217 【突発誰歓】幸福の壷【十二支騒動記】
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[粉々になった眼鏡の欠片。
あれは鏡だ。
映して、反じて、封するもの。
黒亥は消える。意識が途切れていく。
形は崩れ、意識は溶ける。]
[否、還るだけ。
元の闇に還るだけ。
何も変わらぬ、何も求めぬ、何も 何もない、暗闇に。
かえるだけのこと。]
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龍さ、ま... 龍さま....
[申の手を両手で握り、祈るようにしてその名を呼ぶ。 子が立てないのは、目の前で申が眠ってしまったことによる衝撃だけではない。 もう、その身体を自由に動かせない程に子は限界だった。 人型を保てているのが不思議な程。
辰は子の傍らまで来てくれただろうか。
もう殆ど見えない目が最後の一人をその中に捉えた。]
...................................った... 龍さまは、違う....
(5) springkraut 2015/02/19(Thu) 01時半頃
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[内に視る龍の周り、振る花弁は白く。 子は安堵に涙を零す。]
...これで、皆は....、
[猿くんも。]
戻ってきてくれるのですよね..........?
[縋るように龍に聞く。
今、起きている全員を視た。 呪に犯された気はもう。]
(6) springkraut 2015/02/19(Thu) 01時半頃
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龍さま........
[痛みに軋む心。 ぷつんと切れてしまいそうな糸が、是との応えを求めて震える。*]
(7) springkraut 2015/02/19(Thu) 01時半頃
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[嗚呼、口惜しい、口惜しい。
ようやっと器を手に入れたのに。
ようやっと報復が叶うと思うたのに。
また、暗闇の中で眠るのか……――。]
『辰星……――』
[ようやっと、同輩の名を思い出せたというに。
また呼べぬ、呼ばれぬようになるのか。]
[嗚呼、嗚呼、忌々しい。
ただの眠りのみならず、今度は呪詛も掛かったか。
嗚呼、前より忌まわしい物が増えておる。]
『……だが、汝が犯した罪は変わらぬ』
[深い深い眠りにつく直前。悔し紛れに返す呪詛。]
『罪を償え 南方螢惑……!!』
[忌まわしき名を持つ巳の男。壺を割りし、負の者。
お前がいなければ、この様なことはなかったのだ。
最後にそう囁くが、それがしかと声になったか否かは、判らぬ侭。*]
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[辰の応えを聞いた直後だっただろうか。 両手に包んだ申の指が僅かに動く。]
.........っっ
....――って、猿くんが、嘘.........、ばっかり...... ....いうから............
[目覚めに掛けられる声。 頬を撫でる温もりに笑みを浮かべるも、子の瞳からはいくつもの雫が零れた。]
(34) springkraut 2015/02/19(Thu) 19時頃
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............おはよう....
[その挨拶に、ぎゅうっと、もうひとりの自分を抱きしめる。
耳に届く酉の声、辺りで寝間で、皆が起き出す気配に、子は柔らかい笑みを浮かべ。 そのまま、眠るように意識を手放した。**]
(35) springkraut 2015/02/19(Thu) 19時頃
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ショコラは、ミナカタさん、お疲れ様です...、[ぺこり]
springkraut 2015/02/19(Thu) 19時頃
ショコラは、もんちゃんだ...、もんちゃん(ぎゅう)
springkraut 2015/02/19(Thu) 19時半頃
ショコラは、タルトくんだ...、大きくなったら女装駄目だよ...?
