241 線路上の雪燕
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宜しかったら、受け取ってくださいまし。
[手元のポーチから、連絡先の書かれた紙を取り出して。 そっと名刺代わりに九重に差し出すだろう。 今の自分にできることはそれくらいしかない]
本国でご連絡をくだされば。 何らかのお力添えができるかと思います。
[ここでは自分は只の小娘であったが。 故国に帰ればそれなりの融通は利かせられる立場であった**]
(66) 2015/11/29(Sun) 21時頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2015/11/29(Sun) 21時頃
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/* 1
(-18) 2015/11/29(Sun) 21時頃
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[ 自分ひとりで抱え続けるには、重すぎる事情。 いや、重いのは記憶だろうか?
先に亡くなった者から責任を引き継いでしまったから? そも、責任なのだろうか?
ともすれば自分の思考に沈んでしまうペラジーを、青年の声が現実に戻す。 「ああ、あの記事かい? 率直に言ってしまえば、 ……非常に、興味があるね」>>43 青年は驚いた顔>>43をしていたが、その眼には強い好奇心>>44が浮かんでいる。
ペラジーは簡単に説明した。]
実は、あのとき横を通ったのです。 気づいてはおられなかったでしょうね。
(67) 2015/11/29(Sun) 21時頃
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〔ぎゅうぎゅう、汗臭い中を進んでいく。
いいえ、これくらいのことは大したことじゃないわ。
そう思って突き進んだ先、彼>>59の姿を見つけたならば、周囲の咎めるような視線も気にせず、少年に声をかけた。
対して、突然現れたシェリーに驚いたのか、それとも別の理由があってか、臆病にみえるほどにザックを抱きしめた少年は、少しの逡巡の後、シェリーの袖先をきゅっと握った。
微かにはにかんだ表情が、手の動作が愛らしい。
……しかし、「見つかっちゃった」、とは?
そう思ったのも束の間、少年が外に出たがっていると悟って、押し出されるのにあわせてシェリーも三等車両の外に向かう。>>60〕
(68) 2015/11/29(Sun) 21時半頃
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ジョージ……? かくれんぼかしら。……ふふ。
〔たどたどしく紡がれる言葉が、嘘だとは気づけない。奇妙だなとは思ったけれど。 少年と同じくして首を傾げた時、盛大に聞こえてきた腹の音に思わず微笑む。 本人からすれば空腹は辛いかもしれないが。
少年が咄嗟に離した袖には、ちょっぴり血膿がついた。 袖が汚れた事よりも、その手の痛々しさが気になってシェリーは眉を下げた。
差し出した食べ物に首を振る少年。>>61 シェリーは彼の鼻頭をつん、と指先で軽くつついてから、苦笑する。〕
(69) 2015/11/29(Sun) 21時半頃
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遠慮するものじゃないわ。 お金なんていいのよ。
それに――
こんなに大きなお腹の音、ずーっと鳴らしてたら、 皆に見られて……恥ずかしいんじゃないかな?
だから……食べて貰えると嬉しいわ。
〔あえて「お腹減ってるでしょ」ではなく別方面で攻めてみたのは、きまぐれだけれど。
そういって、腰を屈めて少年を見上げると、改めて、「はい」と紙袋に入ったパンと、牛乳が入った小さな瓶を渡そうとしてみる。*〕
(70) 2015/11/29(Sun) 21時半頃
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[同行者ではない。という言葉は>>51男に寄って追加された。目配せには苦笑を浮かべるも、頷きを返す彼に対する印象は良い。 何処であっても女性に対しては、紳士であれ。 例え表面上だけであっても。]
ええ、貴女と比べて少々おてんばですが。
過保護ですかね? いえ、妹は僕の話なんて聞きもしないので。
[掌を合わせて、顔を輝かせる異国の少女に首を振り。苦笑と共、忠告めいた事を囁きて。冗談めかした言葉に困った事に。と肩を竦めた。そう、彼女とは全く違う、その目以外は………]
…え?従軍。……いや、気にしないでください。
[握手をしたのは迂闊だったかもしれない。 触れた手は、柔らかい、令嬢のそれ。 自分とは異なる、その手に。失言だったと口を塞ぐ彼女に首を振る顔は柔らかな貴公子然とした顔で。]
(71) 2015/11/29(Sun) 21時半頃
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ありがとうございます、どうか貴女も。
[深々とお辞儀をした彼女にしゃれた一礼を。 そして、男の方にも、また。と微笑みを浮かべ。]
今度は貴方もゆっくり話したいものですね。
[異国の方と話すのには興味があります。 と微笑みと共に去っていっただろう。**]
(72) 2015/11/29(Sun) 21時半頃
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ー 二等車両と三等車両の間 ー
[サイラスは蹲り、鞄に額を押し付けていた。 真白い煙に負けないよう、古い革の匂いを吸い込めば、薄暗い半地下の店内を思い出す。 そうすれば、施しを受けたことも忘れられる。 それを、おとなしく受け入れたことも]
……ん
[サイラスは人の気配に顔をあげる。 およそ三等車両が似合わない、小綺麗な姿。 こんにちは、と言われてもすぐに挨拶は返せなかった。 すぐ脇を通るのをぼんやりと見上げた程度。 踵を返す姿に、好奇心だろう、とただそれだけを考えたのに。 彼女はすぐに戻ってきた。パンと牛乳を手に持って]
(73) 2015/11/29(Sun) 21時半頃
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/* はとなうだげど場所のやつちがうきがするね
(-19) 2015/11/29(Sun) 21時半頃
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まさか
