82 謝肉祭の聖なる贄
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[不意に自分の現在の毛並みを思い出して]
………ああ、あの贄は要らんとは言ったが。
一口くらい味見はしてみても良いだろうか。
[あまり好みではないと言っても、少しでも食べれば毛並みが元に戻らないだろうかーーと]
味見か。
断らずとも誰も咎めはせぬが。
好きにすれば良かろう。
[一番乗り気なのは茶色の輩のようでもあったが、ぽつりと横から口を挟んだ。]
………良いと思うよ?
もともとみんなで食べちゃうつもりだったんだから、さ。
[ちいさな白金の主からは、咎める言葉は出てこなかった。]
味見、だけだぜ?
喉仏食いちぎるのと心の臓とは、やっぱり公平に決めねぇとな。
[どっちにしろ最後には皆で喰らう事に異存はないが、一応クギを刺しておく。]
ではとっととくじで決めろ。
我は如何様にも構わぬ。
[ふんと鼻を鳴らした。]
[銀灰、白金の声に続き、茶の同胞が念を押すように言うのが聞こえれば]
ふむ。その辺りまでは要らん。
もとより私が未成熟な餌はあまり好まぬ事は知っているだろう?
まあ、腸なり胃の腑なり一口二口程度貰えれば十分だ。
[取り出すのは多少歪んだ六面の賽ふたつ。
数年前に喰らった奴の手首の骨で作ったものだ。]
じゃ、目のデカイ奴が勝ちなー。
[空の盃へと、二つの賽を放り込んだ。
2・5]
[冷厳に端正に振舞うこの大神が、いざ神饌の供物を喰らう段には淫らに狂乱する事――長い付き合いであれば数え切れぬほど目にしたことであろう。
輩とひとつ贄を分け合う為にそれを抑えるが故の、「どうでもいい」であり「何でも構わぬ」のだと――知れるだろうか。]
[長い指で賽を摘み上げると、面白くもなさそうに放り投げた。
賽は2と5の目を上にして止まった。]
あぁ……うん、公平に。判ってる。
[茶色の主がクギを刺したのは直接自分に対してではなかったとは思えど、
声は自然に、か細い声として紡がれていた。
やがてこの白金が振ることとなった賽の目は、16]
[賽を振る3頭の同胞を眺める。
己は先ほどの宣言通り、賽を振るつもりはない]
………茶のは、ずいぶんと贄に懐かれたようだな。
[その声音に隠る色は、羨望か哀れみか、それとも他の何かか]
…こういう場合はどうするのだ。
[じろりと茶色の輩を睨む。]
まぁねぇ…。
[白の御大の言葉に、ニヤニヤとしながら。]
何でぇ、どれも足して7かよ。
振り直し、かね?
[振られた賽の目を見て渋い顔。
もう一度とばかりに白い賽子を転がした。
32]
[もう一度賽を振るのを見れば、眉顰め]
……致し方なし。
[再度賽を投げる。11 ]
……………… こういうことも、あるんだね ……。
[振り直しとの言葉に、今一度、白金は賽を振り直す。
此度出てきた目は1、2]
じゃ、俺からな!
[うきうきと上機嫌に宣言し、支度の整った幼い贄を見る。
まぁ、全て食い尽くすつもりはない。
極上のところを戴いて、後は分け合って食べる気ではいる。]
……………おめで、と。茶色さま。
[己の二番乗りをさとった小さな大神は、息つきながら小さく囁いた。
一番乗りをうらやむような、上機嫌さをうらやむような。
そんな不思議な声色は、どこか控えめな声色で。]
……好きにしろ。
[冷たく言い捨てる。
血肉を前にすれば、この冷たいポーカーフェイスも崩れるのだろうが。]
フッフッフ……実に愉しそうだ。
[上機嫌に宣言する茶の同胞と、それまでの銀灰と白金を交えたやり取りとを眺めていた灰白は、人間たちに向ける事のない笑い声をこぼす。
それは、年若い者に対する微笑ましく思ってのものだろうか]
薬屋 サイラスは、メモを貼った。
2012/03/15(Thu) 01時頃
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[見上げた先、なんだと訊かれて、目を伏せる。]
いえ、大神様、なんでもありません。
[伸ばされる指、口に突っ込まれれば、驚いたように。 ただ、その意図するところがわかれば、少し戸惑ったのちに、舐める。]
――……ッ
[だが、あまりそれは慣れたものではない。]
(46) 2012/03/15(Thu) 01時頃
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[指はそのままあっただろうか。 引き抜かれれば、その視線は、前方の、足台にされている少年に向く。
足指を口にする様子に、アクアマリンは、やや眸を揺らしたが、そのまま、重みに耐えている。]
――……?