springkraut 2015/02/19(Thu) 19時半頃
…―――――
[辰星は眠る。
代わりの涙は天に流れ、地に流れ。
安らぎの闇に浮かぶ星とならん。
夏日と、また名を呼べる日を想い描いて。]
[込み上げるは何の香りか。冬の香り。]
『…――忘れろ。忘れて良い。』
『我の事など、忘れてしまえ―――』
『此方に引き摺られるな。』
[忘却を望み、星は―――墜ちる。**]
/*
[この牙を向ければ独占できる、と。
叶わなかった願いのために。
黒亥は、黒蛇に呪いをかけた。
断ち切れぬ絆があると、知れず。
成就せぬ願いとは、知らず。**]
[背負う覚悟を決めて歩む巳の男。
嗚呼、吾は結局、報復ができなんだか。
誰にも…… 何も……――。]
『かなしい、なぁ……』
[居るだけで罪だと言われし己。
封じられるその身を恨み、嘆いて、哀しんで。
それでもまだ、誰からも見てもらえず、忌み嫌われ。
何時しか恨みは外へ向き、人を呪い、更に恨まれ。
それを繰返し繰返し積み重ね。]
[火の星を冠し、夏の陽の如く激情に流されし者。
智恵を持ち、能力あるはずの者が最後に願いし事は。]
『淋しい……――』
[忘れないでくれ。
同じく火の星を冠する男に対し、小さく小さく囁いた。
届いたか否か。其を知る前に、赤く黒い火の星は燃え尽きた。*]
―後の世―
[世が乱れたのは昔。
ようやく平和な世になると誰もが信じ始めた頃。
それでも街を離れれば、村へと足を伸ばせば、目に見える戦禍に昔を思い出さずにはいられまい。]
[上佐川。
夏陽を受けてきらきらと眩く川面を見詰める子は、親を知らず。名を知らず。
クロ。次郎。佐川。
どの名前で呼ばれても、その子は頷き返事をした。
取り立て困ることなく過ごしてきた。]
[けれど、心の内では思っていたのだ。
それは違う、と。
自分のことではない――――と。*]
―後の世―
[戦の面影が残る村。ひとりの少女が泣いていた。
大粒の涙を溢すのは朱金の目。
その気味悪さから皆からは蛇の目を意味する「鬼灯≪カガチ≫」と呼ばれ、捨てられたその子は親も知らず、名も知らず。
ただひとつ、己の中にあるのは大切な大切な、名前だけ。]
[ある夏の陽が降り注ぐ上佐川。
そこで佇み川を眺めながら、はらりはらりと涙を流す。]
何処にいるの……『しんしょう』……
[産まれ出でた時より持つ、誰かの名。]
あなたに逢いたいの
また、わたしの名を呼んでちょうだい……
[己すら知らぬ己の名。
それはきっとこの者が持っている、と何故か疑わず。
春の日も、夏の日も、秋の日も、冬の日も。
何処かにいるとも知れぬ名を呼ぶ。]
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-遠い昔-
.....ぇ?
[酉の優しい声に、泣いていた子は顔をあげる。]
どうしてって....、ねずみが...、わたしが...わるいこ、 だから...、だから.....っ、っ
[絵本を抱いて、しゃくりあげて。]
べにはおねーちゃん...
ずるしたの.. ねずみ、わたし..、ずるいこなの..
(104) springkraut 2015/02/20(Fri) 21時半頃
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[暖かい日差し。 頭を撫でられれば、抱きついて。 近くで喧嘩する、申と戌の声を聞いていた。]
(105) springkraut 2015/02/20(Fri) 21時半頃
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....私、そんなこと言わな...
[戌を騙す申に言う。 見てられなくて、そんな風にい話しかけるといつも手を引かれて。 何故か自分まで一緒に逃げることになって。
気付いて怒る戌と楽しそうに笑う申におろおろするのはいつものこと。 あの日から、一緒に居ることが多くなった。]
(106) springkraut 2015/02/20(Fri) 21時半頃
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どうして私なの......?
[何度聞いたことだろう。 性別も違う、真似るなら適当なひとが他に居るのに。
軽く、繋がれる手。 目があえば、ふざけて。]
.................
[会うたびに聞く度に。 その時々で変わる理由。
会うたびに、触れる度、揺れる心。 胸の奥、話したいことばかり増えて行く。]
(107) springkraut 2015/02/20(Fri) 21時半頃
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[強くなれなくて、強くなりたくて。 でもいつも、誤魔化して逃げていたのは自分のほう。
「どうして、猫さんに嘘を吐いたんでしょう。」
それは―――**]
(108) springkraut 2015/02/20(Fri) 21時半頃
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ショコラは、タルトにバナナを差し出した。
springkraut 2015/02/21(Sat) 00時頃
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-宴が始まる頃-
..................き、だったから?
[目が覚めると座布団の上。 髪を撫でる手は未だ、そこにあっただろうか。 ゆっくりと頭をあげて、辺りを見回した。]
始まってる....?
[霞む世界に目を凝らす。]
(143) springkraut 2015/02/21(Sat) 00時半頃
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