26 Fairy Tales Ep.4
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―森の中の自宅―
……ネッカルさん、起きましたか?
[いつもの様に、足を引き摺りながら帰宅をして。
数日前から部屋に匿っている少女に呼びかける。
重症を負っていた少女は一日の殆どをまどろみの中で過ごし。
今もまだ、眠っているらしい。
テーブルに薬の入った籠を置いた時、気配に気がつく。]
……、………。
どちら様です?
断りもなく、人の家に入り込むなんて。
[疲れきった様に深い、ため息をつき。
部屋の中で待っていた者、一頭の黒い狼を見遣る。]
………?
[見知らぬ巨体の狼は笑ったようだった。
それを訝しがるのと同時。
狼の姿が黒い靄のようなものに包まれ、人の形を成す。]
レグッ……レグルス様ッ!!?
[それは10年前に死んだ筈の姿。
目の前に死んだ筈の存在が現れて、湧き上がるのは懐かしさではなく恐怖。
伸ばされた男の腕を乱暴に振り払い。
だんっと壁に背からぶつかり、ずるずると崩れ落ちる。
元々悪い顔色は一層蒼白く染まる。]
い、いやだ……。
[不自由になった左足はままならず。
ぎゅうっと握られたように胸が痛む。
声も身体も恐怖に震えながら。
死神とも思える、亡霊を見据える。]
全部、報いですか。
あなたとカストルを見捨てた俺への。
だけど、俺はまだ死にたくない。
まだ死ねない。
1年なんて要らない。
半年でなくてもいい。
3ケ月……1ヵ月だっていい。
奪われるだけで死にたくないッ!
まだ生きたいんだ!
復讐する時間だけでいい。
俺に下さい!
[震え声、悲痛なる願いを叫ぶ。]
[その瞬間、くしゃりと頭を撫でる感覚。
顔を上げると、優しい笑顔を浮かべるレグルスの顔。
光が満ちる――。]
『我が真の名はルシエド。欲望を司るガーディアン。
死にとりつかれたお前の尽きる事なき願い。
生きたいと願う欲望が我を呼び覚ました。
オルグイユの名を継ぎ子供達が集いし今。
欲望の名のもとに我が加護を与えよう。』
[光が弾けて、まるで夢であったかのようにその姿が消えると同時。
残されたのは、首元の枷の如きチョーカー。
仄か光るブラックオパールの証が揺れる。]
ルシエド……ルシ……リューシ……。
まさかっ……!
[自らが偽名に使っていたその名は。
子供の時に聞いた伝説の人狼の名。]
……不思議だな。
すごく、体が楽になった気がする。
[現実感のないまま、首の証に触れ。]
オルグイユの名を継ぐ子供……。
[暗い表情で*呟いた。*]
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―森の中の自宅―
カラン――……。
[ベルの音が響く。
横に座ったベッドの中では傷ついた少女が眠る。 その寝顔を眺めながら、貰ってきたばかりの薬を飲み込み。 首元を隠すようきゅっと服のボタンを*留めた。*]
(16) 2010/08/05(Thu) 13時頃
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姿を変えるには、情報収集が基本、なの。
誰に代わろうかしらー、なの、なの。
[くすくす。]
若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/05(Thu) 13時頃
『この村に、人狼が現れた』―――
―回想―
[愛している人−いや、愛していた人がいたムート村にそのような噂が流れたのは、オルグイユの惨事が起きたすぐの事であった。]
人狼なんて・・・いるわけないじゃない。
[村の皆には隠していた事。
自らの出生と、その出生から公私ともに、見せ物にされていた事実。]
・・・ねぇ、ウェーズリー。
貴方はあたしが、みんなが言ってる人狼だったとしたらどうする?
