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[森に近い、村外れの粗末な小屋の中。月光を浴びながら、一人の女が糸を紡ぐ。
時に、銀色の光が注ぎ込む窓辺から――。
森から村へと続く小途を、慈しむように眺めながら]
あの人の生まれた村を静かに見守ってきたわ。
あの人の愛した村を、私も愛してきたわ。
でも――。
もし、村が悲しみのうちに滅びるようなら――。
どうすれば、いいと思う?
[誰ともなく問いかけて]
[そんな事は起きないで――
そう、願いながらも。]
.
愛する人の死を告げられるのは、辛い、わ。
自分の命が天に召す神様の御手により、刈られるよりも辛いこと、よ。
魂が千切られるような、痛みと悲しみに晒される、の。
埋めきれない空白を、疵を、魂に深く残すの。
それを埋めることなんてできるものでは無いわ。
あの人が愛したこの村が悲しみにくれるのなら――。
あの人の愛したこの村の人々が、身近な人を、村の人を失い。
魂に喪失という残酷な疵を受けるのなら。
私の手でできる事を――。
し て、あげる――。
[例え、自らの手を赤く染めたとしても――
丸い銀の円盤を、静かに眺めながら心の奥で思って。]
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― 牧場 ―
誰かがあの子達の面倒を見ないといけないし……。 うん、期待して待っているから。
[三頭引きの馬車の上で手綱を握る牧場主。 病の件を聞いた彼の行動は素早く、馬車を用意すれば街に行く村民達を纏めて準備を整え、第一陣として出発しようとしていた。
自分を共に町へ連れていこうとする彼にやんわりとした言葉だが明確な意思を込めて拒否の言葉を返す。
遠のく蹄の音。 馬車が丘を越え見えなくなるまで見送り、ふと溜息を漏らした]
(8) 2010/07/03(Sat) 02時頃
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― 通り ―
……?
[村の方へと歩いていけば話が嘘のように日常が保たれていた。 たちの悪い嘘だったのかも――そんな考えさえ浮かぶ。]
パニックが起きないように教える人を選んでる……?
[比較的現実的なラインの答えを頭の中で引出しながら陰鬱な表情を浮かべて通りを歩む]
(15) 2010/07/03(Sat) 02時半頃
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みんな嘘。
[ぽつり呟いてみる。 そういえば、この日常がずっと続くような気がした。 変わらぬ生活を続ける皆を改めてみれば、突きつけられた事実の方が冗談のようで――待ち受ける苦痛から逃げるよう楽な方へ思考を逃がした]
(20) 2010/07/03(Sat) 02時半頃
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― 酒場 ―
……っ。
[自警団員が酒場から足早に出てゆく姿を目にすれば 辛い現実へ引き戻される精神的な苦痛で目を細める]
やっぱり弱いんだなぁ……。
[逃げるだけで向き合うのが怖い。 そんな自分を自覚しながら酒場へと入る]
マスター?
[力のない声で酒場の主を呼んだ]
(23) 2010/07/03(Sat) 02時半頃
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>>27
こんばんは、マスター。 牧場の運営にも人が居るから私は残ることにしたの。
誤診だったり、意外と生き残れたりするかもしれないしね。 ああ……昨日の御代、忘れちゃってた。
[ごめんなさいと微苦笑を浮かべる]
お店、やっていないのかな? 飲みたいな。 そんな気分。
[店先に座るマスターの頬に手を添えて優しく撫でる。 笑顔を浮かべて酒をねだった]
(32) 2010/07/03(Sat) 03時頃
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>>37
そのときが来るまで信じられない、かな。 まだ誰も死んだわけでもないしね。
人間、そんな逃げ道があれば幾らでも現実逃避できるみたい。
[暗いことを考えるのも嫌になったのかくすくすと明るく笑う]
そうね。確かに。 時間はあるし、酒場娘でもはじめようかな。
(41) 2010/07/03(Sat) 03時頃
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恨みは水へ流し愛を墓標に刻んで……かな。 本当、後悔せず死ぬ為の……死のための準備か。 らしいといえばらしいかな。
手がかかる時間帯が微妙に違うって事。 邪魔かな? ならお酒だけもらっちゃう。
[くすり笑ってマスターの傍を通り過ぎる。 棚なに並ぶボトルに勝手に手を伸ばし始めた]
(47) 2010/07/03(Sat) 03時半頃
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凄く現実的なのか逃避してるのか……。 何か達観してるよね。
私は――其処まで割り切れないな。 やっぱり、怖いし、やりのこしたこともある。
普通に結婚して、子供を生んで、子供達に見送られて逝く。 平凡だけど、そんな未来が待ってると思ってた。
未来なんてないと宣告されて そこまで現実を割り切れるマスターは凄いね。
[白ワインのボトルを抱えながら 呆れとも感嘆ともとれる様子で彼を見る]
(49) 2010/07/03(Sat) 03時半頃
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>>48
ラス? ああ……聞いてないんだ。 私達には明日はないって事かな。
[微苦笑を浮かべ、何処か投げやりな言葉を返した]
(51) 2010/07/03(Sat) 03時半頃
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飲む? それとも大切な人の傍に居る?
