52 薔薇恋獄
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[強い光が射して轟音が響いた。一瞬屋家の電気が消えて]
楓馬…ストップ
[確か階段近くにいたと最後に見た姿に手を伸ばす]
(2) 2011/05/20(Fri) 00時頃
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『こロす、のろウ』
『だめ』
『みんなころシてやる』
『だめ、だめ、ころしては、だめ』
『あかつキさマ』
『違う、あの子はゆうきという名前の別の人』
『なかヨし』
『違う』
『にくイ、しあわせな恋人、ニくい』
『だめ、だめ、憎んではだめ』
…良い
俺が、言いたかっただけ
こうして聞いてくれただけで充分…
[目の端を拭い、重ねたままの手をぎゅうと握った]
もし
もしも
僕が、…したの
甲斐先輩か珀先輩だったとしたら…
どうか、します?
『にくクないのカ』
『憎くないのよ』
[ 女は話す。まるで、二つの人格が一つの身にあるように ]
『でモ、もうとまらナイ。このマま死ぬ、皆シぬ』
『我慢して。あなたが耐えれば、……その間に皆逃げられるから』
『ダメ、くるシい、いたイ、またどこかデ恋がしんダ、痛い』
『…………』
『恋ヲ失っタ、わタしの仲間』
『…………でも、殺してはだめ、だめなの……』
[ 女は言う。自分の中の化物を一生懸命、宥め諭すように ]
『……やさしい人達。わたしを見ても、逃げなかった』
『わたしの為に何かできないかと頑張ってくれた』
『こんな雨の中、必死になって探してくれた』
『そんな人を、そんな人の大切な人を』
――……な、……
[告げられた名前に、体が強張ったのが握られた手から伝わっただろう。
目に見えるほど狼狽し、そして自分でそれを理解できずにさらに混乱して]
した、って……
……けーしくん、とか……ふーまくんとか、と……
きす……した、と、したら……?
[もしもの話だと彼は言った。
それにもし、じゃなくても。別にキスくらい。
ちょっと、唇が触れ合うだけの、親愛を示すだけの……]
赦さない……――
[酷く、冷たい声が。無意識に零れた]
[ その声は彼ら二人の耳にも届いただろう ]
[ だけどそれを最後に ]
[ *日向(ひなた)の声は再び聞こえなくなる* ]
[呟いた言葉は自覚できず。
それでも胸中に渦巻くどす黒い感情に狼狽して。
逃げるように、階下に向かったのだろう――*]
[冷たい声に、ひゅうと喉が鳴った。
変貌に声を失い、その背中をただ見送るしか出来なかった]
……あふ、あ、赦さないって…
はは、俺のこと、赦さないって…
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薔薇…の匂い?
[濃厚に香る花の匂いに少しむせて…石神井と蓮端の不在より先に不安気な声をあげる後輩を案じて、思わずしがみつかれた片手を強く握る]
(17) 2011/05/20(Fri) 00時半頃
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ひな、た……?
[確かに聞こえた。
日向の、声だ。
ほっとするのも束の間、交わされる会話に、心臓が握り潰されるような痛み。
咄嗟に差し伸べられた手を掴んで、蹲るのを耐え]
……ばかやろ……っ!!
[助けられたくて、彼女を探したんじゃない。
彼女を、助けたかった、のに。
会話の全容はわからない。
けれど、ヒナタが自分たちのために、彼女の戦いをしてくれているのだとは分かって。
遣る瀬無い想いと痛みに、胸元を握り締めるしか、出来ず]
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[そして今までいなかった死の匂いを漂わせた女の姿が目の前に現れれば]
お前 なんだ…
[自分の背の後ろにかばうように掴んだ手をとっさに引き寄せた]
(22) 2011/05/20(Fri) 00時半頃
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……ひゅうが?
[ヒナタと同じ気配。
けれど、違う姿。
確証はなく、問い掛けた声も、霧散して]
[同調しない筈の自分が同調したのは、
生きている人を相手にするのと同じで、言葉に同調したのだ。
相反する2つの気持ち。
それは、良く知っているものだったから。]
『 願わくば、日向(ひなた)の気持ちが勝っていればいいが。
嗚呼……―――。』
[それをずっと強いるのは、惨いとも、判る。
判っていながら、大事な人は助かればいいと、思わずにいられないのは、罪だろうか。]
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[女の姿が消えると]
あっ ゴメン!
[振り回すように引っ張ったりしたことを慌てて謝って ようやく周りのざわめきで石神井君と蓮端君の姿がないことに気を回すが]
えっ?
[楓馬が力なく呟く言葉をきいたなら]
どういうこと…?
