276 ─五月、薔薇の木の下で。
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君には、何が必要なの?
[初めてちゃんと、彼に問いかけることが出来た。
声を掛けるまでの緊張と躊躇いは気づかれなければいい。
新しい“もうひとり”を、まだ知らないまま。]
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─中庭─
天気も大事なのよ、花を育てるのって。 隠すのはあんま得意じゃないし、よゆーってわけでもねーよ?
[ 余裕と取られてもおかしくない口調。 今は少し──いや、だいぶ──叱咤を受けたから、前を向いているだけ。 ]
あっ、でもちょっと全部は抜くのは… ちょっと勘弁してもらいたいとこね?
[ たぶんそれやられたら、悲鳴どころか俺死んじゃうわ。 ]
(4) 2018/05/23(Wed) 00時頃
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[ 何が、必要か。
血なのか、水なのか、精なのか、愛なのか。
そのどれも違うことを思い出したから。
耳に心地よいその声を、聞いて。
手と手を繋いだ、薔薇に毒された幼い子とその毒牙にかかった新しい花。
またこの声も聞こえているだろう。
俺の声は、香りにのって、届く。 ]
この夢から覚めたときに。
逢いに行っていい?
その時に───話すから。
[ 俺には何が必要か。 ]*
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そ、こんな風に明るすぎる夜もダメだしね。
[ まるで普段と変わらないような会話。 だからこそ画材を持たない画家先生は 先程より落ち着いてくれたようにも思え。 ]
そっち側って…。 まあ、そうね、君たちとはちょっと違うかもね。
[ しかし念を押すように「この空間は俺の仕業ではない」と 強調するみたいに謂ってのけた。 ]
(9) 2018/05/23(Wed) 00時半頃
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………… うん。
[やっぱり怖い。でも、まあ、悪くはない。
どこかの誰かが必要だとか、お前がいなくなることだとか
言われたとしても、その言葉は必要なものを求めている証だから。]*
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やだよキミ絶対そこから抜くじゃん。
[ どーどー、どーどー。 衝動だけで中庭を全焼させそうな──俺が謂えた義理もないが──彼に どの薔薇が、なんて謂わない方がいいだろう。 むしろ。 ]
さっき《もしかしてと思って間引いてみた》んだけど。 何も変わらないなら、抜いても無意味なんじゃ──…?
[ 声に紛れて音がするのに気付いた。 ばしゃんと、魚が跳ねるには些か大きすぎる音で… ]*
(11) 2018/05/23(Wed) 00時半頃
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…………ん?
[なんか、声が聞こえてくる。
周囲を見渡しても誰もおらず。
はて、空耳かと首傾げ。]
[ 少しの間()が────なんて、今は謂わないでおこう。
すべてはそう、夢から覚めた後で。
願い、望む、未来の、ために。 ]*
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ん? お、ほら。 探し人が来たみたいだよ、よかったね?
[ 掠れた声でやって来た彼(>>16)に一度視線を向けて。 探してたんじゃないの、と告げれば。 先ずは《眠っているであろう》人のいる方へ、足を向けたか ]**
(18) 2018/05/23(Wed) 01時頃
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おはよう、ロビン。
お目覚めはいかがかな?
[ いっちゃんが、この声を聞こえるようになってしまったときも
似たような声をかけたと思う。
甘い香りに漂って。 ]**
ロビン……。
[甘い香りで呼びかける声。
繰り返すように、呟きも芳香に乗る。
彼は薔薇を恨むだろうか
ケヴィンを、恨むだろうか。
複雑な気分だ。 ]*
……
[寝たっけ、多分寝ていなかった、と思うけど。
さっきまでの状態は、寝ていたように頭が呆けていた。
寝ていなかったとも言いきれないか。
ということは、おはようでいいのか。]
……おはよ、ございます?
[一人はすぐ近くにいたから、今度は空耳だと思わずに。
しかし、別の声も聞こえた。あれ、姿がない。
それにしても、薔薇が濃く、甘く香っているな、と感じた。**]
[ひとりで熱に震えながら、色んなことを考えた。]
ヴェルツ。多分、君は無関係なんだろうね。
[いつまでも君は君のまま。
ただの一度も乱れを見せない。
その割に、確かに呪われていて。]
妖精でも紛れ込んでいるみたいだな。
[この声を聴くのに清い様
清らかな者は俺を異物とするだろうが
俺からすれば、むしろその見守るような立場が。
君はきっと、眠れないのだろう。]
君じゃなく、薔薇に必要なものは?
薔薇はなんで、こんなことを?
