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亀吉! 今日がお前の命日だ!
可愛い吾が子達。
今日もお前たちに潤いが降るよ。
恵みの雨とはよく言ったものだねえ。
[毎日それは繰り返される。
牢に降るは紙の雨。
丁の許へと降らすは二倍。
よく働いたねと微笑み落とし。]
[朧月夜の言の葉に
漸く藤の花が一輪、籠から消えたことを知りました。]
────…。
[何を言葉に出来ましょう。
否定して頂きたかった言葉は、されず
思っておりましたことを、肯定するように紡がれたのです。]
[知らぬ『月』の名を呼ぶことは出来ません。
藤色のみが、それを許されていたでしょうに
消えてしまったその『花』に、月は欠けてしまったのでしょう。
はらはらと。
涙の代わりに霧雨が降っておりました。
さらさらと。
月の欠片の砂塵が舞っておりました。]
とても。
───お辛い、でしょう。
[櫻は枝葉にて、月を抱きます。
月が眠ってしまわれるまで、そよそよと
枝葉を濡らし、夜風に揺れていたのです。]
[藤の花欠けたことを知る朧月夜。
もう一輪、『おうじさま』に連れ去られた『おひめさま』がおりました。
それはまだ読んだ事のない『花籠物語』。
咲き行く『しあわせ』。
先行く『仕合せ』。
それは『幸せ』な結末の向こう側。
囁きは花籠、中庭に植えられた種
明日にはきっと、哀しき花を咲かせるのでしょう。]
月が、欠けてしまわれましたよ?
逢いに来てくれるのでは、なかったのですか?
[欠ける前に、必ず逢いたいと謂ってくださったのは一輪の『花』。
『人』ではないのです。
だからきっと、もう逢いに来てなどくれないのでしょう。
彼の『花』は『人』となりてしまったのです。
もう、この籠の中には咲かぬのでしょう。
取り残された櫻の『花』は、中庭で櫻色を揺らし
呪詛の種を埋めていたのでございます。]
【人】 許婚 ニコラス[昨晩の夢がまだ脳裏にちらつく。 (15) 2014/09/21(Sun) 15時半頃 |
【人】 許婚 ニコラス[館に足を踏み入れれば「ああ、あちらの廊下は地下牢へ続く廊下だな」なんて、思考がどうしても淫靡な暗い宵へと連れ去られる。 (16) 2014/09/21(Sun) 16時頃 |
[黒衣を纏う男は、彼の昼の顔とよく似ていた。
責背負い、裏と表を使い分ける。
だからこそ、人の気配にも聡く、発音にも癖が付いて回った。]
―――…ニコラス坊やか?
[小さく呟いた声は彼の耳に届いただろうか。
強いられる彼の痴態がフラッシュバックして、甘い重さを腰に自覚すると、自身も軽く頭を振った。
気を抜けば飼い猫へするように、彼を呼んで仕舞いかねない危うさだ。]
あなたは、『しあわせ』ですか?
[『花』でもなく、『蝶』でもなく。
『人』同士で紡ぐ『夢物語』なら。
どうか、『しあわせ』であってほしいのです。
梅花を埋めながら、僕の『しあわせ』を
赤魚を埋めながら、僕の『呪詛』を
まるで希望と絶望添えるように、埋葬したのでありました。]
【人】 許婚 ニコラス[ああしていればまるで昼の世界の住人のようだ、なんて窺い見て失礼な感想を抱く。当たり前だが彼にだって昼の顔はあるのだろう。考えても見なかった。 (23) 2014/09/21(Sun) 17時頃 |
[櫻子とヘクターの会話はよく聞こえてこなかったが、自分の名を呼ばわる小さな呟き
ふぁ、はい…!
[ぼうっと昨夜のことを夢想しかけていたところに声をかけられたので、なんとも情けない声をあげて返事した。
彼の事が恐ろしいわけではないが緊張はして、背筋がぴんと伸びる。]
[きゅうと、唇を引き結んでおりました。
表情は微笑みを湛えているというのに。
どうして僕は、小さく唇を噛んでいるのでしょう。]
【人】 許婚 ニコラス[僕の姿を見るなり櫻子が明るい笑顔を見せるので僕はびっくりしてしまった。けれどもその微笑みは好きだったので僕も微笑み返す。 (32) 2014/09/21(Sun) 20時頃 |
【人】 許婚 ニコラス うん、一緒にお茶しようか。 (33) 2014/09/21(Sun) 20時頃 |
[夜の香りを色濃く残す虫籠に、金の雪が降る。
今夜は何もしていない、と否定もせずに、多く散らばった其れをかき集める。
夢を、見ている。
素直だと嘲る声を身に受けながら、
こうしていればいつか、外へと戻れるかもしれないという夢を。
其れは儚い唯の夢でしかないと、心の何処かで諦めながら。
この花籠に浸りきった身体に、他の居場所等有りはしないのではないかと疑いながら。
それでも。]
―――…ほう。
まだ、中に違和が残るかね。
[ツイと、近づいてきた彼の腰に指先伸ばし、円を描く接触。
櫻樹の前での戯れは、昨夜を誘発させる因子。
染まる横顔をチラリと横目で視姦した後、密やかな声で囁いた。]
ひゃっ
[忍びやかに伸ばされた指先の感触に小さく悲鳴を上げる。]
や、やめて下さいよヘクターさん…!
[これには流石の僕も赤い顔で抗議した。
櫻子の前で痴態を演じる羽目になるのは避けたい。
櫻子も廓の花なのだから慣れてはいるだろうが、あのくりくりとした大きな黒い瞳に見られるのはなんだか憚られた。
多分、物凄く恥ずかしいだろうから。]
【人】 許婚 ニコラス[不謹慎ながら僕は櫻子の放った冷たい一言>>45に噴き出しそうになってしまった。 (47) 2014/09/21(Sun) 21時半頃 |
[まるで、櫻の前では見得を張りたいと言わんばかりの文句
彼の素直さに主張の激しい喉仏が緩やかに上下した。
花前でも微笑を取り繕っているばかりだった数日前に比べれば、
随分彼には色が増えた。やはり、彼には才能があるのだろう。
人を惑わす天性の才能が。]
["丁"という花の名を借りたのは、己の全てを掌握するあの男が好ましく思えなかったからだ。
花籠の主。
誰よりも高みから眺めるあの男に、己は居場所を決められたのだから。
もう二度と聞きたくも無い名前でしょう?
其の意味を込めて、嫌がらせに、己は"丁助"に成った。]
[白に含ませる沈丁花の香も、以前の"丁"を真似た。
赤い蕾をつける花だから。
理由は後から追いかける。]
[花として生きる花たちを、自らと同じ立場だとい言うのに、何処か遠くに感じることがある。
馴染んで居るのか、居ないのか。
花らしく微笑みながら、世界は薄い膜の中。]
【人】 許婚 ニコラス そっか、牛乳入れるんだ。 (56) 2014/09/21(Sun) 22時半頃 |
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