人狼議事


42 廃棄人形ーeverlasting love marionetteー

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[女の子を人ごみから庇うのも。遅くなれば家まで送っていくのも。
自分にとっては呼吸をするように自然なこと。
それに今回の場合、自分が唯一の成人で。年少者を守るのは己の義務だと思っていた。

だから、そこに特別な意味はない。
あってはならない。]


[あの時。サイモンが倒れているのを見て、ケイトのことでざわついていた心がすっと落ち着くのを感じた。

恋がどうの、愛がどうの。あの部屋で見た彼の文章には、そんな反吐が出そうな言葉が並んでいたから]

ただの隣人だったなら
ただの友達だったなら
ただの相棒だったなら

きっとこんな風には思わなかった…


[犯人。その単語を口にしたときに、ふと脳裏によぎる小さな影。
あの時は相当酔っていたから、己の見間違えかも知れないが]

…あれが、犯人だったんだろうか。

[そうだとしたら結構なニアミスである。
けれど己の胸には、恐怖よりも先に興味が沸いた]

あんな小さな体で、ひょろい理系野郎とはいえ大人の男を殴り倒したのか?


―夢の中―
こないで・・・!

[暗闇の中、ゆっくりと近づいてくるサイモンから逃げるように必死で足を動かす。どれだけ走っても、距離は離れるどころか、縮まるばかりで]

こないで・・・こないで!

[闇の中をただひたすらに走り続ける]


[――小さい。小さくて、赤い影。何かを思い出す]

…まさか、ね。

[それは独り言としてはいささか大きな声になってしまった。
他の者にはいざしらず、夕顔には聞こえてしまっただろう]


・・・・・・!

[耳に届いたサイラスの言葉に思わず息を飲む。何かとても悪い予感がして、サイラスに向ける瞳には恐怖の色が見えた]


[怯えた瞳を真っ直ぐ見つめて、彼女の反応をうかがう]

サイモンさん、意識不明の重体だって。

[静かな口調でそう告げて、それからふっと表情を緩める]

俺、昨日の晩現場の側に居たんだ。


現場。俺が滅茶苦茶にしといたから。
君が犯人だなんて、そうそうばれたりしないよ。

[不気味なほど落ち着いた声で、青年は囁く]


・・・・・・・・・えっ?

[サイラスから聞かされたのは驚きの言葉]

死んで、無かった・・・の?

[思わず呟いて慌てて口を閉ざすが、耳元で囁かれた言葉にさらに驚き]

・・・・・・何故・・・?

[サイラスを見上げる。瞳に宿った恐怖の色は完全に消えていた]


[夕顔の様子が少し落ち着いたのを確認すると、
僅かに笑みさえこぼれた]

あの現場を見て、ざまーみろって思ったんだ。俺も死んでると思ったから。
君の動機は知らないけど、俺は人形が恋だのなんだの言うの、嫌いだから。
あのヒトそっち系では有名っぽかったしね。

[まるで世間話のような口調で、そんなことを吐く]

…で、気づいたら…ね。いつのまにか。
我ながら無茶したもんだ。


・・・・・・そうですか。
私は・・・・・・ただお父様と、ただ、そう呼びたかっただけなのに・・・

[そう言って、俯く。しかし、すぐに顔を上げると、隠していた本を見せて]

・・・・・・実は、あの時にこの本を持ち帰ってしまって・・・それで、図書館に隠しに行こうとしていたんです。


彼女の事情の全てを察することは出来ないが、「お父様」という単語に幾許かの親近感を覚えた]

これ…あの部屋の?
…まいったなあ、あそこの資料って結構珍しいの多いから…。
それにそうでなくても、図書館って全部の本に番号振ってあるだろ。
下手したらそっから足がつく。

[そう言って困ったように視線を宙に投げる。]

できるなら、燃やしちまうのが手っ取り早いかな…。


・・・そうだったんですか。
・・・・・・危ない所でした。

燃やす・・・ですか。でも私は火を扱えませんし・・・

[サイラスの言葉に困ったように少しだけ眉を下げ]

・・・・・・さっそくですが、お手伝いしてもらってもいいですか?

[サイラスに聞いた]


分かった。多分、俺なら上手いこと処理もできる。

[仮に足がついたところで、それで身が危険になるのは少女ではなく己。
先ほどまで青い顔で怯えていたのに、今はあまり怖いとは思わなかった]

じゃ、こっちに貸してくれ。

[差し出した手の意味は、周りの人間には分からないだろう]


はい、よろしくお願いします。

[差し出された手に本を手渡す]


[人通りの少ない角のたばこ屋で、普段は吸わないたばこと、ライターを買った。
その次は雑貨屋でカッターナイフ。

全ての買い物を済ませたら、それらを持って公衆トイレへと駆け込んだ。
ここで本を切り刻み、枯葉と共に火をつけるつもりだった。
このまま水に流してもよかったが、全てをそれで処理するには時間がかかりすぎる。
すぐに流れる分だけを処理して、ページを減らした]

ふーっ……。

[なにせ人を殴り倒せるほどの本だ。
かなりの量があって骨が折れたが、ゆっくりもしてられない]


[思いついた軽口があるにはあったのだが、
今は言う気分になれなかった]

若者が悩む内容なんて、色恋沙汰に決まってんだろ。なんて。

[言える訳がなかった]


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