158 雪の夜に
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[問いかけに答えようとして、自嘲していた。]
友達に会いたいと思うくらい、いいだろ?
[朝凪亭の傍までやってきて、足をとめて、手をもう一度差し出した。]
助かった。 悪かったな。あんた、関係ないのに。
[裏通りで魚を持っていて貰った事。ここまで運んでもらった事。それだけでなく、身の上話など、相手の酔狂で聞かせたとしても、それも含めてだ。]
(73) 2013/12/22(Sun) 20時半頃
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― 教会へ至る坂道 ―
[ましろが覆う教会への道を、滑らないように踏みしめて歩く。 その時、ソフィアの様子はどうだっただろう。
ただ、婦人が坂から船を見下ろし、述べた感想に頷いた]
あの船がここから見える景色がこの町の本当の景色に思えます。 一年に一度しかつかない船ですが、それほどまでに船を皆待ち遠しく思うのです。
[その船に乗って、兄もジェリーも行ってしまった。 町を出ず、ただ、この町でゆるやかに生きてきたことに後悔はない]
教会についたら、神父様にお茶をお願いしておきます。 もし、よろしければ、わしの孫が話し相手にでもなりましょう。
[そして、進める歩み。 ジェリーに似た声は、この年になると、痛みではなく、懐かしさだけが膨らみ、とても心地がよい]
(74) 2013/12/22(Sun) 20時半頃
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あぁ。良いと思うよ。
[待つ者の感慨を旅人が知る事はないが―― そういう意味では、これは他人事のような科白だけれど、 待つ者がいる分だけ帰りを望む者がいる事も確かだ。 笑みには微かに苦いいろも溶けるものの]
どういたしまして。
[とれたての魚介が宿の皿を彩る様子を想像して、 にっことした笑みを戻してカゴを返した。 ヒューが裏口辺りから魚を届けに消えるのを見届けると、 短い間、遠方に視線を遣る。
喰い殺されたという遺体のあった方角だ。]
(75) 2013/12/22(Sun) 20時半頃
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― 朝凪亭裏口 ―
[ヤニクから魚を受け取って、肩に担ぎ、朝凪亭の裏口の扉を叩いて、到着を知らせた。 大抵、従業員や手伝いの子供なんかが顔を覗かせるが、今日はどうだったろうか。 靴に雪をつけながら、じっと待つ。 その間、ずっと考えていたのは、片腕を失うこととなった理由に関してだ。]
(76) 2013/12/22(Sun) 21時頃
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[逃げろ、と叫んでいた男が殺された。
束の間、検分した限りは確かに喰われたような傷だったが、 野犬の類にしては場所の説明が難しい。
仮に、山で火事なり地崩れなりがあったとして、 食うに困った獣が町に下りたところで、 あの裏路地まで入り込むだろうか。
それよりは――]
人狼。
[その方が、説明がついてしまう。]
(77) 2013/12/22(Sun) 21時半頃
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お使い ハナは、メモを貼った。
2013/12/22(Sun) 21時半頃
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[>>74 眼下に広がる風景から、 視線をそらすことのないままに、 老人の言葉に女は静かに問いかけを投げる]
……あなたはずっと、この町に?
[丘の上から舞う風花、 帽子を片手で抑えて振り向く、 留めてしまっていた足を動かす]
お気遣い、ありがとうございます。 ……あなたは何かご用事でも?
[その言葉、 彼は茶の相手になるつもりはないように聞こえた。 そして時を経ても変わらぬ教会の全貌を目にした時、 女は胸を押さえて、ただため息を零した]
(78) 2013/12/22(Sun) 21時半頃
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女主人 ダーラは、メモを貼った。
2013/12/22(Sun) 21時半頃
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――……ええ、ずっとここです。 兄や、幾人かの知人は町を出てしまいましたが、自分は出ることはありませんでした。 ずっと船を迎えてこの年ですよ。
きっと、死ぬまでこの町を離れることはないでしょうな。
[出なかった理由はいくつかある。 けれど、そのひとつが、ジェリーに言った言葉だ。
ここが君の故郷だと、 帰ってきたときに言ってあげたいと思って、毎年船を迎え、 そして、とうの昔にあきらめたのだけれども。
今度は、兄の娘がこの町にやってきて、兄の死とともに、今度は彼女を励ますことが仕事となった。 それでも細かった命が途切れたとき、残されたソフィアはもう、自分の孫と同じ存在だったから]
(79) 2013/12/22(Sun) 21時半頃
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……猟はしたことないけれど、 こう見えて、山歩きは得意だったわ。
[ほんの少しすねたように口にするのは、 まだ少女と呼べる年の頃の昔の話だ]
あら、そう? いつでもいいなんて……、 少しくらい焦らしてくれても、いいのよ。
[そんな無邪気だった面影はもうない、 頼る者も無いまま、一人故郷を離れなければならなかった。
利用できるものは利用した、 結果、悪女と呼ばれたけれど、 後悔も懺悔もない、少しばかりの憐憫があるだけ]
(*23) 2013/12/22(Sun) 21時半頃
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群れというのは……、 家族のようなものかしらね。
[行商というのは理に適っている。 人を襲う以上ひとところに留まり続けるのは危険だ。 それはよく知っている、その結果を見たのだから]
――そう、 その口ぶりでは、故郷の記憶はないの? ご両親とか、兄弟とか。
……会いたい誰か、とか。
[ぽつりぽつりと、途切れるような囁き]
(*24) 2013/12/22(Sun) 21時半頃
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―回想―
あぁら、ホレーショーじゃないの。 お久し振りだね。今回は長くいられるのかい?