[だが、背に座る大神が少年に足指を舐るのをやめさせ、自らに誘う声がすれば、はっとした。
衣擦れの音のあと、その次に背にかかる負荷は、それまでよりは厳しいものに。]
――……ん
[耐えていこうとするが、さすがに余裕はなくなってくる。 ふと、ぽとりと額から滴が垂れた。 そう、みるみる汗が噴き出してくる。]
(47) 2012/03/15(Thu) 01時頃
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薬屋 サイラスは、メモを貼った。
2012/03/15(Thu) 01時頃
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>>49 [こちらは未熟…。その言葉に眉を寄せた。 そう、若者はいたってノーマルに過ごしてきたのだから。指を舐めろなどという状況に陥ったことはなかった。 ただ、そういう覚悟はしてきたつもりだ。
そう、もう、自身は、大神様に捧げられる贅。 アクアマリンの眸は、舐めながら細まる。
言い聞かせられた贅であることの誉れは、一種の陶酔感を産んでいた。]
――…
[空の杯を見れば、またお注ぎいたしますとは、言葉にできなかったが、注ぐだろう。 ただ、それが、ヨーランダを込みの重さになった場合は、もう、手を動かすことはできなくなる。]
(52) 2012/03/15(Thu) 01時半頃
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サイラスは、汗が髪の先からも滴り落ちていく・・・。
2012/03/15(Thu) 01時半頃
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[その手が重みに折れそうになるとき、負荷は軽くなる。 ふうっと安堵の息を漏らして、またちらりと初老の大神を見た。
贅は大神には逆らえぬ。 よし、と彼がどくまでは、椅子であり続けなければならぬのだろう。 先ほどの、銀灰長髪の主も見れば、少女を掻き抱いて、 茶色の恰幅のいい大神は黒髪が相手しているか。
みずぼらしい衣は、視界にあるが、さほど気にならなかった。**]
(56) 2012/03/15(Thu) 02時頃
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薬屋 サイラスは、メモを貼った。
2012/03/15(Thu) 02時頃
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>>57 [背から負荷が軽減し、少年は解放される。 されど、その前で、彼は震えて、背の主を見つめているようだ。]
――……はい
[空の杯、また酌を促されれば、手は徳利を持ち、初老の大神に酔いを促す。 その表情は、そのうちに、まさに椅子のように黙りこくるが、流れはじめた汗は止まらない。 ひどい緊張状態がはじまっていた。]
(61) 2012/03/15(Thu) 08時半頃
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サイラスは、しかし、耐え、ただ、静かに汗は落ちる。**
2012/03/15(Thu) 08時半頃
今年のも、中々旨いぜ?
食いに来いよ!
[臆面もなく呼び掛けて誘う。]
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>>65
――……いいえ
[苦しいか、の問い、最初は自分に向けられたものではないと思った。 だが、視線がこっちを向いているのを知ると、ゆっくりとかぶりを振ってそう答える。 実際、苦しみは重みにではなく、同体勢でいることによる痺れに変化していた。]
――……
[そして、向けられた視線に下から見上げるアクアマリン。そこに映る景色にはまだ紅色はなかったが…。]
(77) 2012/03/15(Thu) 16時頃
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サイラスは、>>67笛太鼓の音には、やや、目を見開いた。
2012/03/15(Thu) 16時頃
薬屋 サイラスは、メモを貼った。
2012/03/15(Thu) 16時頃
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[それから、初老の姿の大神が彼にどういう態度をとったか。いずれにしろ変わらぬのは、そのアクアマリンの眸、貼れた空だと例えられたそれに映る景色に紅色が映ったこと。
少年が胸を剥かれ、白い肌、突き立てられる牙。 噴き出す血飛沫。 その様子を瞬きすることもなく、凝視する。
そして、少年の事切れた顔をまた、見やり、やっと目を伏せた。]
(79) 2012/03/15(Thu) 16時半頃
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あー!おいしいー……
[まるですっかりはしゃぎはじめた様子で、小さな大神は吠えたのだった。]
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――……
[茶色の大神が少年の命を食べたが、 そののち、別の大神もその捌かれたばかりの肢体に赴く。 そして、その食らう姿を見て何かを想っている。だが、表情に出すことはない。]
(82) 2012/03/15(Thu) 17時頃
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