276 ─五月、薔薇の木の下で。
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[ 耳に落ちる囁きに、ぞわりとしたのは仕方ないこと。
そんな誘われ方をして《こない》わけがない。
でも――― ]
その望みは、ちっと叶えられんかもだわ。
俺は犯したりは出来ん。
人一倍優しくするし、殴るより罵るより
甘く囁いて酔わせてたいね。
とびきり激しくなら、出来る。
[ 同時に身体から何かが抜け落ちるような感覚。 ]
―――ああ、そうか。
[ どろりとしたものが溶けて、流れていく。
マークが知った色はきっと
夜の射干玉(やみ)が払われた、東雲(ほんらい)の瞳の―― ]**
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[ 医務室内は、真白のカーテンとベットの為か、 中庭よりも明るく 光って見えた。
此方に気付いた視線と>>4:+44 "食欲旺盛な後輩"の不思議な挨拶>>4:+55に、 ひら、 と 手を振り、]
……とりあえず、 "こんにちは"にしておくか。
[ 昼間の、ようだし。]
(16) is0716 2018/05/24(Thu) 09時頃
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[ "しらない"顔が、幾つか合った。 フェルゼ、 とか、 ベネット、とか
──── 何故、 と 聞きたかった 筈だが、 どうやら、少々おそかったようだ。]
(17) is0716 2018/05/24(Thu) 09時頃
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[ 朱の囁きが一時、途絶え、 ( ──── ノイズさえも届くことはなく、) 首根っこを掴まれ、引かれる体感があった。
……身体を置いてきたのは失敗だったかなあ、 思考は呑気そのもの。 "現実"の癖を引き継いで また、耳の後ろに指が添えられた、──── 、]
───── 明ける、
[ "刺が抜ける"。 薔薇の香が微かに漂い、 夢の昼間に霧散して、
その場に倒れるように、視界が 回り、────]
(18) is0716 2018/05/24(Thu) 09時頃
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[ ──── 不意、 "目覚めた"なら 涙色の薔薇を見上げて、
掴むように、 腕を掲げる。 身体にしちゃあちぃさなジャケットが、 ずる、 と滑り落ちる ……生々しい感覚が あった*]
(19) is0716 2018/05/24(Thu) 09時頃
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順番に寝て、なんでそれで朝になんだよ。
なんなんだよお前らは、さあ!
勝手にいきなり巻き込んで話もなしに放置されて。
巻き込まれたのは、全員そうだった。
[静かに届く声に、覚えはあるだろうか
あまり関わりは無いが、式典で発言することの多い生徒会長
教師と同じように聞き流す対象ならば、思い出さないかもしれない。
相手に必要なものは説明だと感じた。]
僕達は薔薇じゃない。全員、呪われただけ。
君と同じ学校で過ごしていたただの生徒だ。
呪いだ、身体を蝕んで、人間の衝動を増幅させられる。
とても皆に打ち明ける気にさせられるものじゃない。
だからといって、許せとはいわない。
[純粋な被害者は、こちらではなく彼のように怒る誰か。]
君に怒りがあるのならば、僕が受け入れよう。
好きなように扱ってくれて構わない。
何一つ抵抗はしない。
[遊び一つない真面目な声。
怒る対象を守ろうとする存在のものである以上、どう響くかは分からないが。]
だけど、薔薇のことは許してくれ。
あれに害を与えれば、あいつがきっと死ぬだろう。
一人だけ、おかしい奴が呪われていた。
薔薇はきっと、あいつには違う呪いをかけた。
君が誰かを想い怒るように、
薔薇に捕まえられた存在を、僕は
────……あいしているんだ。
[彼が俺達に怒り、思い遣るのは誰なのだろう。]
[話は続く。
何も教えてあげられずにいた相手へ、伝える為に。]
僕だって寝た中に会いたい人が沢山いる。
僕は呪われてからずっと、誰にも何もせず
我慢してきて、やっと終わりが見えた。
僕は誰一人眠らせてなんていない。
[実のところ、求め続けてはいた。
持ち出すのは狡いのかもしれないが。
この点は、俺一人だけが違う。]
実のところ、解決方法は僕達にも上手く説明出来ない。
話を聞いてくれる気があるのならば、
君とそれについて話したい。
僕の話を聞いて、君はどう思った?
