65 In Vitro Veritas
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[カツンと響く、変な靴の音]
[時折響く、甲高い不快な声]
[その居場所は容易に知れた]
[落し物を探しているあの女]
――……ヨルを、返せ。
[その時コーダはまだ近くにいただろうか。
いたとして、聞こえただろうか。
今までに一度も聞いた事がないような。
酷く、冷えた、恐ろしい声色を]
[「何よ」と文句に開きかけた口に。
先ほど持ち出した……鋏を突き刺した。
ヨルと似てるけど似てない女の身体がビクンと跳ねて。
くぐもった汚らしい声で悲鳴をあげた]
うるさい……うるさい……うるさい!
お前のせいでヨルは帰ってこなかったんだ!
どうして!
ヨルは壊れてなかったのに!
お前のせいで壊されて!
捨てられたのか!
[悲痛な声で叫びながら。
言葉のたび、振り上げて、突き刺す。
女の柔らかな肉に、何度も何度も何度も何度も]
[真っ先に潰された喉は罵声も命乞いすらもさせなかった。
聞きたくない、もう聞きたくない。
ヨルとよく似た顔で、ヨルとよく似た声で。
ヨルを馬鹿にしたこいつの言葉なんか聞きたくない]
…………ヨル。
[もうピクリとも動かなくなった女の身体。
見開かれたままの瞳。
その周囲に、赤黒く染まった鋏を振り下ろす。
ぐりぐりと、ぐちゅぐちゅと肉を裂いて]
……おかえり。
[抉り出した眼球に微笑みかける。
いつもと同じ、優しい笑みを浮かべながら]
[ヤニクといっしょに地下にきたか。それとも一人だったか。
ともかく、そのときはヤニクと離れ、きっと彼は近くにいた。
呼んだ声は、彼の耳には届いただろうか。]
――………ニッ………ク。
[彼の目には見える場所、だけど、ほかの者には視覚となる場所で。
その穴だらけになった遺体を見ることとなるだろう。]
[ニックが取り出したその眼球。
それは、あの頃のヨルの瞳の色を湛えている。]
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― 地下2階 北側廊下 ― [しなやかな彼の指先は、自身の青灰の一度指差した]
……それ、手術すんの? 悲鳴あげたら王子様が助けに来てくれる、了解。
[>>1:397 岩瀬の去り際、答えを求めない問いを一つ投げた。 答えを待つまでもない、移植という医療行為は市民の権利だ それから冗談ひとつ添えて、送り出す]
さて、とりあえず一周してきたけど、 部屋の中までは見てないんだ。 とりあえず手当たり次第に開けてみる?
[本屋に向き直る、灯りの戻った室内、 見通しの効くところでは転送装置の向かい、 階層の中央に位置する部屋への扉が一つ]
(6) 2011/09/28(Wed) 10時頃
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― 地下2階 コントロールセンター ― [一度足を止める、何か嗅ぎなれない、 鉄くさい匂いがした気がしたが、血の匂いだと結びつかない。 本屋の方はそれに気付いただろうか、気にせずに扉を開く。]
……この部屋は。
[机と端末、上の同じ場所にあったステーションと異なり、 医療行為のための場所ではないこと、はわかったが、 それ以上何を果たす部屋なのかまでは判断がつかない。
部屋の四方を確認しようと見渡せば、すぐに視界に入った。 淡いグリーンの光、非常用の誘導灯の色]
(7) 2011/09/28(Wed) 10時頃
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これで、ここから出て行けそうだな。 ――…なんか、悪い夢って言ったら悪いけど、わるいゆめ、 そう思っておけば――…
[そう思っておけばいい]
[断言の出来ないまま、その非常用転送装置に近づいていく。 作動させようとして、それが動かないこと。 作動条件のあることは、まだ知らぬままに**]
(8) 2011/09/28(Wed) 10時頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2011/09/28(Wed) 10時頃
あいつのせいで、ヨルは壊されたんだ。
だったら今度は。
ヨルのために、あいつが壊されないと。
ニック……。
[その言葉は、それまでのニックからは考えられないもの。
だけれども、否定することはできない。
あのモニタの中で、殺された自分と同じ存在は、
壊れたかけたオリジナル、の犠牲になった。
もし、オリジナルが死んでしまっていたら、
壊されなかったかもしれないのに。
(そうなると、不要で処分されることなど知らない)]
ニック、お前が危ない……気がするんだ。
[そんなに優しい彼を、知っているから。]
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― 地下2階・コントロールセンター ― [>>13 病院ぽくない、その言葉に一度頷いて、 問いかけられた言葉に、ああ、と半端な返事を寄越したのは、 その時に丁度、非常灯が目に入ったからだろう。
背後、駆け寄る気配に振り返り、忘れたい、という言葉に、 視線が留まる、本屋の表情までは伺いしれなかったけれど] ああ、さっきの人ってヨーランダ、か。 雪織……って、いえばわかるかな、国営銀行総裁の一人娘でね。 ま、人を振り回すことなんてなんとも思ってないっていうか……
あ、そういえば俺の名前名乗ってないか?