[疑問の言葉を発したけれど。もう大丈夫だと判断できると薔薇の匂いたつその人の手を>>30ゆっくりと離しただろう]
(47) 2011/05/20(Fri) 02時頃
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[マドレーヌを、もすもす食べながら思う。
現場にいけないので、思うことしかできない。]
……俺の方も変な目で見られるとか、心配をくれたのは、
まったく初対面の霊だと日向が初めてだったさ。
[逃げなかったのは、自分たちが初めてだと言った彼女。
そんな彼女の優しさを信じたいという気持ちと……。]
日向(ひゅうが)……か。
[一般的には悪霊と呼んで良い名を紡ぐ。
確かに、人に害なすのは好ましくはないのだけれど。]
お前の気持ちは、少し判るよ。
[存在を否定はできない。
知った想いは形は違えども己の中にもあるものだから。
なくそうとしてなくせる感情ではないとも、知っているから。
それが、珀という存在があるから、この力を使うこともあるけれど、積極的に使おうとしない理由の欠片。]
『ごめんなさい、わたし』
『楓馬も蛍紫もわたしに優しくしてくれたのに』
『わたし、このままだと』
『化物になってあなたたちを皆、殺してしまう』
[ 女は訴える。足りない言葉を補うように、矢継ぎ早に ]
『わたしは日向(ひなた)』
『そして、日向(ひゅうが)という化物でもある』
『ひゅうがは、恋獄の主』
『恋を失った人の魂を奪って恋獄に留める存在』
『この地に囚われた魂は』
『いずれ浄化され、来世で幸せになる、けれど』
『わたし、やさしいあなたたちを殺したくない』
日向……。
[一刻も惜しむ様子の日向に、問いを挟むことはしなかった。
ただ、告げられる言葉に、触れられない手を握り締めて、くちびるを噛む]
…………分かっ、た。
ありがと、……でも、お前は!
[なら、おまえはどうなるんだ、と。
この地の魂が、いずれ幸せになるのだとしても、日向自身はどうなるのかと。
口にする前に、日向の姿は消えてしまって。
入れ替わりに現れる、さきほどの亡霊]
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[>>47問いかけは耳に入らなかったように風呂へ行くとく後輩をそれ以上追いかけることはなく。2階の廊下を見渡す 部屋から出てきた百瀬と、土橋、そして最上達の部屋へと入って行こうとする織部の姿は目にしただろう]
他は…
[恐る恐る階下の自室と向かう、これ以上誰かいなくなっていないようにと祈りながら]
(94) 2011/05/20(Fri) 12時頃
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[階段を下りていけば 2階へ向かう鳴瀬とすれ違うだろう]
先生、石神井と道端が…
[伝えようとしてその表情から先に降りて行った栖津井先生に事のいきさつを聞いたのだと判る]
2階に隠れる場所も通路なかったと思いますけども、もし上を探すならこれを持って行ってください
[残っていた懐中電灯3つのうちの1つを渡す]
(96) 2011/05/20(Fri) 12時頃
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[れんごく。
その響きは、煉獄とも違う。
一番ちかいのは、バスの中で克希の小父が話してくれた、『薔薇恋獄』の、響き。
怪談は怪談、と。
日向の一側面でしか無かったことに、安堵してもいられない]
……恋を、失ったひと……。
[日向のことばかり、考えているわけにもいかないようだ。
じわじわと、彼女の言葉の意味が思考に滲みてくれば。
奇妙で、哀しくて、けれど退っ引きならない状況に、頭を抱えたくなった]
つまり、失恋したらダメってことだろ……?
……だからって、そんなん、ダメって言えるもんじゃねえし……。
[そもそも自分が手本になれそうも無い立場である。
かといって、]
恋、すんな、とか。……言われたら、ふざけんなって感じだよな。
[自分も言われたくない。
そも、言われればしないで済むのなら、日向の悲恋話だって起きなかっただろう]
……どう、するか。
[日向の口ぶりから、彼女が片割れの衝動を抑えていられるのにも、限りがあるようで。
いずれ、恋を失ったかどうかは関係なく、皆が危険に晒されそうで]
…… でも、うん。夕輝せんぱいと、哲人せんぱいは、やっぱり無事なんだ。
[あの時の会話は、ヒナタが主導を握っていた。
まだ、時間切れじゃない。はず。
それに、ふたりは。
恋を失ったの対義は何だろう。得た、とでも言えば良いのか。
寄り添うさまを思い出せば、会えないのは心配だけれど、すこし幸せな気分になって、ちいさく笑う。
哲人はもちろん、夕輝もやわらかで幸せそうな表情だったのを、覚えているから]
日向が、頑張ってくれてんだから。無駄にしちゃダメ、だ。
[ありがとう、とカラの手にもう一度呟いて、決意。
けれどそもそも、このことを同じく日向を案じているだろう蛍紫に伝えるのか。
それが最初にして最大の難関であることに気づけば、やっぱり頭を抱えたくなった]
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[殆どの者が2階にいたような気がしていたので後は…]
甲斐お前無事だろうな…
[いつもの気安さと慣れでノックもせずに和室のドアを開くと二人でマドーレヌを食べている姿が目に入って少し目を丸くして]
ものすごく大丈夫なのか…な
[その割に眉間の皺がいつもの3割増な事で少しづつかける言葉は小さく遠慮がちになる]
(99) 2011/05/20(Fri) 12時半頃
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