素直に言ってくれて構わない。
[長い語りはそこで区切りを迎える。
相手の選択が話し合いでも、もう一方でも。
最後に残った俺は、逃げはしない。]*
[ぶつぶつ言いながらも刻まれた痕は
もとある聖痕を塗り替えていって*]
[苛立ちもあらわに多少乱雑にロビンを抱え
引きずっていると声が響く]
アア?……あ、イアン先輩か。っすよね。
[その声に心当たりがあったのは
壇上で響くものと同じこと
ロビンがその名前を言っていたこと]
だから、巻き込まれたンなら
「巻き込んだやつがいる」ってことだろ。
そいつを殴りたいって思っちゃ悪いのかよ。
……………………。
あっ、はい。
イアン先輩がそいつすげえ好きで庇いたいのは理解したっすよ。
[その熱弁というか予想外に熱すぎる告白に
毒気が抜かれた顔になるが未だ棘は刺さったままで]
とりあえずロビンが寝たんで運んでて、そっち行きます。
ケヴィン先輩もどっかで寝てるはずっす。
俺はちょっとそっちは運べないんで……は、あッ
[休み休みでもロビンの身体はなんとか運べたので
とりあえず野ざらしなのは避けられただろう
医務室の空いているベッドに乗せると
一応メガネは外して枕元に置いた]
上着は自分であとで拾えよ。
今ケヴィン先輩見たら多分手が痛くても殴っちまう。
[浮かされる熱が想いを焦がさせる
勢いと××に任せて甘ったるく囁いた穢れた誘惑。]
……それは、確かに酷い。
[しかし返った言葉と言えば。
……小さく笑った。]
[俺は何も見えない、誰かの夢も覗かない。
何が起きたのかなんて、知る由はないのだが。]
…………頑張ったね。
[どこかその声が、穏やかに聞こえた気がした。
まるで何かから解放でもされたみたいに。
一時、世界に蓋をするヴェルツを
ふわりと香りが包み込み、囁きが落ちた
残り香のように淡く、優しく。]
── それから ──
悪くは、無いんだろうね。
[間違いとは思えなかったので、肯定はした。
ヴェルツを巻き込んだ者と認識していなかった
しかし、一人だけが違ったのも事実。
ならば、彼の殴りたい相手かもしれない。
でもそれを身代わりたかった。
ここからは見えない顔、しかし伝わるもの
引かれたような気がして頬を掻く
必死に喋りすぎて、つい。
理解されたのなら状況への悪い影響は無いと、思う。]
ケヴィンか……、
君はロビン君に何処で会った?
ケヴィンの居場所に心当たりは無いかな?
[運ぶのは厳しいなと思った。
体格的にも、居場所を知らないことでも。
自分は机に齧り付いてばかりだ。
しかし出来ないことでも無いだろう
きっと覗いた先にいた後輩であろう、彼よりは。
問いには返ってきたかどうか、まだ動いてはいない。]*
[ おちる。
瞼を閉じる俺を、清らかな青い世界は拒絶するだろう。
悪魔に憑かれていた俺を受け入れることはない。
夜の夢の中に紛れ込むことは、出来ないけれど。
薄れる意識のなかで。
やわらかな、言葉が降る()。
キラ、キラ、キラ。
まるで《あの時》の木漏れ日みたいだ。 ]
[ ここからの全て押し付けて、眠ってしまうこと。
そんなことが正しいだなんて、もちろん思ってやしないけど。
目が覚めていっちゃんを見つけたら。
同じ言葉を、返そうと思う──── ]**
お休み。
君の思う人の傍ならば、きっとよく眠れる。
君があいつが原因だと言うのなら
もう本人が眠っている。だから、夜は終わるよ。
[それは最初の対話からは大分あとの声。
何かしていれば、そろそろ落ち着いた頃合い。
納得がいかない様子が返らなければ
無言でも、声が聞こえても、音は途切れて終わり。]
[ ふと、気付く。
自分から、慣れない《人》の匂いがすることに。
慣れすぎた花の匂いが薄まっていることに。
もう、どこからともなく花弁が落ちることはない()。
種が芽吹き、この体に根を張ったからだろう。
だから、もうこの声だって─── ]**
今日はあまり匂いがしないな
…………でも、今のほうがいいね。
[当人もきっと気づいているのだろう。
俺は、その匂いを好んでいた。
だけど今のほうが《人》らしくて。
赤く咲かない声は、嬉しげに君に向く。]
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[ ─── 夢、とも思っていなかったし、 消えてなくなってほしい、とも 思っちゃあ居なかったけれど、 手元に残る、小振りなジャケットが、 ……"現実"の実感を、手元に齎している。
──── それだけ、で、 なく、]
(92) is0716 2018/05/25(Fri) 14時頃
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[ たった一晩で体質が変わるなんて、 そんなのは夢物語だった!]
(93) is0716 2018/05/25(Fri) 14時頃
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[ 薔薇の香りから解放された青年は、 そりゃあもう、 はなの香りに弱かったので、 ( 目覚めの報せには刺激が強すぎた! ) おもたい身体をずるずる引き摺って、 漸く 薔薇の茂みから顔を出したのは、
きっと誰も見ちゃいない、 また 別のお話*]
(94) is0716 2018/05/25(Fri) 14時頃
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