[小さく嘆息ひとつひきずって、雨宮セシル、と名を名乗る。 そして脇に避け、装置に触れる本屋を見守る姿勢]
(34) 2011/09/28(Wed) 21時頃
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さっきも思ったけど、 わけわかんない機械によくまあ簡単に触るな。
[触れるその指先は中性的な物だっただろうか、 多少はフェミニストの自覚がある、のだが、 どうにも余り性を意識しない扱いをしていることに、気付く。]
(36) 2011/09/28(Wed) 21時頃
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[思考を遊ばせているのは、 その文章が読み上げられるまでのこと]
『 転移先、B棟前玄関。 転移範囲及び定員―B1及びB2に存在する…… 』
[思わず背後からその注意書きを覗き込む、 多少のしかかるような形になってしまっただろうか。 眼差しを狭めて、ジャケットの袖でプレートを拭ってみたところで、 その定員部分は、読めない]
階層指定型の非常用転送装置、か。 ……、さすが旧式だな。
「定員オーバーです」 ってなんだよ。
[点滅する無機質な文字列に、本屋もまた気付いただろう]
(37) 2011/09/28(Wed) 21時頃
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まあつまり――…、 定員内だったら、停電から回復してた時点で、 自動的に指定の場所に転送されてた、ってことかな。
今は定員オーバーで動いていない、と。
[どうする?とでも言わんばかりに、 相手へ向ける眼差し、無論彼自身も答えなど、 まだ何も出ていない。]
とりあえず、出るか。
ああ、……ヨーランダには教えない方がいいな。 『だったら定員を減らしなさいよ』 って返ってくるのは、目に見えてる。
[事実は事実として咀嚼すれど、 感情も判断もまだ追いついてこない、 本屋はどうしたか、確認せぬままコントロールセンターをでた]
(40) 2011/09/28(Wed) 21時半頃
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― 地下2階コントロールセンター前 ― [扉を出て、果たしてどうしたものか。 とりあえず紙巻を咥えてしまったのは、 それだけ、現状に余裕がなかったのかもしれない]
――……定員オーバー、ね。
[出会うものがあれば、一応。 非常用脱出装置のあることは伝えただろう、 ただ、今は動かないことを一言付け加える。
何故、と問われるのなら「定員オーバー」 であることは、迷いながらも伝えるだろう。 いわゆる一つの、人間性 というものを信じて**]
(46) 2011/09/28(Wed) 21時半頃
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セシルは、ゴミ捨て?と身を起こしたけれど、まだ少し喫煙中**
2011/09/28(Wed) 21時半頃
奏者 セシルは、メモを貼った。
2011/09/28(Wed) 21時半頃
[倉庫を出るとき、気が付かなかった。
ニックがヨルの瞳を大事に持っていることを。
気が付けば、それも、なんとか置いておくように説得したのに。]
セシルは、寄りかかった壁から身を起こせば、先ほど声のしたほうへと歩き出す
2011/09/28(Wed) 23時頃
奏者 セシルは、メモを貼った。
2011/09/28(Wed) 23時頃
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― 地下2階 ゴミ処理機前 ― [>>54 定員内にするためには人数を減らさなくてはならない。 本屋の――散花のその命題の答えは、他に出口を探す、だった。 その答えにどこか安堵したように一つ、息を吐いた。 雪織の件で、多くを語らずとも納得されたらしい、 苦笑にも似た笑みを返し、散花と別れたのが先ほどのこと。 去った後、零れた呟きのことなど知るはずもなく]
[そして今]
[視界にあるのは広がる血紅の中、 物のように転がる女の姿だ、あるべき“もの”がない、 ただ、うつろな眼窩を晒している。 「雪織」と呼ぶ、誰かの声で状況がすとんと落ちてくる]
……ヨーランダ?