[表情をゆがめるサイラスとは対照的。 何処かからかうように言葉を向けた]
(54) 2010/07/03(Sat) 03時半頃
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>>53
私もそれくらい捻くれてたら楽なんだけれど。
せめて結婚ぐらいはしたかったなぁ……。
[消えてしまった未来を思い溜息が漏れる]
最後ぐらいはちゃっかりやらないとね? なら、手伝いたい時に来るね。 このワインはその分の先払いって事で。
[勝手な事を言いながらにこり笑い店先に出れば周囲を見回した]
(60) 2010/07/03(Sat) 04時頃
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>>62
もちろん、酒場娘というなの飲み放題というオプションもつけて、ね。
[バツの悪そうなマスターのオデコを撫で 安売りする積もりはないらしくそんな言葉を付け加える]
それじゃ、またね。
[ゆらり手を振って酒場を後にする]
(64) 2010/07/03(Sat) 04時頃
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>>61 ソフィア
[ワインを抱いて大通りを歩く。 流石に話が広がっているのか何時もは閑散とした通りも出立の準備を進める人たちで雑然とし始めている]
……っ。
[視界に入る後ろ姿。 まるで周囲から浮き上がるように視線が惹き付けられる。 同時に感じる原因不明の違和感に声を漏らす]
ソフィ……。
[その人物が誰かと認識できれば、不思議な違和感を胸に抱えたまま後をつけるように歩みを進めた]
(66) 2010/07/03(Sat) 04時頃
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>>69
……わ。
[いつの間にか気づかれていたらしい。 振り向きざまの一喝にびくりと震えて硬直してボトルを落としかけるが続く言葉に安堵した様子で硬直が解けた]
うん。ペラジー……だけど。 普段からストーキング、されてるの?
[不思議な違和感は胸に残るまま――近づく事で更に高まる。 どこか息苦しさのようなものを感じて微妙に言葉が乱れた]
(73) 2010/07/03(Sat) 04時半頃
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気にしないで。
それは――面倒な事になってたんだね。 ええと、お疲れ様。
[微苦笑を浮かべて自分でも微妙と思える言葉を返す]
何か――ソフィが何時もと違うように見えてね。 自然とつけてしまったの。
何だかよくわからないけど、見てるとざわざわした感じになる……。 ついていかなきゃって……。
[正直に話しはするけれど、あまりにも感覚的すぎて言語化されていない答えに自分も首を緩やかに傾げた]
(77) 2010/07/03(Sat) 04時半頃
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リンダが? この病気で……?
そっか。そっか……。 ピッパが……どうしたの? まさか、ピッパも?
[答えを貰えば、納得はできた。 でも本当にそれを感じ取っていたのだろうか? 自分でも不思議そうに内心首を傾げるけれど ソフィアの表情が歪むのを見れば反射的に頬に手を伸ばして温もりを分け与えるように、癒すように撫ぜた]
(79) 2010/07/03(Sat) 04時半頃
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持病? そんな……隠してたのかな。
傍に居れば死者に囚われてしまう。 直ぐに追えるような立場になってしまうならなお更……。
思い出を囚われそれを否定せず胸に抱いて逝く事は、誰も止められないような気がする。
それもソフィアは嫌なのかな……。
そんな、気にしないで。 勝手に私が後をつけた事ではじまったんだから。
[頬を伝い落ちる雫。 また1つ増えた違和感にもどかしさを感じつつも ソフィアを包むように抱き寄せて優しく背中を摩った]
(83) 2010/07/03(Sat) 05時頃
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普通に接してほしかったのかな。 腫れ物扱いは辛いものね。
[続く言葉の強さには、少し呆気にとられるように間が開く]
……。 まるで、恋をしてるみたい。 リンダを恋敵のように見て、独占欲で苦しんでるみたい。
[続く凛とした言葉感じる彼女の感情。 違和感に自分なりの答えを出す。 鼻を啜る彼女を抱きしめたまま耳元で淡々と呟く。 髪が彼女の鼻先を擽るようになぜた]
(87) 2010/07/03(Sat) 05時頃
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[自嘲する彼女に向ける言葉はなく 礼を返してくる彼女に「気にしないで」と、緩やかに首を振った。 フードを撫でる手の感触を最後に彼女が離れてゆく。 ワインボトルを改めて胸に抱いて彼女の後ろ姿を見送り溜息を漏らす。]
(91) 2010/07/03(Sat) 05時半頃
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死者には誰も勝てないんだよ。
(92) 2010/07/03(Sat) 06時頃
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流浪者 ペラジーは、ソフィア哀れむような呟きを漏らし牧場へ続く道を歩み始め**
2010/07/03(Sat) 06時頃
初めて目を覚ましたときにあったのは、
幸せそうな笑顔と自分の泣き声でした。
子どもの頭を撫ぜる親はどうしてあんなにも幸せそうなんでしょう。
もうこれ以上は無い、と思える平凡。
当たり前のことが当たり前にある奇跡。
理解したらもう失っているもの。
病気になった、と聞きました。
詳しいことは分かりません。
誰が病気になったのでしょうか。
パパとママじゃありませんように。
せめて私でありますように。
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