3 ビー玉坂〜卒業式の前に視るその場所は…
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― 回想 ―
用務員さんも煙草吸う人だからじゃねぇかね? 美味いつーか、人によっちゃ違うんだろうが、俺にとっちゃ精神安定剤みてぇなもんさ。
[キャロライナと雑談をしながら東階段を下りると、正面玄関から声が聴こえた。]
嗚呼、行こうか。
[問う視線にそう答えて、そこで見かけた人に伝言を伝える。]
(3) 2010/02/27(Sat) 00時半頃
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―――……職員室、ねぇ。
[帰る幾多の声に、複雑そうな声音で零す。 問題児にとって、職員室はどうにも苦手意識が先に立つ。]
つーか、下ごころ出してどぅすんだ。
[具合の悪そうなクラスメイトの姿に、俺も力仕事ならと名乗り上げようとして、ヘクターの言葉に苦笑を零す。 助けが必要なさそうなら、他に人がいないか探してくるという名目で外にでしょうとして]
ん?礼言われるようなことしてねぇぞ?
[キャロライナの微笑みに、片方の眉をあげた。 人の動きに逆らうように、正面玄関から外にでた刹那、闇が深まった。]
― 回想/了 ―
(4) 2010/02/27(Sat) 00時半頃
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― 学食と購買部の狭間 ―
何色ねぇ。色になんか意味があるんか?
[辺りが闇に包まれても、ドナルドは、一見気にした様子なく外に出た。聴こえる声に、独り語ちる。
気にした様子はなくとも、この闇の中遠くまで行く気は起きず、学食と購買部の狭間で、学食の方の壁に背を預けて、煙草を口に咥えた。]
(20) 2010/02/27(Sat) 00時半頃
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…大丈夫。
……一人じゃない。
[職員室に入る前に、ちらと見えた人たちを思い浮かべた。
この呟きがどこに繋がっているか、知らない。]
誰 、
――だ
[声、 が 聞こえる。
知っている、ような。 知らない、ような。]
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赤は鬼、か……―――
[ライターの火で自分のビー玉の色を確かめて、またポケットにしまう。なにやら物騒な声に眉間に皺を寄せる。]
―――……どうせ幽霊に逢うなら
[先が続かない言葉。 義眼である左目が痛んだ。否、傷んだのは……―――。]
―――……。
[紫煙を燻らす。覚えた痛みを誤魔化すように。 ―――……暗闇で蛍火のような煙草の火は、目立つことも気がつかぬまま。]
(28) 2010/02/27(Sat) 01時頃
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[淡い水色のガラス球は何処かへ声を届けただろうか]
……みんな、職員室に向かったよ。
いま、どこに?
[同じクラスの人物の小さな声を。]
でも、ジェレミーの奴が一人で出歩いてる。
逃げ道を探す、とか言ってたけど。
[響く声]
[哂う少女の声だけではない。]
――……赤……だ。
いや、何か黒い……印が…。
ミシェ?
[きょとり、と目を瞬かせながら声の主の名を呼んで。]
……今、職員室の給湯所。
ハーブティー入れてる。
[報告も兼ねて淡々と呟く。
相手に、コップに注ぐ水音が聞こえたかは分からないが。]
ジェレミーもいるのか。
[確か、補習してたっけ。
と、思い出しながらあきれたようなため息を。]
一人は危ないだろうに。
…誰かと鉢合わせてたらいいんだけど。
[今、ピッパと一緒にいるとは知る由もないだろうが。]
―……、
――、…
…
…… 夕暮れの
… むらさ き
[うすむらさき。
そう、答えた。]
『キレイ キレイ?』
『アカイロ、キレイ。』
『私ノ羽根モ赤――』
[そして。
瞳の色はビー玉と同じ。
夕暮の橙色。そこに黒の瞳孔が、ぽつんと一つ。]
『瞳ハ』
―― 瞳は、 橙色。
[鸚鵡ではない声が、色を、告げた。]
[夕陽を乱反射させたビー玉。
きらきらと、色様々に。
そして、今はその一つ。
深い橙色。
鸚鵡の目玉のように。]
っ、――
――……、
[橙。赤。白。――薄紫]
[誰かの、声。]
[しって、 いる こ え?]
どう、 して。
[今自分が置かれている状況と。]
[今此処で響いている言葉と。]
[錯綜して 揺れる。]
そ、そっちは貴公子さんで合ってるよね。
[自称した所は見たこと無い称号で呼ぶのは、
元カリスマ生徒会長]
もうじきそっちに一杯人がいくから、
かなり賑やかになると思う。
[かなり端的な説明は混乱した現状でも伝わって。]
あと、キャロにマーゴに、ヘクターに、
ドナルドとかシェリー君とかスティーブンス先生とか。
[思いつく限りの名前を挙げるが、
その中には職員室まで向かわない者が居るか。]
集まってる中に見えなかった人もいたから、
どっかで鉢合わせにはなってるかも。
……ごめん、いきなりで私もまだよく状況が分かってない。
[怒りを抑えるために最大限感情を拝した声で]
不愉快な代物がそこらじゅうに転がってるから、注意してね。
ちょっと、頭冷やしてくる。
[そういい残すと声はしばらく沈黙を保つ**]
『オ友達』
『オ友達ヲ』
『連レテ行ッテ アゲヨウ?』
『ソウシナイト』
『貴方タチガ』
『――サレチャウネ、キット』
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― 学食と購買部の狭間→南棟東靴箱 ―
[パンっとグラウンドの方で音がした気がした。 左眼を眼帯の上から押さえながら、そちらを向く。]
―――……今更になって、恨み言きけって話じゃねぇよな。 いや。聴けるんなら聴きてぇんだけど『 』?
[生まれる死体に重ねて見たのは、あの時前を走っていた女。 テールランプを引いて、赤信号にアクセル全開で突っ込んで逝った女。
けれど、蠢く死体は長い銀の髪が綺麗だった女ではない。]
くそったれがっ
[傷む。女が乗っていたバイクの破片で失った筈の左目が。 煙草を口に咥えたまま、ゆらりと南棟東靴箱の方へ向かった。]
(52) 2010/02/27(Sat) 01時半頃
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貴公子……なんか、そんな風に言われてるっぽいね。
[ほんの少しうんざりとした思いを滲ませながら肯定する。]
…そうか。
誰がいるのかまでは確認しなかったからその情報はありがたい。
[周りに気が動転してたんだな、と改めて思った。]
…他に誰を見かけたか教えてもらいたいんだけど。
[いいかな?と近くにいるなら、いつもの柔らかな微笑みが浮かんでる声だった。]
問題児 ドナルドは、化学教師 スティーブンが職員室をうかがっている視線の間に、折り悪く挟まった。
2010/02/27(Sat) 01時半頃
[脳裡に響く聲に、ゆっくりと、返す声。]
……だめだ、そんな事。
出来るわけ、ないだろ……。
[小さく、か細い声。
出してるのは無意識下なのか知れない。]
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