43 朱隠し
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[華月斎が、ウトと藤之助を似ていると思うのは
藤之助がウトを見てアヤカシとして育ったからか
生来人間らしくない気質だったからか]
俺はなに一つ嘘は吐いていないのにな?
都合良く考え過ぎるのも人間故か。
[大きく伸びをしてごろり]
[ はらり 、 はらり と ]
[二色の蝶が、互いを追いかけるように遊んで]
[ ぱちん ]
[指を慣らせば、空に融ける]
[ 呼んだか、との言葉が昨夜聴こえた。]
声だけが聴こえたけど…。
[アヤカシの里に続くこの境内。
思う以上に声が伝わる久方ぶりの感覚に懐かしいような。
声の主は僅かに聞き覚えがある。
名を聞きそびれていたが。
数日前に出逢ったアヤカシだ。
春松の兄がアヤカシに攫われたとしたのなら
それをしたのは声の主なのだろう、か。]
[今一度聞こえる声にもぞりと体を起こす]
ああ、俺が呼ばれたのかと思って返事をした。
何かあったのか?
その声は、ええと。勝丸?
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ほう。 [顎に手を遣り。 細めた眼が見つむる先は、藤色。]
(90) 2011/02/14(Mon) 22時半頃
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[から、と音たて、踵を返せば。 ぶつりと切れたる、下駄の鼻緒。] …………。 ほう。
(91) 2011/02/14(Mon) 23時頃
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慶三郎は、姿を消した。**
2011/02/14(Mon) 23時頃
……厄介だの。
[姿は消せども、呟きは残るだろう。]
じじ?
[屋根から下りようと思ったところで、呟きが聞こえて動きを止める]
浪人 慶三郎は、メモを貼った。
2011/02/14(Mon) 23時頃
喰ろた心算が、喰らわれとった。
……そげんことが無いようにの。
藤色よ。
[静かに、しかしどこか柔らかい調子で。
告げる声も、やがて遠ざかるか。]
[飛び降りたところで聞こえた声に顔を上げ姿を探す。
目の前の一平太を置いてでも駆け出したいほどこのアヤカシが好きで慕い懐いていた、自分なりに]
じじ。
俺は退屈でなくなるのなら、俺自身がどうなっても構わないと思う。
喰らわれてでもいいから何かに夢中になりたい。
無論喰うほうが好きだが。
しかし、気をつける。
[どう気をつけるのかはさておき忠告は胸に抱きしめる]
浪人 慶三郎は、メモを貼った。
2011/02/15(Tue) 01時頃
[よほど心変わりがなければ、一平太を攫ってしまうのが面白いなと思っている]
[但し、何かあるようならば直ぐに気は変わる]
[風に混じるアヤカシの鈴。
此れを付けたのは何時だったか。
付けたのか付けられたのか、それすら思い出せないけれど。
猫の鈴の様に、りんと響く鈴の音は、
風に溶けるアヤカシの来訪を告げる]
[眼下で謂い合う子飼のアヤカシと、人の子とを。
狐の面の下、赤い眸はつまらなそうに見やる]
……あまり苛めてやるなよ、藤。
そなたがそれが良いと言うなら、俺は止めはしないが。
[少々呆れたように声をかけて、
新たに現れた男を一瞥する]
…………直ぐに飽きてしまいそうだな。
[聞こえる鈴の音にフゥとため息をひとつ]
俺が欲しいのは一生遊べる――
[ふるりと体が震える]
――嗚呼。
[いつまでたっても慣れない、これが有る限り自分はとうに人間では無いと思い知る]
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― 石段 ― [手に持った下駄をからからと鳴らし。 素足でようやっとそこまで辿り着けば、腰を下ろす。 取り出だしたるは一枚の手ぬぐい。 布の端噛んで、手で裂いたまではよかったものの。] はて。 [下駄の眼に通そうとするも、思うようにいかない。]
(133) 2011/02/15(Tue) 01時半頃
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浪人 慶三郎は、メモを貼った。
2011/02/15(Tue) 01時半頃
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[掛けられた声に、顔を上げ] なに、鼻緒が切れただけだ。 [それだけ告げ、再び視線を戻す。]
(143) 2011/02/15(Tue) 02時頃
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……ああ。 [暫し、竹串を見遣り。 ようやく相手の思惑に気づく。] すまんの。 [手を伸ばす。]
(152) 2011/02/15(Tue) 02時半頃
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[あと、少し。 触れるか触れないかのところで、ぴたりと手が止まり。] …………。 やっぱり、要らん [ふと、なにか思い出したように笑う。] 他のに、遣って貰う。 すまんの。 [腰を上げ、道を開けた。]
(155) 2011/02/15(Tue) 03時頃
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浪人 慶三郎は、メモを貼った。
2011/02/15(Tue) 03時頃
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[ヒトの子と会うのは久しい。 すっかり勝手を忘れていた老妖は。 石段を上る後ろ姿を見あげ。] [さて、誰に頼んだものか、などと考えながら。 鼻緒の切れたままの下駄を手に、風に紛れる。] [――若しも石段の途中、少年が振り返ることがあったとしても。 老い耄れの姿を認めることは出来ぬのだろう。**]
(157) 2011/02/15(Tue) 03時半頃
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[まるで手妻のような]
[紙や道具を己の家から引き出した妖の術と
男自身の手際の良さ]
何ぞ、礼がしたい。
欲しいもの等有るか?
有るならば、取って来て見せようぞ。
ものでも、人でも。
[くるくると回る風車越しに、覗き見るは狐の目。
赤い眸に爛々と、灯が燈る]
欲しい、モノ、か。
[灯の灯る赤い眸を、じ、と見詰め返す。
からからと廻る玩具が、その表情に込められたものを強くしている、気がした]
……無いな。
[しばらく考えて、呟くように答えた]
[返る答えに、拍子抜けした様に息を一つ吐く]
……そなたは欲がない。
稀なアヤカシよの。まるでじぃのようじゃ。
[自らを枯れたと言う妖老――
慶三郎を思い出し、つまらなそうにもう一度溜息を吐いた]
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― 境内裏手 ― おう。 ここに居ったか。 [狐と蝶と。 ふたつの妖しの影のそば。 ゆらり、老妖は姿を現し。]
(178) 2011/02/15(Tue) 14時頃
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切れよっての。 [胸の高さまで持ち上げた下駄。 ぷらり、頼りなく緒が揺れる。] 巧く、直らん。 [それから、ややあって。] なんぞ。 邪魔したかの。
(181) 2011/02/15(Tue) 14時頃
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欲が無いわけではない。
欲しいものならば、無くは無いが……
それが何であるのか、俺にもわからないだけだ。
[つまらなそうな様子に、苦笑する]
欲しいものが判らぬとは、
ますます人の子のようじゃ。
[小声で呟き、やれやれと肩を竦める。
もっと心の侭に生きればよいのに、と思いながら]
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