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[彼らの答え
村の人間はススムの中で家畜と同列になった。
先生の教え
ミナカタ
[自分だけが人であるのだ。
其れを知られてはいけない
群れを嫌った所で
生活できるだけの力がないうちは
家畜の中に紛れて暮らすしかない
だから
教わった通りに、身を潜めている。
気取られては、群れに排除される。
実際
未だ、自分は 生かされている。
けれど、今年でもう18になった。
家畜を捌く方法も教わった
生活に必要な知恵も備わった
後は実践が伴えば、群れは
不要になる*]
後は滴る温い血があれば……。
[飢餓を訴えるのは喉か心か]
本当に。
この村は……いや、群れは終わりだな。
[随分と不要な者が目立つようになった。
それが素直な感想。
ぽつりと漏らした感想は。
疑う事も聞こうともしない群れには聞こえない*]
[風が攫ってきたのだろうか。
誰ぞの呟きが聞こえた気がして、見渡した]
……?
[群れの終わりを告げる不穏な声。
神通力が使えるわけでもない、ススムは
空耳だろうかと僅かに首を傾ぐ。
ミナカタに出会ったなら、声の元もわかるもの
学び舎に向かうまでに
彼に出会い、言の葉かわす事はあったかどうか*]
【人】 巫女 ゆり
(97) 2017/11/23(Thu) 23時頃 |
[視界の端に捉えたの薬師の男
先ほど聞こえた声は
誰かに殺されるくらいなら、いっそ私の手で。
[殺してその肉を食らってしまいたい。
何度そう思った事か。
寝ている弟の首に手を掛けた事もある。
しかし男に弟を殺すなんて事が出来るはずもない。
甘え、縋り、頼られる事に安堵を覚えているのだ。
弟には自分しかいない、そんな幻想に囚われているのだ。
死んで置いて行った愛した女とは違う。
誰でも受け入れ誰をも愛したあの女とは違う。
只、一途にこちらを見ている弟に依存しているのは己の方。]
[離れようと向けた背に、風に乗って声
あの真面目一辺倒で弟の錠を大事にしている男の、
いや、大事にし過ぎているからだろう。
その声は心からのものだろう。
猫ではないが、思わず喉が楽し気に鳴った]
群れの中でどれだけ庇っても。
庇いきれない時だってある。
大っぴらに手に掛けることが赦されるのは。
[儀式と罪人を裁く時。
もっとも、錠が裁かれるような罪を犯すとは思えないが。
漏らした呟きが風に乗るかどうかは知ったことではない。
彼が耳を塞ぐかどうするかも。
ただ人間になるか、家畜になるか。
何処を目指すか見定めるだけ*]
嗚呼、それとも。
[お前が咎人にでもなって彼に喰われるか?
なんていつにもなく狂気が顔を出すのはどうしてか。
ミナカタを継ぎたいと草の束を持って帰った娘のせいか。
もうこの村に、ミナカタは不要だと告げたら。
どんな顔を見せるだろう、なんて。
愉快な事を考えたからだろうか*]
【人】 巫女 ゆり
(118) 2017/11/23(Thu) 23時半頃 |
【人】 巫女 ゆり[巫女が代替わりしてしばらくの間は、 (120) 2017/11/23(Thu) 23時半頃 |
【人】 巫女 ゆり
(122) 2017/11/23(Thu) 23時半頃 |
私が咎人として死ぬのならば、この肉は錠にだけ食べてほしい。
他の誰の口にも入れさせたくはないのだよ。
[だから素直に咎人として裁かれ殺されるわけにはいかない。]
願わくばお互いを食いながら死ねたら、それが一番幸せだろう。
そのような事が可能ならば、だけどね。
[お互いの目玉を食べて、唇を食い千切り、腹を裂いて。
どれくらい生きていられるのだろう。
ゆっくりと味わいながら弟を体内に取り込みながら、弟に食べられて彼と一つになっていく。
それは甘美で素晴らしい考え。
嗚呼、それが叶うのならばなんでもするのに。]
[切実な願いはこの村ではそれこそ歪な願い
椅子を押して、一緒に崖から身でも投げたら?
