199 Halloween † rose
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[この繰り返しが、
この街の魔女の仕業かもしれない。
さすがにそう、気づいてみても、
それを誰かに言って、解決するだろうか。
だが、もし、この事態、一人でどうにもできそうにないのならば、
今、この街を訪れている魔物の中で一番、能力があるのは、あの悪魔だろう。]
――……シーシャ
ちょっとデートしないか?
[そうは声を響かせてみるものの、あの悪魔を動かすだけの菓子力は現在、ない。]
[でも、実際菓子力があったとしても、
この事態をともに探索するような依頼など、
正直、鼻で笑われてすっとぼけられておしまいかもしれない。
だって、シーシャは菓子などいくらでも買えるのだし。]
まぁ、無理にとはいわない、と言いたいが、
オレができることはなんでもしよう。
[下手に出た。
その依頼が、街で裸踊りをしろとか、そういうものでないのなら]
[喚び声はいつ響いたものだったか。
いずれにしても、獣物とデート、という単語に悪魔はすぐに返事は返さなかった。
声を返したのは狼男が簡易なマーケットを開店した時分]
獣とデートなんざお断りしてぇところだが、ハロウィンが何回も来るような”奇跡”に免じて特別にしてやってもいいぜ。
随分ふざけた奇跡だがな。
更にサービスでオレからそっちへ会いに行ってやる。今どこだ?
[丁度訊きたい事も幾つかあった。
中々グッドタイミングではないか、と悪魔は一人密かに口角を上げて]
へえ
[返事がなかったので、やはり無視されたか、と思えば、
してやってもいい、とかえってきた。]
デートでもいいのか?
エスコートするよ。
[そういいながらも、きてくれるというのであれば、街のハロウィンモノ売り場にいると。]
[その、友人の言葉は夢の中できいていた。
うれしいことをいわれたような気がしたので、少し笑んで]
もし、ニコラの前で死ぬようなことがあれば、
よろしくな。
でもまぁ、とりあえず、死ぬ気はいまのところないし、
きっと、ニコラはこれからもいい出会いがあるよ。
だって、君は素敵だからね。
[そう、ニコラがまさにまた新たに出会いに、繰り返しのハロウィンの中、
思いつめることがあること、まだ気づかない。
けれど、気づけば、友人として、彼を気遣いねぎらい、そして、
そっと後押しするだろう。]
おはよう、ジェレミー。
ああ、昨日の――、お腹の具合は、
[寝物語のように告げた、昨日の話、
胃は大丈夫かと問おうとして、
死ぬ気はないという宣言に、安堵の息をついたが]
やめてくれ
これからも、なんて。
[いい出会いが千年以上の間にいくつあったとして、
いい別れであった保証は、――その中のごく僅かなもの。
それは、仕方ないこと。
仕方ないのだと、百年二百年と時を重ね、目を背けてきた。
物静かな雰囲気が僅かに歪み、刃物のような鋭角さに変わる]
[失言だったと気づいたのは、そう間も置かずして。
取り繕うような笑気を纏い、]
――ごめん。 渇いてるせいだ
[続けてから。
それだけでは無いと、口に出さないまでも理解はしていた。
これだけ長い付き合いをしている己の躯だ。
不協和音を立てているのは、誰よりも自分が一番理解していた]
腹が減ると八つ当たるなんて、まるで子供だな…。
オイ。
腹ン中がゾワゾワすっからそのセールストークなんとかしろ。
オレはまだニワトリになりたくねぇ。
[鳥肌の立ちそうな売り文句。
苦情は声を潜めて投げた]
[苛立った声に驚いて、
やや、息を潜めるけれど、
乾いているせいだと聞けば納得したように息を吐き、
また穏やかに話しかけるだろう。]
パイをお礼をするよ。
[それをどんな意味にとるかはわからないけれど。]
ん?ぞわぞわした?
[胡散臭い売り方には素直に文句がとんだ。
でも、わりと好評なのにな。]
[道行く途中、はっと思い出したようにバケツを覗き、聲を送る。]
ボスー、ボスー!
昨日貰ったポーチ、中のゼリー残ってた!
ボスありがとう大好きだー♪
お礼……あぁ、ふふ。
それは愉しみだよ。
[苛立つことの無意味さもまた、理解している。
何事も無かったかのように、
草木が揺れるように穏やかに笑って。]
ハロウィンが続くなら、君を困らせる悪戯のチャンスが
増える一方だからね。
[続く限りは離れられないのだと、昨晩確かめたばかり。
プラスの方向に脳を回転させ、ゆるく笑った]
そうだな。
ハロウィンの間はこの街にニコラがいる。
それは、とてもうれしいよ。
[きっとこれまでも悪戯されっぱなしだった。
けれど、狼男は、旧友のすることを怒ったりはしない。
その存在だけで、心が安らぐのだから。
だが、いつしか、そういう絆も、なにかしらで消えていくのだろう。
想像は容易い。
でも、それを想像する意味はない。]
[またひとつ鳥肌の立ちそうな賞賛が届いた。
獣に懐かれても困る。
いいから感謝するくらいならその分働け。
様々にこみ上げる言葉たちは、けれど
視界に当人が入ったことで紡ぐに至らず]
私も、君の街に来れて良かった。
……勇気を出して、城から出たかいがあったというもの。
[しかし、此処にずっと住まう訳にもいかない。
吸血鬼たる躯は苦手なものが多いし、
長く滞在すればするほど、異質に悟られやすくなる。
それに――
いい街だと自慢気に彼が告げたものを、
食事の為に減らしてしまうのは忍びない。]
夢はいつか、醒めないとならないけれど、ね
覚めてしまう前に、君の「慝い言葉」をいくつ聞けるか…
愉しみだよ、ジェレミー。
[この時間も限られているから貴重に思えるのだと。
知っている*]
夢か。
[ハロウィンの繰り返し。
その夢が覚めるとき。
自らには悪い予感しかない。
だが、そんなことは口に出さず、
楽しげな声に、ほっと息をつく。*]
死にたがりの魔女に毒されたか?