[旧知とも言える仲の船の乗組員に声をかけ、セレストと自分のほうに呼び寄せる>>1:159>>1:160。サイモンの声が聞こえたのはそのころだったが、あからさまに眉をしかめた]
なんだろうね、いつも素っ頓狂な奴ではあったけど、あいつもとうとうヤキが回ったかな… ほら、気にしないで。久し振りの再開なんだから水なんか注されちゃかないやしない。 ほら、海の上の酒より新しい奴だよ。それとも、酒は飲み飽きてるかな?まあどっちにしてもさ。
[そういって、店とあまり変わらぬ様子で酌にも回り、その夜は更けた……が]
(80) 2013/12/22(Sun) 21時半頃
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[あの男が警告した人狼なる存在が己でない別人だとしたら。]
(*25) 2013/12/22(Sun) 21時半頃
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[それが事実なら。 上手くすれば、自分の手で突き止められるかも知れない。]
(81) 2013/12/22(Sun) 21時半頃
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― 早朝 朝凪亭裏口 ―
[身体3分の1ほどもある桶をもって、少女は井戸と宿とを往復していました。 歯を食いしばり、口をへの字に曲げて、小さな身体で踏ん張って。 冷たくかじかんで固まった手のひらが、朱色を肌に散らしています。]
[引きずるようなその姿も、少女にとっては毎朝の出来事でした。 まだまだ小さな女の子ですが、人を遊ばせておく余裕はありません。 朝はこうして水を運び、お昼に自由な時間があって、夜にはまたお手伝いです。 子どもに対する女将さんなりの配慮なのかもしれません。
もっとも。
スープを焦がしつけるような……仕込みを満足に手伝えないハナだけかもしれませんが。]
[裏口にその姿を見つけ、ハナは思わず桶の中身をぶち撒けてしまいました。]
(82) 2013/12/22(Sun) 21時半頃
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[己は同族喰いの嗜好を持たない。
よって、妨害が入った際など、いくつかの例外はあるものの、 極論、"喰おうとして喰えなかった奴"が、 話しかけて来ない同族であるとは言える。]
(*26) 2013/12/22(Sun) 21時半頃
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[だが、他人に知られれば、自分の身を危うくするだけだ。
恐らく、この事件は大きな騒ぎになるだろう。 誰にも悟られないように、火の粉が掛からぬ内に、 事態を収拾する事――]
(83) 2013/12/22(Sun) 21時半頃
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私は神父に用事がありまして。 ええ、返し物をするだけです。
[ジェリーに似た声が、やはりひどく懐かしい。 彼女はこの町には戻ってこなかった。そう、あのとき、本当は自分も船に乗るべきだったのかもしれない。
あとにも先にも船に乗るタイミングはあの一度だったのだろう]
礼拝堂で、孫の相手をしてくださるのなら、助かります。 私では、本当は女の子のことなど、よくはわからんのです。
[それは嘘ではない]
(84) 2013/12/22(Sun) 21時半頃
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/* 我ながら相当綱渡りなロールですねこれは。
占い師にだけ見える赤COと言うアレなんですが、 おじいちゃんが真すぎて 対抗に出ようにもどうしようもないっていう */
(-15) 2013/12/22(Sun) 21時半頃
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ヒューは、音のしたほうへ、首をむけた。
2013/12/22(Sun) 21時半頃
ハナは、比喩なしに跳び上がって、視線から逃げるように落とした井戸桶を手にとりました。
2013/12/22(Sun) 22時頃
ヤニクは、裏手から派手な音が聞こえた気がしたが、と視線をやる。
2013/12/22(Sun) 22時頃
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へぇ? 意外だな。
[あるいは、例え良家の令嬢というやつであっても、 誰しも幼い頃はお転婆な少女だったのかも知れない。]
そうだな、人間で言う所の家族か、集落か。
……故郷の土地っていうのはなかったけど、 小さい頃に住んでた所は、暖かかったな。 多分、春だったんだと思う。
[両親、兄弟、その言葉に左手をポケットに突っ込む。]
(*27) 2013/12/22(Sun) 22時頃
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― 朝凪亭 ―
……。
[子供が水を撒いている。 意図があってそうしたのではなく、零したのだという事は、一目瞭然である。 その様を、心配する言葉ひとつかけず、見守っていた。 笑顔の一つなく、無気力にぼうっと裏口前に佇む姿は、子供からすればお化けの一種にすら思えても、おかしくはない。]
魚。
[子供が、桶を手にとったところへ、声をかけた。]
中にいれた方がいいなら、開けてくれ。
(85) 2013/12/22(Sun) 22時頃
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ヒューは、ハナをうつろに見据えたまま、一歩だけ後ろに下がり、扉の前に空間を作った。
