276 ─五月、薔薇の木の下で。
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────……君も俺をひとりにするんじゃないか。
[棘のある恨み言を呟く
彼が与えたものが俺にそうさせた。
この声が違う形として発されたと、気づかない。]
[薔薇の花なんて大嫌いだ。
何もせず佇むだけでいつまでも美しくいられる。
俺の欲しいものを、掴んで離さない。
いつもいつも、心の奥で嫉妬し続けていた。
俺は花になんてなれない。
踏み躙られ、嘲笑の中何もできず汚され
見限られて引き抜かれるのが似合う雑草。]*
[君が俺を受け入れて手を伸ばさなければ
こんな気持ちにならなかっただろう。
作品を貰うより、隣にいてくれるほうが好き。
……欲望を受け入れられるより、隣に、
分からないなりに何かが変わったことを感じる
どうしてこんな俺を置いていくのか、と。
まるで子供のようだった。]
[地上で虚しく跳ねる魚は
ひとりでは、何処にも行けない。]**
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……調子に乗るな。
[デコを弄られたお返しとばかり、ピスティオのデコを指で軽く弾く。>>9
自分のペースを取り戻そうと。
……思いの外気持ちよく、 もう一回してみたくなる衝動を抑える。 流されてしまいそうで。 はまりこんで、しまいそうで]
(14) 2018/05/21(Mon) 00時半頃
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命令…… すぐには思い付かないから、覚えておこう。 今回のは貸しということで……
[息を大きく吐いて、呼吸を整えて。 ふと、気持ちを切り替えれば、まだ薄暗い階段の上。]
……そうだ。日光、まだかな。 差し込んでくる様子、ないよな?
[もういい加減、朝になってもおかしくない時間ではないかと。なのに相変わらず暗さを感じて。*]
(15) 2018/05/21(Mon) 00時半頃
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……ちょっと、外に出てみないか。
[異常を確認するために。
今はまだ知らないが、もしかしたら途中、中庭に行こうとしたのか、階段にしゃがみ込む同級生の姿を見つけるかもしれない。>>2:316*]
(16) 2018/05/21(Mon) 00時半頃
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[ 声が届く。
今まで聞こえていたものとは違う、声。
拗ねた声()のような。
それよりももっと棘のある()ような。
嗚呼、そうか。
つまり彼は奪えたのだろう。
無理やりにでも、強引にでも手に入れたいと思っていた、ものを。 ]
[ ぞわぞわと、心の奥が痒くなった。
掻き毟ってしまいたかったけれど、今その体力はないし。
いや、わかっていたから先に掻き毟ったのか。
薔薇――自分自身――を。
あまりにも可笑しくて、おかしくて。
零れたのは、笑い声だった。
やはり喜ばしい日だ。喜ばずしてどうする。
互いが求めるものを見つけられたのなら。
こんなにも素晴らしい時があろうか。 ]
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すごく分かりやすい寝起きだな……
[光景が目に浮かぶようだ。>>21 渾身のエロはスルーした。]
黒昼……は、なかったような。 白夜の反対は何だったっけ……
[そんな雑談も、降りた階段の先でヒューを見つけるまでのこと。]
(31) 2018/05/21(Mon) 01時半頃
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……熱、出たのかな。
[一週間ほど前に、話をした後に怪我をした同級生。穏やかでない会話の直後だったから、気にはしていたのだけど。でも、少し、声をかけ辛かった。]
医務室、運ぼう。
[ピスティオに申し出ながら、ちらりと中庭を一瞥した。夜空には満月が輝き、濃い薔薇の香りに包まれた庭は静まり返っている。]
……タンポポの生える場所さえも奪われそうだ。
[勢いづいた薔薇にぼそりと呟き。 月を睨むように見てから、医務室へ**]
(32) 2018/05/21(Mon) 01時半頃
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[君達は俺の知らないところで全てを進めた。
俺は本当に何もかも知りはしない
来てはならなかったなんて、分からない。
笑い声が仮に届いたとして、それだけで誰なのかなど
何を考えているのかなど、察せない。]**
[ 手を伸ばしたって今は何にも届かず、――()。 ]
[ 見つかったのが、諦めたように手を降ろしてからでよかった。
この手を無意味に、出来て、――よかった。 ]
おはよ、いっちゃん。
お目覚めはいかが?
[ 困ったように、笑いかける。
その声は、音は、薔薇の香りを連れるようにして届く。
傷だらけの手を――隠せるわけもないのに――隠そうとした。
だってもしこの手が無意味じゃ無くなってしまったら。 ]
[ ―――きっともう、笑っていられなくなるから。 ]**
[ 廊下からもう一度、 動けなくなった月を見上げ、
そのまま視線を落としたなら、
溺れる程の赤が 広がっている。
…… かち、 と金属音を立て、 窓を開けた。
染まるほどの赤い香りのなか、 赤泥の中に、
また、ひとを認めたなら 何時かの己を思い立ち、]
──── 惑わない、では 無かったな。
[ 特別堕ち易かっただけだ。
──── 己、が。
忘れられざる少年時代を、思い出しやすくもあり
……顎を引っ掴んで向かせるほどの、欲は無くとも
燻る熱は 常にあったのだと、思い起こす。
誰にだって有るものだろう、
言葉にならない心の最奥が、]
──── なあ、 ………
[ 其処にいる彼等の名は呼ばずとも*]
[ ざわざわと、風もないのに薔薇の木々が囁く。
その声は聖書の一節を落とした相手のもの。
──惑わない、でもない。
ロジェのように、小夜啼鳥のように
囁き返すこともできないで、いる。 ]**
っ、 え
これ、なに、何のこと……俺、寝てなんていない
[その声も咽返る芳香と発せられる。
放たれる薔薇の香りに乗せて届く音に
具体的な何かを理解出来たわけじゃないが
相手と自分への違和感だけは、認識した。]
[傷だらけの手が痛ましい
……でも、いつからそうだった?
きっと気づこうともしていなかった。
そうしたのは、誰?
怯えて動けない癖に、晒したくないものを抱えている癖に
見てほしいなどと自分勝手なことを想ったのは。
自分の傷ばかり見つめる奴が
他人のそれを癒せるわけがない。]
誰…………?
[短く混じった囁くような声
──いつも聞いていた、ような。
弱った子供のような戸惑いの問いに、返る音はあったかどうか。]**
[ 誰も俺なんて見ていない。
この瞳がみていたものだって、きっと。
俺を通した、別のなにかだったんだろう? ]
この声が聴こえるのは、薔薇に呪われた奴だけ。
欲望や、奪ってでも手に入れたい想いがある奴だけ。
モリスもそうだし、……さっきのも。
まあ、誰とはいわねーけどさ。
[ なぁ、と()聞こえた声の主の名を謂うことはなかったけれど。 ]
モリスは想いを遂げたからね。
疲れて寝ちゃったんでしょ、きっと。
大丈夫。朝になれば起きるよ。
そんで、きっと、いっちゃんの傍にいてくれる。
[ 来るかもわからない朝は、きっといつか来る。
その時傍にいるのは、咲きもしない薔薇なんかじゃない。
夜が明けたあと、横にいるのはきっと《いつも》の。 ]
[ 自分でもわかるほど、薔薇の匂いが濃く、なる。 ]
───俺の勘違い、だったんだな。
[ こんなに必死になってくれる姿は
たぶん、俺のためなんかじゃなのに。
恥ずかしいと思うより、傷ついたこの手より。
空っぽのはずの場所が、今更────痛い。 ]*
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