なんて提案したら、弟の事となると目の色を変える
この男はどんな表情をするだろう]
そんな事、ぺらぺらと垂れ流してたら
食う前に殺されるぞ?
[目の前の源蔵に聞こえている様子はなさそうだが、
ついぞポロリと零しそうで呆れた視線を向けてしまった]
それなら、特効薬を見つけたとでも言って
自分の目を抉って食わせてやれば?
生きた肝臓も薬になるって言うしなぁ。
[食って食われて。
閉ざされた二人だけの世界を望む姿。
彼も人間でも家畜でもない、異質な者。
不要かどうか、分類は今は避け。
何処へ向かうか足踏みしたままの男を
見つめる視線は見世物小屋を覗くに近い*]
恋の病も患い過ぎると命を落とすと言うからな。
[その果てに肉も口にしてくれなかったら
どうするつもりかとも思うたが。
楽しそうだから放っておく*]
恋は手の付けられない病か。
[源蔵の呟き
良い表現だと自己満足。
しかし恋と言うなら仔を成せぬとはなんと不毛な。
それこそ群れには不要なもの。
目を細め、相手が年上でも気にせずに威嚇する]
男女の仲で互いしか、と望むなら兎も角。
この村にいる限り、群れを乱す真似、
叶うと思わない事だ。
[間引く者の存在を子は知らぬだろうが。
いや、躾のために名を変え形は変えて
表にも伝わってはいるだろう。
しかしその間引く者が目の前にいるとは気付くか否か。
気付いてどうするものか、全ては彼任せ*]
[ほんの少し。
ほんの少しだけ。
揺れる時がある。
この一時。
本当に不要なのだろうかと。
だが風が吹けばそれに乗って飛んでしまうほどの軽さ。
この村は不要な家畜が生まれる不要な村、だと]
ああ、本当にこの村はもう無くなった方がいい。
[呟きも風に紛れて何処かへと**]
――無くなった方が良い……?
[学び舎へと向かう道すがら、先程と同じ声を聴いた。
風が運んだ其れを辿り視線を向ければ大人たちの姿
その中にミナカタを見つけ、記憶に残っている仕草
人差し指を口元へ立てて見せる。
群れを乱すような話を、しても良いのかと
問いかけるような眼差し一つ置いて*]
[学校へ向かうまでの道のりに
彼からの返事は聞けたろうか。
学び舎へたどり着いたススムを待っていたのは
教え子のいない教室だった。
この分では、石動と二人で授業をこなす事になるんだろう]
……先生、質問があるのですが。
[今日の授業が終わる頃
独りしか居らぬ生徒が律儀に手を上げ、問いを発する]
もし、この村が無くなったら
先生は、どうしますか?
[唐突ともいえる問いかけだったかもしれない。
この村が無くなったら
朝聞いた狂ったような囁き声が、
どうしても頭から離れない。
自分だけが家畜に混じる人として生きていかねばならない
そうではなく
食べもしない家畜なら、いっそ全部処分してしまったら
群れに怯える必要も、なくなるのではないかと**]
[これでも憐れむ心は持っている。
憐れむからこそ、この村自体不要なのだと得心する。
この村に戻ってくるからこんな事が起きるのだ]
この村は、もう要らない。
そうは思わないか?
[人差し指を立てた眼差し
唇だけを動かして。
問う目は細く、狂気を隠さず。
さて彼に届いたか**]
[唇を読む事が上手く出来たかはわからない。
むらは、いらない――か?
彼への返事
きょとん、と
かんがえたこともなかった、という風。
けれどその直後
その先を考え実行に移す事が出来るだけの術が過ぎる。
ミナカタの薬の知識があれば
己が教わった技術で少しずつ間引いて――
ススムは思わず足を止め、彼にもの言いたげな眼差しを向けた。
如何すれば良い?
そう問いたげに。
音は無く。
会釈一つでその場を去るが]
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