194 花籠遊里
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/* おうや、おうや、お疲れサマ。
さあさお座敷。
お好きに喋ってくれて構わないよ。
(揺り籠ぎっこんばっこん)
/*
花が花にも、蝶が蝶とも。
咲き乱れてくれるのが、一番。
(揺り籠ギィコギィコ)
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― 帰国 ―
[結局、彼の涙を見ずに羅針盤代わりの徽章を置いて国を出た。 彼是残してきてしまった気がするが、所詮、花街の一時の夢。
その癖、夢から抜け出て、現実になることを待っている。 中々皮肉にして滑稽なこと。
しかし、逃げたのではない。 夢から覚めたのだと思う。
花籠で死にゆく櫻に、お前は花では無いと告げるためか。 墓守を廃業せよと申し付けるためか。
彼が花籠に納まっていた経緯を詳しくは知らないが、 余り褒める事のできぬ親御だったのだろう。 だが、己は見ず知らずの女に感謝をしている節がある。
彼を根を蔓延らせる樹でなく、 二本の足を持つ人に生んでくれたこと。]
(2) momoten 2014/09/23(Tue) 21時頃
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[多くの男が彼の傍を過ぎて行ったように、 同じ事をして見せた男は、夢の覚めた先で彼を待っていた。
面倒で、甘からず、泣かない櫻の子を。*]
(3) momoten 2014/09/23(Tue) 21時頃
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― 某国大使館 ―
『―――まさか、 徽章一つであれほど雷が落ちるとは思わなかったな。』
[呟いた言葉は祖国の言葉、母国の言葉。 花街で覚えた異邦の言葉と違って、語尾も揺れない。 だが、露骨な辟易を滲ませ、広い執務机に向かう男が一人。
エクトゥール・エトワル・ダルジャン参事官。 若くしてキャリアの道を進む新星。 花街を過ごす夜と一線を画する悪辣なる男。
ひらひらと花の合間を飛ぶ蝶でなく、本来海を跨ぐ人。 男の勤めは昼と夜とで表裏如く異なり、二面の顔を持つ。 そんな男が億劫そうな声を上げ、綴っているのは始末書である。]
(4) momoten 2014/09/23(Tue) 21時頃
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[地位を示し、国権たる徽章を失くしたと告げれば、大使の呆然を買った。何処にやったと問われ、花に貸したと答えたら、きつく灸を饐えられた。
金で出来た徽章では在るが、そのものの価値よりも宿る意味が大きい。他国の花街で換金され地下に流れるなど、許せぬことだったのだろう。ご丁寧なことに、アレには個々の――即ち、己の名も刻まれている。
しかし、己は始末書を書きながら何処か楽観していた。 あの櫻が一時の銭金の為に、自身の預けた徽章を売り払うとはこれっぽっちも考えては居なかった。 それは余りにも櫻を侮りすぎている。
きっと彼のプライドが許さない。]
『……さて、俺も働かねばな。 あいつばかりに、賭させるのでは廃ると言うものか。』
[独り言を呟いて、書き上げた始末書を机に放り、 代わりにレターセットへと手を伸ばした。*]
(5) momoten 2014/09/23(Tue) 21時頃
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‘Tis better to have loved and lost
than never to have loved at all.
(一度気付いてしまったならば、
知らない頃には戻れません。)
True love never grows old.
(本当の愛は、永遠に育ち続けるのです。)
朧さん。
お願い事をしても、よろしいでしょうか。
もしも、金色をした『蝶』が『櫻』を探しに来たなら。
約束を果たせずにごめんなさい、と。
『櫻』の季節は終わったのですと、お伝え願えますか?
[僕は特別な、櫻色のリボンを渡します。
どうかそれを渡してくださいと、告げて。]
[花籠での約束もまた、たった一夜の泡沫です。
『蝶』は移ろい、『花』は止める手立てを持ちません
そうだとしても僕は───…]
───僕は、『しあわせ』です。
どうか、あなたも『しあわせ』になってください。
お前の頼みを断る筈が無いだろ。
一語一句違わずに伝えると約束しよう。
[そっと櫻色を受け取ると一度席を立ちそれをしまう。
『花籠』での口約束など一つの泡。
時が過ぎれば、ぱちりと弾けて消えてしまう程の脆さではあるが。
それでも朧は『約束』を破る事は無かっただろう。
このくらいでしか、分けて貰った物の恩返しができなかったから。
そして最後に両手をついて礼の形を静かに取り口を開く。
……こうでもしないと、言いたい事は伝えられぬ気がしたから。]
世話になった。どうかお前の行く先に、幸多からんことを。
……元気でやれよ。
/*
丁は素直なんだか素直じゃないんだか。
私に抱かれたいならいつでも部屋においで?
