双生児 オスカー！ 今日がお前の命日だ！

『証』にとりつけられた石の話だったんですがね。
ブラックオパールであることは知らなかったんでしょうか。

随分派手にしていましたけど、どうなりました？

[ふと、思い出して診療所で暴れていた筈の仲間に『声』を掛ける。]

…………。

[返事は返らず、不吉な予感に眉を顰める。]

奇麗事を言わなくなれば結局これか。
人間は醜い。

ああ、意外と律儀なんですねえその辺り。

[などと、ぼんやり思ったりした。]

[脳裏に蘇るのは。

隠れた藪の中。
聞いていた泣き声と笑い声。]

『殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ――』

[聞こえるのは欲望の精霊が囁く声のみ。]

前なんて……。
前の見方なんて……。

知らない！俺は知らない！！

なんで……なんで……。
助けるとか。
守るとか。

許せるわけないのにっ！！！

『希望』？『希望』なんてなかった……！

あいつらだって心配なんかじゃない……哀れんでいただけで……。

だけど――。

だけど、なんでムリフェイン兄さんに、会いに行かなかったんだろう。
大事な家族だった人なのに。
会いに行かないうちに、居なくなってしまった。

こんな姿見られたくなかったから。
哀れまれたくなかったから。

拒絶してるうちに、無くしてしまった。

俺が、全部俺のせいなのか……？

口調は変わった身体の主と大分似せているはずですがねえ。
…ふうやれやれ。

主は俺の手を離れて、別の宿主を探すだけですし。

似てない。
似てなんているものか。

[呟きは自分に言い聞かせるように。]