24 明日の夜明け
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[先程まで人影のあった場所を、まだ呆然と眺めて]
(ああ、わたしはこのひとを知っている)
[豊かな銀の髪を靡かせ、自らの願いを叶えてくれた]
(――伝説の樹の、守護神)
[頭の中に響く言葉。すぐには飲み込めるはずもないもの。
それでも守護神が告げるのならば、それは真実だから。
...は誰にも気付かれないように息を吐き、手を握り締める。
だんだんと現実感を取り戻す頭の中、
この声がどこかへ届くような気がして、"誰か"に問いかけた]
ひたり。
ひたり。
[あの日飲み干した、契約の水のように。
身体の奥底に満ちていく"チカラ"が感じられ、微かに手が震える。
視線の先の伝説の樹。
いつも傍に寄り添い、時に音色を響かせたそれを見つめた]
"空虚な悪"って、なに。
"命の実"って、なに。
――"死の世界"って、何なの……っ。
[押さえきれない感情が心の声となる。
まるで、お願い誰か答えてと、助けを求めるかのように。
そこにいつもの...の面影は感じられないだろうか]
――誰かが死ぬのは、嫌。
[小さな小さな呟きは、闇に飲み込まれていった**]
[ふと頭に問いかける声が響いて。
そして一緒に強い心の叫び・が届けば]
……ホリー先輩?
[屋上でよく空を見ながら、語りあった声を思い出して。
そして守護神の言葉を思い出す]
先輩もだったんですね。私も。
……私も居ます。
[悲痛な声に泣きそうな声で、返した]
[頭の中に響いてくる泣きそうな声。
それは星の輝く夜空の下、星座の説明をしてくれた少女のもの]
……メーちゃん。
[声が届いたという安堵。同じ気持ちという共感。
そしてこの世界に彼女まで来てしまったことへの、――]
どこにいるの?
わたしたち、離れてても話せるみたいだけど。
……他の人は、そうじゃないから。
[先程までの動揺が嘘のように、落ち着いて聞こえるだろう声で]
(考えなくてはいけない)
(敵から逃げて。命の実を大きく育て。皆が生きて帰れるように)
(……ひとりずつ、だけれど)
[自分の仲間であるメアリーに、そして"もう1人"に語りかける]
だいじょうぶ。きっと、大丈夫だよ。
[なんの根拠もない。それはいつも通り。
それでも魔法の言葉であるように繰り返して]
わたしも、まだ落ち着けてない。混乱してるけど。
[触れられない。それでもメアリーの頭を撫でるように]
(でも、もう頼ってばかりじゃ駄目)
[自分が"願った"あの日の、守護神の姿を思い出す。
力をなみなみと蓄え、気圧されそうだった。
先程見た灰に染まっていく髪を脳裏に描き、目を伏せる]
(ありがとう、守護神様)
(わたしのあの願いを叶えてくれて)
(――もうきっと、……だから)
[力を託してくれたことに感謝するように、窓に額をつける。
メアリーも何かを願い、そして叶ったのだろうか。
今はそこまで考える余裕もなく、すぐに通り過ぎた思考]
[『メーちゃん』と呼ぶ声が聞こえれば、声の主は確信に変わり。
涙が溢れそうになった]
今、屋上に居ます。
ズリエル君……えっと、同じ学年の友達と一緒です。
[そして姿を現していたなら、フィルと]
先輩は?
先輩の傍には誰か居ますか?
[そうして続く言葉には]
ありがとうございます。
……先輩?
身体は傍に居なくても、先輩の声、いつでも届きますから。
何かあったら、言って下さい。ね?
[その声が、優しくて、切なくて。
涙を抑えて笑顔で返すように、話す。
例え姿が見えなくても、いつでもそこに居る。必ず*届くから*]
[メアリーからの問いには]
わたしは、いまはひとり。購買に向かってるの。
図書館には会長と彼氏…サイモンくんと、水泳部のマーゴちゃん。
そちらにはズリエルくんもいるんだね。
[そうして、状況を報告しただろう]
そう、ですか。
……そんなに、居るんだ。
[ホリーが一人でなくて良かったと思う反面。
名前を聞いた人達は死の境界に居るわけで……]
……全員、助けられるんでしょうか?
[敵の時間が終わる刹那に返せるのは一人。
そんなペースで、全員逃げ続けて帰せるのだろうか?
命の実は熟してくれるのだろうか?
不安は沢山襲うけれど]
……ううん。でも。頑張りましょう……ね。
[ぽそりと、そう言う]
夢じゃ、無いなら――。
まさか。そんな。
[意識した瞬間。ここまでの二人の声が、囁き声のように、心に直接響いて来るのを感じた]
……。その声。
メアリーちゃんと。ホリー先輩、ですか?