誰よりも高く買ってあげるから。
(揺り籠ぎこぎこ**)
/*
丁助が逃げるのなら、追わなくちゃね?
まあ、私が帰るのを待っていなさい。
真っ白な服なんて着なくてもいい。
一糸纏わぬ姿でお待ち?
(ふふふふふっ**)
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[彼の手を取り、攫って仕舞った方が良かったのかもしれない。
案外、堪え性のない男がそんな風に考えたのは、 一度や二度では足りず、異国の秋はすっかりと深まっていた。 風は鼻頭を掠めて冷たく抜けて、季節は冬が間近まで迫る。
それでも、決して一時の気の迷いでなく、 あの臆病な彼に踏み出す一歩を強いたのは、 梢に留まった数多の蝶と別のものになる為だ。
彼に己の死体は埋めさせない。 残したたった一つの約束は遺品などではなかった。]
(29) momoten 2014/09/24(Wed) 21時半頃
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[花の都と名高い異国の街は霧の街と違う華やかさがあった。 気候が違うのか建築様式も何処か異なり、 大通りには賑やかな店が軒を連ねている。
鮮やかな彩の花がバケツ一杯に活けられて。 ショーウィンドウに宝石のようなチョコレートが飾られ。 二階建ての真っ赤なバスが行きかう籠の外の世界。
見るものすべてが彼を出迎えるのに、 海の向こうまで呼んだ張本人は、見当たらない。 逢いたくないと思う時は、顔を見せるのに、 彼が探し出すと見つからぬ不条理。]
(30) momoten 2014/09/24(Wed) 21時半頃
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[例え、国内と言えど、外交庁幹部の名前など早々知れ渡っているものではない。ただ、彼が行き交う人々に見せる徽章は誉れと和平の象徴。 金に輝く徽章を見せびらかして歩く彼が不審視されるまで、時はそう掛からなかった。
『これを何処で手に入れた』『異邦人か、何処からきた』 『何故、お前がこのような物を持っている』
警察が彼に浴びせる早口など、到底聞き分けられないものだ。 異邦人から徽章を毟り取り、出所怪しい身分証をジロジロと不躾に眺めた挙句、折角海まで渡ってきた彼の苦労を鑑みず、怒号と共に牢へと放り込んだ。
冷たい鉄製の檻の中、彼はまた幽閉の身の上に。 その上、此度は大層待遇が悪く、留置所の空気は淀んでいた。
彼の身分を改めた訳では無いが、花の都の警察は、九割九部九厘、彼を罪人であると見做したらしい。
花主が揃えたのだろう旅券は公的な検問を抜ける細工が仕掛けられていた。言葉も地理も、何もかも分からぬ彼が一人で異国の地を踏めるまでは采配してくれたようだ。
―――だが、その旅券が致命的なものとなった。]
(31) momoten 2014/09/24(Wed) 21時半頃
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― 留置所 ―
[不法入国すれすれの渡海に、盗品の所持。 挙句、彼には盗品を使った強請りの疑惑までかけられている。
金目当てに高官に近づく輩など掃いて捨てるほどいるのだ。]
『しかし、こんな美人が詐欺なんて世も末ですねぇ』 『外見に騙されたんだろうナァ、牢を覗いたか?華のかんばせとはああいうことだぜ。』 『刑務所に送られたら、さぞかし苦労するんでしょうなぁ』
[彼の牢を見張る凡夫達は、珍しい虜囚に興味津々で、 何処か下卑た色の滲む雑談を交わしている。 美しいものには目がないと謳われる国民性か、 華として人を惹き続ける生き方をしてきた彼に興味を持たぬはずがなかった。]
『あれだけの上玉、掃き溜めに鶴だろうナァ』 『……そうですよね、でも。どうせ、刑務所に行くのなら…』 『………、』
(32) momoten 2014/09/24(Wed) 21時半頃
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[彼が憂いている傍で、ほんの少し空気が変わった。
じめじめとした牢獄が、不意に木格子の地下牢と重なる。 彼がそれを察するよりも早く、カシャン、と鍵が上がった。
彼に希望を与える微かな音。 直後、絶望を与える確かな光景。
警官服に身を包んだ男が二人、 好奇と僅かな欲に浮いた眼を持つ男が二人。]
(33) momoten 2014/09/24(Wed) 21時半頃
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[彼に危機感を与えるには十分な状況。 花として買われるのではなく、花として散らされようとする。
彼は生まれながらの花。
入り口を塞がれ、男達の腕が彼に伸びる。 彼に慰めを求めてきた腕では無い。 罪人を罰すると云う名目で、向かう折檻。
彼は苦難に咲く可憐な花。
抵抗など、屈強な男達二人に抑え込まれ、 手錠が細い手首を背中で戒めた。 粗末なベッドに投げ出された痩躯を押さえつける腕が重い。
金子の為でも、慰めの為でもなく、 ただ、欲のために。彼は穢されようとしていた。]