2013/12/22(Sun) 22時頃
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――
[子供が少し口をとがらせたような、 何故か決まり悪そうな小声が零れた。]
……狩りも出来ねー位よぼよぼの爺さんになったら、また来る。
つった所なら、あるけど。
(*28) 2013/12/22(Sun) 22時頃
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/* ところでデフォはヒューです。 ……吊られたがっているように見えるが、 今日じゃないな。
個人的には話が盛り上がりそうな所を残したいので、 消去法だとリアルが忙しそうっぽいダーラかな…… ううーん */
(-16) 2013/12/22(Sun) 22時頃
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[井戸桶と男の姿を見比べて、少女は大きく頷きました。 表情に現れているのは確かな決心。 なるほど、彼女にとっては大変勇気のいることだったようです。
中身を失って軽くなった井戸桶を抱えて小走りに。 ハナはヒューを大きく迂回して扉に取り付き蹴開けると、目前にある男の姿に今更驚いて、一歩二歩三歩と後じさりして、こけました。]
(86) 2013/12/22(Sun) 22時頃
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[子供が扉を開けるまでの一部始終へ、大きく迂回する様子までも含め、視線を送り続けた。 子供が蹴開けた扉に、ヒューは使えない腕のついている方の肩を引っ掛けた。 後ずさりの後、転んだらしい子供をまたぐようにして、幽鬼が如く朝凪亭の裏口から進入したヒューは、魚の入ったカゴを、いつも指定されている場所へと、ゆっくりと、置いた。]
(87) 2013/12/22(Sun) 22時頃
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―翌朝―
[朝凪亭は宿でもあるだけに、早朝から忙しい。 前の晩に仕込んでいたスープと魚のフライとで朝食の準備をし、起きがけの客を待っていた頃に、不穏な噂があちこちから届いた]
サイモンが死んでる?それも……
[話に聞くサイモンの亡骸の様子は、酸鼻極まるという感想が正しいように思えた]
どういう事だろうね、全く…朝から。 死んでまで人様に迷惑かける奴だねえ……
[あながち冗談でもない悪態をついて、ふとスープをかきまぜる手が止まった]
………まさか、ねえ……
(88) 2013/12/22(Sun) 22時頃
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ああ……、
[>>79 あの人もまた町を去った一人だ、 あのことが起こる前の記憶は、もう酷くおぼろげで、 いつだって思い出すのは、己の痛みばかりだった。
死ぬまで離れることはない、 その言葉に思わず零れたのは]
そう、 ……この町を愛してらっしゃるのね。
[そんなお定まりのような言葉。 自分がその理由かもしれないと、 ふと過ぎった感傷を否定したかったのかもしれない]
(89) 2013/12/22(Sun) 22時半頃
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ああ、お客さん。朝、食べていく?
[階段を下りてきたヤニクに声をかけたが、スープを一杯所望されただけだった]
……あいよ。ちょっと待ってな。
[お望み通りにスープを出し、空になった器を残して出ていく彼の姿が早朝の町に消えるのを眺めていた]
(90) 2013/12/22(Sun) 22時半頃
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/* ハナ狼だったらおもしろい
(-17) 2013/12/22(Sun) 22時半頃
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[目の前の無邪気な少女。 その存在こそが彼が歩んだ年月の、 ――幸いの象徴であるはずなのだから]
ご用事があるのなら、 お邪魔してはいけませんわね。
[>>84 不器用な言葉はかすかに記憶を揺さぶる、 確かに彼は、なにもわかってはいなかった]
……私も、 年頃の女の子の気持ちなんて、 もう思い出せませんわ。 それでも、お嬢さんはお付き合い頂けるかしら?
[そして教会の門をくぐる]
(91) 2013/12/22(Sun) 22時半頃
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船が着いた次の日にこれとは、あいつらついてないもんだねえ……
[軽くぼやくようにして、いつもよりざわめきの絶えない1階のテーブル席を眺めて、今日も変わりなく仕事を続ける。]
ああ…ご苦労さん。そこ置いといておくれ。 ……どうだい、外はずいぶん騒がしいかい。
[いつもの通り、裏口から入ってきたヒューにそう声をかけて、魚のかごを受け取る>>1:87。]
(92) 2013/12/22(Sun) 22時半頃
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[拗ねたような口ぶりが、 かわいらしいと言ったら彼は不本意だろうから、 零れたのは小さな忍び笑いだけ]
そう、故郷の土地はなくても。
あなたには、 ……ちゃんと帰る場所があるのね。
(*29) 2013/12/22(Sun) 22時半頃
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