ジェレミーさんよぉ
[去り際、狼男の同居人らしい魔女の話を思い出して。
直接会ったことはない、がどうにも死にたがりであるらしい――それが今回の騒動の原因だとは知らずのまま*]
そうだな。毒されたみたいだ。
あいつのせいだな。
[シーシャの言葉にそう返して。
肩をすくめ、]
まぁ、ハロウィン、楽しみな。
[魔女のことはそれ以上は言わぬまま]
…この街を離れたらこのループってなくなるのかな。
[ふと。何とはなしに思ったことを誰に聞かせるでなく、魔物にしか聞こえぬ声で]
帰れるなら帰りてぇが、オレは帰れなかったぜ。
[ほかの街に、という意味ならば試していないので分からないが
悪魔が自分の住処に帰れないのなら恐らくはでられないのでは、という含みも持たせて。]
えぇぇ。
帰れないの?なんでそんな手の込んだことしてるのかなぁ…
[@20悪魔の声を聞いたなら溜息と共に眉をしかめる。
楽しめって事なのか。延々続くハロウィンを]
ねーぇ、原因は何なんだろうねぇ…こんな、大がかりな事やらかせるだけの力がある、って言うと限られてくるけれど。
[少なくとも、声の届く他の4人を疑おうという気は毛頭ない]
オレの場合、「10/31が終わったら帰る」っつって申請出してるからかも知れねぇが、
つまり、この10/31は一応ホンモノってこった。
それなりに出来るヤツが仕組んでる筈だぜ。
[よく解らないなりに情報提供。]
帰りてぇのか?
それとも、何か名案でもあんのか?
そんな申請、僕は出してないよ。
悪魔って色々大変なんだね?
[余り近づくことがなかったから彼の事情などはほとんど知らない。
ふらりと気が向けば人の住む辺りをうろうろする自分には、面倒そうに思えた]
うん、まあ夢じゃなきゃ本物だと思ってる。夢にしては色々、リアルすぎるしね。
帰りたいと言うよりも飽きてきたかな、ハロウィン。
名案があったらとっくに何かしてるよぉ…僕は全然、お手上げだよ。
たいした力もないし、ね。
シーシャは何か案あるの?
大変も大変だ。バカみてぇだろ。
[まるで人間のようだと思えばこそ、吐き捨てた。
今や獣の方がよほど自由で悪魔らしいといえばらしいのではないか]
あれば試してみてる
……互いに何か解ったら連絡、ってのが良さそうだな。
[結局のところ、そこにいきついて
ため息だけがまたひとつ*]
ニコラ、大丈夫かい?
[そうふと、話しかけたのは、ただの虫の予感という奴か。]
ハロウィンは、そのうち終わるさ。
でも、終わらせたくないとかある?
[友人といってくれるニコラには労わりを。
人間をやめて狼になって、それから、また人間のような生活に戻った要因は、あの時の小さな金色の栗鼠。
その栗鼠が、自分より長生きの魔物であっても、その時のあの気持ちは自分の中では貴重だった。
だから、獣の生活から、魔女の飼い犬まで成り下がったとしても、
チャラチャラと情けない男で呆れた眼を向けられていても、
自分の中で芽生えたそれは大事だったから。]
オレはさ。
ハロウィンが終わったら、狼に戻るよ。
この街は出ていく。
いつか君の城も訪ねたいな。
[まるで叶わない願いのように。*]
「……実は、あまり大丈夫じゃない。」
[通りに置いてきた服は、路地の裏から視えない。
ただ、騒ぎの声が聞こえるだけだ
騒ぎとは異なる異質な声
ぴんと立った短い耳で聞き分けながら。
くぐもった声を届け、ちいさく息をついた。
ハロウィンが終わった後と仮定された彼の所存を耳奥で拾う。]
「……どうして?」
[野良の獣であったジェレミーを思い出し、
今の、ニンゲンの世に溶け込んでいる彼と比較するが
どう考えても今の方が愉しそうに見えるので、疑問符を。]
「街を出たい、という口振りではないな、
――ジェレミー、一体……なにが、あった?」
[薄暗い路地の中に身を置きながら。
憧憬に憧れるような語り口に、少なからずの不安を覚える*]
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