[震えた声、口元を押さえ込む。もう片手は壁に触れた]
(80) 2011/09/28(Wed) 23時頃
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[ゆるく首を振る。 >>74 青年の怒鳴り声に眉根の寄った。 眼球のない雪織の亡骸、思い出すのは――、 長く整えられた爪がそれを指して告げた、こと。]
大声を出すな、響く。
[抑えた声音は小さく。 亡骸の傍の“ふたり”怒鳴られた当人は、 何もわかっていないといったように、見える。 それもまた、確かに“異常”に感じるのだけれど]
(83) 2011/09/28(Wed) 23時半頃
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[奪われた眼球] [雪織の振る舞い] [誰に殺されたのか] [そんな問いは口に出ない]
[彼女はいつだって、 彼女の為の犠牲を省みることはなかった。 それはここに来る前から気付いていたこと]
[>>86 散花の声音は幾分柔らかに耳に届いた。 案じられたように感じて、口元からそっと手を離す]
いや、大丈夫だ。 ただ、平気なんだな、……“彼ら”は。 ……なるほど、動かないものは、ゴミか。
[一度目を背ければ>>78おなじいろが、 こちらの様子を見ている、ことに気付く。その姿を黙って見返す]
(96) 2011/09/28(Wed) 23時半頃
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[>>101“彼ら”の言葉は至極単純明快で、 それはやはりリーネと話したときのように、 子供に対峙したときのことを思わせるのだけれど]
――…捨てるってどこに捨てるのかな?
たしかにヨーランダをこのまま、 ここに置いておくのはどうかと思うんだ。
非常用転送装置があんななんだから、 ここから何時出られるか、わからないんだし。
[見やるのはここにある“オリジナル”の彼ら すり抜けていく>>107黒田フランシスカにも、 声は届いただろうか]
(110) 2011/09/29(Thu) 00時頃
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[自分のクローンはすぐに俯いて目を合わせない。 何を考えているのか、わからない。]
この遺体をヨーランダの家族に? ……むしろ見せない方が、いい気はするがな。
[>>124 相手は雪織、なのだ。 明らかに眼球の抉られたこの亡骸を示されて、 果たしてどのようなことになるか。 幼い頃からよく知る人が無残な姿になったというのに、 酷く冷静に思考は巡る。それは違和感と感じられただろうか]
……ええっと、散花くんのクローン? そのシーツ、とりあえずその子に、 かけてしまえばいいと思うよ。
[>>127 シーツを持ってきたらしい、 彼女に足を向けかけて――>>133 近づく気配に気付いた]
(134) 2011/09/29(Thu) 00時半頃
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[>>135 その呟きを聞き咎める。 だったら何故怒鳴ったりしたのか。 わずかに眉根を寄せた姿を見る者があったかは知れず。
>>139 亡骸がシーツに隠されれば、 散花と水無月のクローンに「おつかれさま」と一声かけて]
(143) 2011/09/29(Thu) 00時半頃
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[>>140 礼をして問いかける自身のクローンに向き直る。]
誰、って、 ――…雨宮セシル。
[彼の問う“誰”は名前、ではなく。 もっと本質的なところなのかもしれないけれど、 彼がそれをリーネのように「知りたい」と、 望んでいるのだとしても、今ここで話す気にはなれない]
(144) 2011/09/29(Thu) 00時半頃
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[>>147 名を反芻するクローン、 その眼差しに落胆が過ぎるのを一度見た。
>>148 聞こえた言葉に、むしろこちらも嘆息が混ざる。 そういえば先ほども自分は零したが、 興味を示されなかった、ような気がする]
非常用転送装置なら、動かない。 故障というわけじゃ、ないんだがな。
コントロールセンターの…… 中央の部屋の中に、ある。
[何故動かないのか、続きを言わなかったのは青年の振る舞いが、 つまりは余り好ましいものとは映らなかったからだろう。]
(153) 2011/09/29(Thu) 01時頃
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[掃除をするって、
掃除をされる?
掃除って?
掃除は、綺麗にすること?
綺麗にすることって、
いったい……。]
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[>>155 自己紹介は停電中の込み合った非常階段前、 まあ、名乗ってないようなものだろう、と。 自己紹介をされたなら、改めて名を名乗る。
>>156 散花の言葉にシーツのかかった亡骸に、 視線を移す、非常用装置のことを口にした時、 考えていたことは同じらしい]
定員枠が一人減った、からな。 ……君は少し休んだほうがいいんじゃないか。
[疲れたようなため息を思い出して、 散花に一言、そう添えて]
(160) 2011/09/29(Thu) 01時半頃
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