マーゴです。
これ、夢じゃない、のかな。……。
わたし、ひとまず着替えてきます。
ルーカス先輩が一緒なので、多分またすぐに、図書館に戻ります、ね。
[こうで良いのかな、と思いながら、心に言葉を思い続けた]
…シャワーの水はちゃんと出るみたいですね。
へんな色とかもしてないみたい。
……まだ、信じられないです。今もこれ、夢なんじゃないかなって思ってます。
でも、水浴びしていると少し落ち着きます。
……アレ、守護神様、ですよね。
本当の事、言ったらダメって、言ってましたけど。
……いえない、ですよね。こんな――重い、話。
……でも。
わたし達が、皆を助ける事ができるのなら。
わたし達にしか、できないのなら。
わたしは――あきらめないです。一人でも多く。助けたい、ね。
わたし、独りじゃなくてよかった。
わたしも……頑張ります。
[再び聞こえてきた声。
メアリーではない、柔らかなこれは――]
マーゴちゃん。……起きたんだね。
[安心したように、息を吐く。
そして更衣室に向かう説明を受けて]
いつ敵が来るか、わからないから。
ひとりにならないように。
会長が一緒なら、一安心だけど。
[ふふ、と、優しく笑う。
そして最後、ふいに真剣な声音で言ったのは]
一度に、ひとりだけ。
……わたしたちは選ばなければならない、ね。
[それは真実を知る者にとって、あまりにも残酷で]
マーゴ……?
[友達の声が頭に響いて]
うん。メアリー、だよ……。
うん。気をつけて、ね。
[今は青い色の月。『敵』は襲ってこない様だけれど。
シャワーを浴びるというのには、そう言って]
そうだね。3人で、がんばろう、ね。
[そう頷きながらも、ホリーの言葉が重なれば
心臓がズキリ、とした。気がした]
[、声が聞こえてくる]
ご心配をおかけしました。…ありがとうございます。
はい。わたし、でも一応、脚力には自信ありますから、最悪逃げるのは出来ると思いますけど、可能な限り、一人にならないようにしますね。
ホリー先輩も、気をつけて。
[少し、真剣な雰囲気を感じれば]
……はい。重い、ですけど。それでも、誰も救えないよりは、いい、ですよね…。
メアリー、大丈夫?
[ その声は、いつもより、少し力無く感じられた気がした]
わたし、今シャワー終えたところ。
図書館に戻って、様子を見るつもり。
頑張ろう。うん。落ち込んじゃうと、運が逃げるっていうし。
……元気、出していこう、ね。
[マーゴの言葉に、やはり真剣な声で]
わたしも、諦めない。独りじゃなくて、よかった。
……ありがと。頑張ろう。
メーちゃんも言っていたけど、何かあったら言ってね。
[そしてには、ふふ、と小さく笑って]
足速いんだね。じゃあ、安心だ。
会長を引っ張ってもらわないとね。置いてかないように。
[その後の台詞には、うん、と頷いて。
裏庭に入る直前、仰ぐように青白い月を見上げた]
うん。大丈夫だよ。
ごめんね。
[元気な声(と思う声)で返す]
うん。私も今、下に降りてる所だよ。
うん。そうだね。ありがとう。
[そう言うマーゴの声が、先程の自分と同じく力ない声に感じて。
会ったらぎゅーしようかなと思った。
『貞子攻撃』に*阻まれなければ*]
はい。ホリー先輩も、お気をつけて。
……敵ってのがどんなのかわからないし。
無理はしないで、くださいね。
わたしも、基本的に逃げ回るつもり、ですから。
(一度に、ひとりだけ)
(ふたりには偉そうに言ったけれど、誰を選ぶの)
(それは、大切な人?)
(――わたしの大切な人って、だれ)
うん。合流できるといい、ね。
……。
[何となく、心の声のさらに心の声が聞こえた気がした。この守護神の力の、ある意味で弊害だろうか]
(……髪、準備しておこうかな)
[の少し元気が出た様子に、*くすりとした*]
[そういえば、マーゴはどこに居るのかと]
もう、図書館に戻ったのかな。
[肯定の返事が返って来ただろう。それならば]
テーブルの上の飲み物、飲んでいいからねー。
[いつもの調子でそう言う。
まだ自分の渇きがない異常には気付かずに]
わたしも、逃げるよ。
みんなを帰すまで、絶対に生きていなきゃ。ね。
[何となく彼女の"貞子姿"を思い出し、笑っただろう]
あ、これ先輩が用意してくれたんですか?
ありがとうございます。いただきますね。
[そう言って、何度か口をつけているだろう**]
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