3 ビー玉坂〜卒業式の前に視るその場所は…
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約束?
[きいたことがない、だけど]
――……約束は……
[どんな約束なのかと……]
(――お人よしから、血を吸うのは)
(辛いだろうと)
[ああまったく、その通りだ]
[わからない、わからない]
[――分からない。]
文化棟にも、でたんだ。
……お疲れ。
[それでも笑う声に、言葉が出ず
保健室の扉が開くのはこの少し後の事か]
なに
[目を見開く。]
[探して、といわれた退職届を思い出した。]
[複雑な空気、探した方がいいのか。
そうした所で―― 何も出来ないだろうに。]
…… な
[何があったのか、と、尋ねる のは――]
いやだよ、 こわ れ ないでよ。
[出来なくて。 生徒 はそう言った。
それは 少し 寂しそうな、響き。]
ばかじゃ ないの。
[呟いて聞こえた、低い声に。脳裡に過ぎるのは その人の顔。]
……かっこ つけて。
似合わないよ。
――……、
……壊れて欲しくなんか あるもんか
……なんで。
[莫迦じゃないの。――これも、聞いたことのある響きが
染む。ひどく、沁みた。]
[ばかみたい、 似合わない。]
[そういわれて、もっともだと、]
そうだなぁ。かっこわりぃな
[女が走り去った方向を少し未練たらしくみてから]
かっこわりぃ な
[繰り返した]
……――
[かっこ わるい か]
[声にはならず気配だけが震える]
――……、… どうしようも、…
……ない、な。
[恐らくそれは、己にも向けて。]
壊れてほしくは ないな
[だけど、もう、自分には何もできない]
せめて、鬼をがんばるか。
[そしたら、彼女は、この世界から出れるかもしれないから]
そうだよ、壊れて ほしく ない。
[同意する 声を返して。
聴こえた繰り返す、低い声。]
―― …… ばか。
[でも。きっと、――と。思う。]
壊さないで ね。
[それは、誰を だろう か。]
[どうしようもない そんな響き]
なんだか
どうしようもねぇ
みたいだなぁ?はは
はは
はは
[渇いた笑い]
[女が逃げた。ただ、それだけのことなのに]
[自分の中の何かがぼろぼろ砕けた。]
[それは、何かが、少し、壊れたのだろうか。]
……
……――、
あのひとのじゃなきゃ
いいっていうなら。
…飲めばいいだろ
…まだ北か?
[どうしようも、ない、鬼未満の鬼が、
酷く、暗い響きで呟いた。]
…… ヘドロでも飲んでろよ、ばか。
[渇きは 解らない。
ただ、憎まれ口で、返す。]
聞こえてくる言葉同じコトばっかだよ、おじさん。
頭悪そうなことばっかり言ってないで、ケイトを探そう。
[それか、誰かを ――裡に浮かんだ思考は隠したまま。
約束どおり 罵ることにした。]
……おんなじ吸血鬼憑きの、
……血が、平気かどうかなんて、
……知らないけどな。
はは
あの人のが 一番イヤだな。
でも、俺にはヘドロがお似合いか。
[ああ、なんだか、すべてが渇いた。]
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