人狼議事


270 食人村忌譚

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 かあ、ちゃ……ん。


【人】 真剣師 鬼丞

[そこから命の吐息が消え去って一晩がたっても、
神社のとある一角から血臭の絶えることはなかった。
混ざりあう三人の血。
殺されたことが明らかな死体。

――――「冬で良かった」

手を貸すわけでもない村人の誰かが囁いた]

(24) 茄子 2017/12/05(Tue) 23時半頃

【人】 真剣師 鬼丞

[衣服を剥ぎ、皮を剥ぎ、
ただの肉塊となれば、そこにあるのはただの死だ。
長さは問わず、積み重ねられた年月が曝け出される。

些細な努力は現れず、鬼の肉は鬼のまま。
何処も彼処も骨が浮く。
噛みついても固そうな肉は、煮込んだところで高が知れる]

(25) 茄子 2017/12/05(Tue) 23時半頃

【人】 真剣師 鬼丞

[――せめて、美味しく食べられるように。
美味しいと思ってもらえるように。
どうせ食べてもらうならば、嫌々なんて御免だ。
肉を食む時の感情が、生まれ変わる前の「その人」への、最後の想いだから。それは悪くないものであってほしい。

好かれたい、とは少し違う。
死後の世界なんて囁かれない村で、
ましてや生まれ変わりだって信じてはいなかった男の、
どこか矛盾した願いは、はたして叶ったか]

(26) 茄子 2017/12/05(Tue) 23時半頃

[生温い風に四つ足は目を覚ます。
本来なら雪解けもまだ先、鼻先を掠めるのは
生木を凍らせる張り詰めた大気。

だが今、四つ足の鼻を湿らせるのは温度を持った風。
命の気配を湛えているくせに、ぼたぼたと零していく。

にぃ、と嗤った四つ足の口は深く裂けて、
赤い舌が鋭い牙を研ぎ直すように舐め拭いた]


 グルルルル……。

[低い唸り声が喉の奥から漏れる。
前後に動く耳は片方しかないが、四方から聴こえる音を
逃すことは無い。

匂いと音を頼りに四つ足は雪に足を沈めながら
慎重に進めていく。

後ろから付いてくる仲間たちも真似ながら進む先に。
遠く遠くに雪に埋もれてある動物が
群れて住まう場所があった。

普段余程腹を空かせない限り、獣は近付かない場所]


[だが離れて動くドングリの様な影が見えて。

四つ足たちは動きを止めた。
そうして風下になるようにゆっくりゆっくり位置を変え、
雪の溜まり場に身を潜め。

茶褐色の毛並みの四つ足が距離を詰める。

どうしてその動物達がここにいるのか。
四つ足には関係なかった。

ただ、腹の膨らんだ柔らかそうな肉の匂いを
運ぶ動物たちに目をぎらつかせ。

道標のように赤い筋を付けた雪の上を、
一拍置いて一気に駆け抜けた]


 ガルルルルッッッ!!

[この動物たちは群れになっても牙はなく、
時として火を噴く道具を使うのは知っていた。
だからまずその群れの首領を狙い、顔を潰す。

たちまち統制を失った動物の群れなど
後は好きに食い殺すだけだ。

これだけあれば暫く群れは生き抜いていくだろう。

早速柔らかで栄養満点な
腹の中身から食らい付いて気付く。

この血も肉も、この動物独特のものか。
何処かで口にした覚えがあった]



[何処でだったか。

牙を深紅に染めた獣は少し悩むような素振りを見せたが、
すぐに邪魔が入らぬうちにと、ガツガツと
食い進める。


何一つ変わっていない。

          獣が家畜を食い殺しては生きる話**]


【人】 真剣師 鬼丞

[持ち主を失った鬼の田畑は村の財産となった。
丞が種を撒いていた作物は、次の春に実を結んだ。
十分な蓄えがありつつも、村人たちはそれを収穫し、そして次の秋に向けて田植えをした。


鬼丞は、何も村で唯一の農家でもなければ、一番の農家でもなかった。彼が誇るは研ぎの技術ばかりで、作物の出来はそれなりでも、特別な世話はしていなかったはずだ]

(56) 茄子 2017/12/06(Wed) 23時半頃

【人】 真剣師 鬼丞

[それなのに、―――年々、田畑は痩せていった。
ミナカタの技術が失われ、虫害を防げなかったからだ、という者がいた。いや、鬼の呪いだよ、と囁く者がいた。

噂は噂のまま、理由のわらかぬ衰えはとどまらず、
穫れる作物の質は悪くなり、量は減り………。
とある年、地震による山崩れで、かつて研ぎ師としてこの村にいた男のようにやせ衰えていた土は、鬼を掲げたボロ家を巻き込んで、あっけなく流されていった]

(57) 茄子 2017/12/06(Wed) 23時半頃

【人】 真剣師 鬼丞

[――それは、まだ鬼が生きていた頃。
弔いに参加する度、早々に食事を切り上げ掃除をする丞の姿があった。元より痩せた身体だ。そんなに入らない、と笑うのは嘘じゃない。
掃除がてら行っていたことは、隠すことでもなく、丞にとっては「これも弔い」と胸をはれることでもあった。
それでも少しだけ人目を避けるようにしていたのは、それが「限られた財産」だったからだ。

それは、解体の際に流れた血。それを吸い込んだ土。
それは、食べられずに残った骨。砕かれ埋葬されるはずの白。

それは、―――とっておきの、肥料だった]

(58) 茄子 2017/12/06(Wed) 23時半頃

【人】 真剣師 鬼丞

[この村の住人のほとんどは、生涯を村から出ることなく終える。
母から切り離され産声を上げる。
村人の血を吸った作物を食べ、村人の肉を食べ、子は育つ。
そして一生を終えれば、また平等に分けられ村の土に還る。

閉じた世界の輪廻は、その世界ごと滅びるまで終わらない。あるいは、村が滅びても、それは草木や動物となってめぐるだろう。
これは、血によって穢された土地に返された呪いなのだから**]

(59) 茄子 2017/12/06(Wed) 23時半頃

[崩れ落ちた、短い刀の刺さった身体
最期の鳴き声に触れて、ススムは眼を閉じる。

望みは叶わなかった。
人として生きる事
獣のように、喰って交わり死ぬだけの一生ではなく
誰ぞの役に立てる事、知識を追いかける事
身体だけでなく、情のある交わりを持つ事

どれ一つ成し遂げぬまま
意識が薄れていく]



 ――――僕も、誰かと


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