249 Digital Devil Survivor
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…全部、終わりにしてくれ
[ 見届ける事は叶わなない、願いを** ]
[ああ、人の子は忘れる。
あの惨劇を無かった事として、日常へと塗り潰していく。
振り返り、後ろを見ればほら。]
[足元に鬼火が広がる。
肉の焼ける匂い、皮膚を焼き引き攣るような痛み。
あの日からずっと囚われているから、あの日のまま慶一の時は止まっている。]
後、100年―――――――いや、1000年。
俺には時間がある。
マガツヒなんてそこら中に溢れてんじゃねぇか。
ああ、死んでから気づくなんて俺も馬鹿だね。
浄化? いくらでもすればいいよ。
ねえ、新しいカミサマ。
人間なんてのはさ、醜い生き物だから幾らでも溢れてくんだよね。
ほら、ちょっと煽ってやればこんなにも憎悪が溢れてくる。
精々頑張りなよ。
俺は見てるからさぁ、今は……うん、今はね。
[炎の中、笑えば喉が焼ける。
息を吸い込めば灰の中まで焼ける。
死んで尚、生きているかのような感覚。
焼かれていく度にナニカが壊れる音がする。
それは人間として慶一が存在する為に必要なナニカ。
それが完全に壊れるまであと――――――――*]
―御渡湖―
[あの日、炎に飲まれ消えた男がいた。
藍色の波は今は神となった付喪神が祟った通り、その男に憑いた犬神だけを地の国へと送り込み、残された人間は燃え尽きた。
けれど、多くを殺し続けたその魂は。
浄化されるには赤い石の力を持ってしても黒く染まり過ぎていた。]
[6つの内、砕けた5つ。
砕けたその時にマガツヒが残っていたかどうか。
今となっては確認する術はないだろう。]
[御渡市の結界が解かれたのは、須佐之男が真月の元を離れて戻ってからしばらくしての事だったかもしれない。マガツヒを凝集した八十禍津日神は御渡の湖に沈み、多くの人々が肉体ごと魂を喰われた後。元凶たるアマツミカボシが既に消滅した御渡の地で、残った悪魔もあるものはヤタガラスに討伐され、あるものは自ら魔界に戻っていった。
元凶が望んだ外つ国の介入も天津神の滅亡もついに起こらず、御渡の惨劇は大きすぎる犠牲の後に終焉した。]
(#0) 2016/06/29(Wed) 23時半頃
[やがて報道では、御渡の封鎖の原因にはそれらしい理由が付けられるのだろう。
真月はヤタガラスから出頭のうえ、状況の説明が求められるかもしれない。他の生き残った者達も、多くはヤタガラスの監視を受ける事になるかもしれない。それもいずれは収まるのだろう。
けれど御渡に残った者にとって、本当の痛みはこれから起こるのだろう。人も神々も、街そのものが深く傷ついた。その痛みをどうすればいいのだろう。
またどこかで僅かな悪意が生まれるかもしれない。
またいつか争いが起きるかもしれない。
その時はまた、彼らのような別の誰かが戦うのだろう。
人がずっとそうしてきたように。人として生きるために。**]
(#1) 2016/06/29(Wed) 23時半頃
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