[今までが嘘のように、舌が回る。]
あとどれくらい待てば、解放されるのかな
……ロビンまで来てしまった、もう、早く
[自分と違うからといって、分かるとは限らなく
“目覚めたばかり”の方を混乱させてしまうかもしれないが。]**
ロビン、ロビン。ごめん。
君も、苦しくなるのかもしれない。
でも、お願いだから他の奴らに薔薇を傷つけさせないで。
この夜はそれじゃ終わらない。
終わっても、駄目だ。
[どこか熱を帯びて、切なげに
けれど、“あたらしいひとり”へと必死に呼びかけた。]
[姿はまだ発見できていないけど、焦っているように聞こえる声の持ち主が誰か、には気づく。
こんな時に的外れな質問をしても落ち着いた答えが返ってくるかどうか。
なので、しばらく薔薇の香の声にじっと耳を傾けて、状況の把握に努めていた。]
……薔薇を傷つけても問題解決には至らない、と。
了解しました。
[焦るその声が、嘘を言っているとは思い難かった。
君も、と言うからには自分だって辛いのだろうに、それを省みずに訴える声が。
自分の役目は、差し当たって、薔薇が原因と聞けば全部引っこ抜きそうな同級生を止めることだろう。**]
[俺に手を伸ばしてくれたのは、あの子だけ。
その言葉一つ一つ、優しく暖かく染み込んだ。
確かな救いに、心の中に一つ箱が置かれて
“あい”でも“こい”でもない名前が付いた。
それなのに、自分の願望ばかり優先した。
夜が明けて目覚めるのならば、
その名前を伝えるべきだろう。
あんなことをしたからもう嫌いかもしれない
“あいしてる”が交わされない求め合いは
きっと、彼だって本来の望みでは無かった。
俺は勝手にそう思っている。]
[出来ることならもっと違う形で
清らかな関係で、けれど以前とも違う形で
お互いを見ていられたらいい。
図書室の時間は魚のような男の罪でも、
それは、二人だけのものだった。
あれだけ項垂れたのは、君だからだ。
君が俺を見て、俺が君を見たのだから。
“シュヴァルべ先輩”として
確かに大切に、思っている。
全部全部、眠れない男の勝手な思い。
夢の住人の心は覗けない。]
[どうでもいいのならば、貰う言葉に喜ばなかった
興味がないのならば、丁寧に身体を拭わなかった
見ていないのならば、眠っただけで項垂れなかった
“友達”になれたら良かったのに。
俺は確かに、本当のモリスを教えてもらったのに。
今更後悔しても、薔薇の香りが全て悪いなんて有り得ない。
明けた先に何があるのかは、俺一人が作れるものでもない。]*
ありがとう。
[出来の悪い生徒会長より大分頼れる答えをくれた一年生へ
短い返事は、とても嬉しそうな声だった。]*
[ 疑問形の声が返る()。
暫くは様子を伺うように黙り込み()
その間に別の音が、ふわりと届く()。 ]
妖精なんて可愛いもんだったらよかったけどなぁ。
[ 人の姿をした《それ》はきっと悪魔だ。
時に小夜啼鳥と呼ばれ、時にロジェと呼ばれた。
ああでも、この唇があいを語ったことなど一度もなかった。
――今までは。 ]
無関係、かは微妙なところだけど。
こんな風に夜を止めたのは、俺じゃあないな。
[ こんな時でも、吐けない嘘。
薔薇が必要としているもの()も、今の俺にはわからない。
それは俺が変わってしまったからなのか。
中庭の魔術師失格、といったところだ。
新たに目覚めた声と()。
君も、苦しくなるのかもしれない()。
そんな言葉に、眉を下げたのは伝わらぬ表情。 ]
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[ 唸る子犬は探し人を見つけられた(>>32)ようだし。 その背に送られる視線なぞどこ吹く風で ロビンがやってきた方へ、薔薇の向こう側へと足を進める。 ]
夜なんだからさ。 《みんなが寝れば》朝がくるかもね?
[ ぽつり、落としてその場を立ち去った。 ]*
(39) 2018/05/23(Wed) 18時頃
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起きてるから、だめなのかもよ?
みんながちゃあんと寝静まったら
月も諦めて、太陽を呼んでくるかもしれない。
[ まだ遊んで、まだ眠れない。
月は子供のように俺たちに纏わりついて来ているだけなのかもしれない。 ]*
[ 眠れない薔薇(おれ)が、みんなを巻き込んだだけなのかもしれない。 ]**
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―薔薇の木立の向こう―
[ 魚の跳ねた水飛沫が、薔薇の木を濡らす。 そのお影か、立って動き回るくらいには回復したものの。 草の上に寝そべるパン捏ね大臣を持ち上げるほどの余力はなさそうだ。
冷えぬようにか、恥ずかしくないようにか。 甲斐甲斐しくも着せられた服(>>12)と かけられた上着(>>14)を見下ろし。 眠りこけるケヴィンの表情を確かめた。 ]
(40) 2018/05/23(Wed) 18時半頃
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