[ただでさえ、駆け落ち同然に男の家に転がりこんだという事実。
けれども、辛くはなかった。
見せ物では無く、『ヒト』として受け止めてくれたただ1人の男性。]
・・・うぅん、冗談よ。気にしないで。
あたしが『よそ者』だからよ、こんな噂がたっているの。
[相手を苦しませないでついた嘘。]
『・・・フランシスカ、一緒に、この村から出よう。
2人で、ここからずっとずっと遠い、遠い所まで。』
・・・ウェーズリー・・・
[彼の口から出た、言葉。信じていた。
この時間が永遠に続くと信じていた。あの時は。]
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―森の中の自宅―
……確かめたい事ができたので、出かけてきます。
[ベッドで眠る少女の髪に撫ぜるように触れ。 聞こえては居ないだろうが声を掛けると。
杖を片手に、村へと降りていく。]
(35) 2010/08/05(Thu) 21時頃
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若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/05(Thu) 21時頃
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― →広場―
[人の姿に、足を止める。 お節介な女と怪我人を背負っていた男。 村のものではない似た面差しの二人。]
…………。
[じっと睨むよう見詰める。]
(39) 2010/08/05(Thu) 21時半頃
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[向けられる萌葱の視線。 焦点をぼかすよう直視を避け。]
……怪我人。 死にましたか?
[ぽつりと独り言を零すように、尋ねる。]
(43) 2010/08/05(Thu) 21時半頃
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ええ。おかげさまで。 いつもの、事ですから。
[女の言葉には僅かに迷惑そうに眉を寄せ。 抑制なく答える。]
(44) 2010/08/05(Thu) 21時半頃
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さあって、と。
誰と入れ替わるのがいいかな、なの。
死人が出たらまた余所者から処刑するに違いないの、なの。
それが人の性だものね?なの。
[くすくす。]
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……ロミオ先生は、名医ですから。
[大丈夫だと気休めを口にするではなく。 ただ思っているままを告げ。]
子供の頃に、酷い怪我をして。 それからずっとこうですよ。
怪我人なんて、とてもじゃないけど背負えない。
[向けられた視線を追うように、左足に目を落とし。 自嘲するような薄笑いを浮かべる。 心臓の事は口にしない。]
(49) 2010/08/05(Thu) 22時頃
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[ネッカルを見つけた時は大変だった。
ふと、そんな事が過ぎる。]
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手助け……?
ええ、そうですね。 俺は手助けがなければ、何もできない。
[上背のある男を翳った上目遣いの赤茶が見て。 今度ははっきりと卑屈に笑み。]
……ルーカス?
[笑みと共に顔色が失せる。]
(55) 2010/08/05(Thu) 22時半頃
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…………、……。
[僅か、視線は泳ぎ。]
セオドア=リューシ。 村人には、テッドと。
どこの村から?
(57) 2010/08/05(Thu) 22時半頃
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ムート村……。
[無意識のうち、空いている右手は自らの襟元を掴む。 女の方が去った事にも気付かぬまま。 表情を隠すように地面を見詰める。]
……好きに、呼んで下さい。
ムート村……噂で、人狼が出たとか。 酷い事に、なったんでしょうか?
[問う声は、まだ辛うじて震えていない。]
(62) 2010/08/05(Thu) 23時頃
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[ルーカスとの距離は遠い。]
……此処は人狼の噂には、敏感ですから。 昔、此処に居たのなら10年前の事。 人狼に滅ぼされ損なった事は知っているでしょう。
[視線を感じながら、ひたすら地面を見詰める。]
色々。 例えば、人狼を手に掛けたり……?
[殆ど確信を持ちながら、確認の為の問いかけ。]
(67) 2010/08/05(Thu) 23時頃
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殺しは、していない……?
[意外な言葉にはっと顔を上げ。 眉間に皺を寄せる表情をまた睨むように。]
……殺せていたなら、さぞかし喜ぶのでしょうね。
10年前をよく知っているなら。 何故、今此処に? 人狼を殺しにでも来ましたか。
[抑揚の少ない口調は僅かばかり責めるようなものに。]
(72) 2010/08/05(Thu) 23時半頃
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ムリフェイン……兄さんは死んだんだ。
どれだけ、奪いに来るつもりなんだ。
[暗い怒りに、首もとの証が熱を持つ。]
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