 01時頃 |
【人】 看板娘 櫻子 そんっ な… 、ぁ (96) anbito 2014/09/26(Fri) 01時頃 |
【人】 看板娘 櫻子 ん、っ (97) anbito 2014/09/26(Fri) 01時頃 |
【人】 看板娘 櫻子 (98) anbito 2014/09/26(Fri) 01時頃 |
お前のものはどうなっている?
よく見えないんだ、教えておくれ。
[鬱蒼とした髪を晒し、垂らし。
その手が扱う肉欲の状況を示せと唄う。]
はしたない蜜が垂れているね。
甘い味か、口に入れて試してごらん?
[先から溢れる透明な滴を
自分の口へ運べと告げる。
抗うことなど赦さぬ、強制。]
―――まだ、果ててはいけないよ?
[早くなど終わらせぬ。
悪夢を、君に。]
[まるでそうなるを予見していたかの如く。
取り出すは紙束。
月の頬を叩いての揶揄。]
慈善事業など私はせんよ?
これは貸すんだ。
これで科すんだ。
枯れ花よ、花籠へ戻る覚悟が在るのかい?
[答えも聞かず地に撒く紙吹雪。
撒いては、
舞いては、
降り積もる。]
枯れ花に買い手など、つきにくかろうに。
座敷を用意してやるという言葉。
どういう意味かお考え。
[歪んだ笑みひとつ。]
新しく部屋を用意してやろう。
[歪、いびつに。]
―――藤の間がいいかねえ?
[藤が咲いていた、過去の部屋。]
お前は金で“人”を買うんだ。
お前は金で“人”に買われるんだ。
忘れず、覚えておくことだね。
お前は枯れても咲かねばならぬ。
出来るだろう、朧。
苦悩に歪むが一等美しい月花よ。
[宵闇の髪を揺らして *嗤う*]
―――“愛”を、金で買っておいで?
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