(34) momoten 2014/09/24(Wed) 21時半頃
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[その事実が彼にどれ程の絶望を与えただろうか。 黴臭い枕に顔を押し付けられ、襟ぐりを引かれて背中が剥き出しになる。
荒い息遣いと、遠すぎる蝶の影。 海を越えて、蝶を追いかけ、しあわせを夢見て。
それなのに、待ち受けていたのがこんな結末だと、 三文小説すらも描かないような幕切れ。]
(35) momoten 2014/09/24(Wed) 21時半頃
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[ 花は所詮、花にしかなれぬのか。
枕に閉ざされた視界と、這い寄る体温。
諦めて仕舞え、諦めて仕舞え。 所詮花は摘まれるもの。と、彼の幸せを拒む。]
(36) momoten 2014/09/24(Wed) 21時半頃
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[――――しかし、伸びてきた腕は何時まで経っても、 彼の白皙に触れることはなかった。
代わりにバタバタと騒々しい音が立ち回り、刹那落ちる沈黙。 次に彼に触れた指は仄かに温かい武骨な指だった。
彼にしてみれば、とうとう年貢の納め時かもしれない。 頬に触れた指先は、そのまま慰めるように緩く撫ぜ。
浅く、されど、確かに、安堵の呼気を吐き出した。*]
(37) momoten 2014/09/24(Wed) 21時半頃
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― 少し前 ―
[今日も彼は来なかった。
秋風はそろそろ冷たく、落ち葉を回す。
さて、次の出向までは洋々過ごせる身の上が、 毎日大使館に出向いてデスクワークに向かうのは、 出世を求める訳でも、勤勉な性根であるからでもなかった。
――――単に待ち人がいたのだ。]
(47) momoten 2014/09/25(Thu) 00時半頃
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[出国の段にて多少の不安要素はあったが、 案外、恩の押し売りと、花への寵愛だけは欠かさぬ花主のこと。 確固とした杞憂を抱くほど、彼の手腕を侮っていなかった。
―――が、やはり、待たせる者と待つ者では時の流れが違う。 普段の彼は待つ者で、己は待たせる者だった。 逆しまの状況は、もしや初めてのことかもしれない。]
―――…港ねぇ、
[船を見ようと来ぬものは来ぬ。 そんな事は分かりきっていたが、待つのは如何にも不得意だ。 三十余年生きた男は今更己の悪癖を自覚し、息を漏らした。]
(48) momoten 2014/09/25(Thu) 00時半頃
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[慌てた様子で秘書官が飛び込んできたのは、丁度その時。 別珍に包まれた徽章の光は、花の香りよりも強く己を惹く。
約束は叶えられた。 彼は反故することなく赤誠を示した。
事情を取り留めなく説明しだした秘書に構わず大股踏み出し、 すれ違い様に煌く徽章を奪った。五指で掴んだ約束の果て。
漸く明けた櫻の季節に、荒ぶ木枯らしなど、障害にもならない。]
(49) momoten 2014/09/25(Thu) 00時半頃
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― 地下牢 ―
[異邦人とは本来奇異に映る。言葉が通じず、造形も違う。 畏怖すら抱く花の美貌が、花の都を無事抜けて、 のこのことやってくると考え居たのは己の迂闊だった。
彼は一歩、足を踏み出すだけで櫻香を撒く。 良く笑い、良く喋り、櫻の香で人を惹く。
警察に殴りこんだ外交庁幹部は、有無を言わさず押し通る。 足を止めず、要人を引き取りに来たと告げれば、 意外な――彼がずっと訴えてきた――真実に驚く詰署員等。 呆然とする彼らから止める者など出なかった。
薄暗い地下に降り、花に群がる羽虫を鋭い眼光で殺す。 彼が花をやめたその時、彼らは踏鞴を踏んで逃げ出した。
陵辱の憂き目を見ることなく、人になった彼に視線を滑らせ。 乱れた黒髪と、ほんの少しの加圧に色付いた背中を見た。]
(50) momoten 2014/09/25(Thu) 00時半頃
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[花の彼なら誰にでもくれてやろう。 花束と括り、花瓶に活けて、愛でもしよう。
だが、今の彼は、譲る気になれない。]
―――…再会早々罵倒するんじゃねぇよ、可愛げのねぇ。 お前さんが暢気に渡海しているからだろうよ。
[皮肉めいて絞った声は、僅かに上がっていた息を誤魔化した。 伸ばした指は、彼の頬から眦を慰めるように往復し。]
(51) momoten 2014/09/25(Thu) 00時半頃
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