[なんてサイラスの呟きも構わずに、彼女は三等車両に乗り込んで、さっき見かけた少年を連れてきた。 元々知り合い……には見えなかった。 施しか、と考え、そのことにまたサイラスは眉を顰める。
立ち上がり、鼻を鳴らして二人に背を向けた。 足を向けるは二等車両。一等車両の切符を持っているのだから見咎められても問題ない、はずだ**]
(74) 2015/11/29(Sun) 21時半頃
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ああ――宜しいも、宜しくないも。
[差し出された紙片>>66に、己もまた、名刺を差し出した。 運輸通信省安全調査局鉄道第一課と、名刺の所属にはそうある]
公人としては、仕事柄、無関係ではありませんし――、
[栄達を望む技術官僚にとって、旧熊野財閥の令嬢とのコネクションは、貴重極まりないものであるし]
私人としては――いや、一般論になりますかね。 そう、美しいお嬢さんの連絡先を、あえて拒む男はいないというものですよ。
[冗談口を叩きながら、先に別れた男>>72を思い浮かべる。 ああいう本場の紳士なら、もっと自然に、もっと洗練された冗談を紡ぐんだろうなあ、と]
(75) 2015/11/29(Sun) 22時頃
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[少年は眼前の、勇気ある少女の微笑みに内心で怯える。 恐らく、だが自分の身なりと一人である事実から 同情を買ってしまったのだろう。
けれど、誰かの名を出せば保護者や他の同行者の存在を誤認してくれるだろうか。と咄嗟に出た名は、『薄汚れた子供1人より、かくれんぼ中の子供2人と認識された方が印象は薄い』との判断に連結されたのだ。
酷く、不完全な理屈と策の続きを練る事に専念していた意識は、つん、と鼻を付かれた>>69事によって途切れる]
…えっ、と……
[腰を屈め、視線を自分に合わせて来た少女の笑顔は少々苦々しい。 睫毛の隙間から覗く瞳は、動揺>>0:13も無く、心底彼を心配しているらしく。
ひとつ、ふたつ、瞬きをして、見つめて。]
(76) 2015/11/29(Sun) 22時頃
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……あの、ありが、と。…。 …僕、………嬉しい、です。
お礼…できなくて、ごめん、なさい。
[ぺこり、と腰を折ってお辞儀をした。 差し出された紙袋と牛乳瓶>>70をおずおずと受け取る。 彼女の言う事も最もだ。空腹を満たさねば体力が………
は、と息をのむ。 微かに聞こえたかりかり、という音は 明らかに腹の音ではない]
(77) 2015/11/29(Sun) 22時頃
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…っ、その、おねえさん…あのっ、 …………たび、その、気をつけ、て…!!
おねえさんも、ごはん、たべてね!!
[もう一度お辞儀をして、何処かせっぱ詰まった様に。 少年は少女の脇を通り抜ける様に駆け出した。 彼女に呼び止められる事が無ければ、小柄な身体は二等車両の通路を通っていた青年の股を潜り抜けて先を急いだ、かもしれない>>74]
(78) 2015/11/29(Sun) 22時頃
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ああ、ところで、ですが――、
[慣れない冗談を口にした気恥ずかしさからか、鼻の頭を指先で擦りつつ]
――お付きの方、よもや、この列車に乗り損ねたのでは。 実は先刻、食堂車で、切符を盗まれたという方がおりましてね。 まあ、その方は、神の導きで無事に乗れた――と、仰っていましたが。
[そういうこともあるのでは、と。そういう可能性を提示して]
次の駅で、貴女宛に連絡が来ていないか訊ねてみては。 お付きの方とて、仕えるべき貴女とはぐれたとあれば一大事。 そのくらいのことは、試みるのではないですかね。駅には電信くらい、あるでしょう。
[と、そう提案してみた]
(79) 2015/11/29(Sun) 22時頃
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[ 「どうして、それを訊くんだい?」>>44 と続けられた質問には、一瞬考えたが、正直に答える。]
幼い少年が……、 ホームで拾った新聞を同じ熱心さで読んでいました。
それで、記事以上の何か……噂などがあるのかな、と 思ったのです。 たとえば、被害者の身の回りや、遺体の状況に……。
[ 問い返す眼差しを相手へと向ける。]
(80) 2015/11/29(Sun) 22時頃
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[ 長話をすべき場所ではない。 発車時刻の近づいた車窓の向こうは、ずいぶんな人の数。 しかもそれぞれが大声を出していて騒がしい。>>#0
微笑みを湛えた紳士の視線>>36もある。 ペラジーは青年に近づくと小声になり、]
……その、よろしければ、 続きはラウンジ車か食堂車でしませんか?
[ 話を切り上げて立ち去る前に紳士が「ルーカス」>>36と名乗れば、]
ペラジー・デュランテです。 よろしく。
[ 握手を求めつつ名乗っただろう。]**
(81) 2015/11/29(Sun) 22時半頃
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/* マリオくん、頑張っていますね。
村建て様はご心配をおかけしてすみません>< 実は昨日から風邪っぽかったのですよね……。 数日前から家族が引いていまして、ついに来たかという感じなのです。
(-20) 2015/11/29(Sun) 22時半頃
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おっと――こんな場所で、話し込んでしまいましたね。私は、このあたりで。 故国の言葉での会話は久方ぶりなので、もっとお話したいのは山々なのですが。
いかんせん、私費での旅行ではなく、公金での出張の最中なので。 先ほど食堂車を利用してみたので、その報告書を記さねばならないのです。
[給与というのは鎖のようなものでして、そう言ってから]
ああ――どこかで時間が合えば、お茶でもご一緒いただけますか。 しばらく故国を離れていますので、故国の噂話なども聞きたいですし。 具合のいいことに、先刻、この辺りのお茶の飲み方を学びましたので、お茶なら恥を掻かずに済みそうなので。
[と、別れ際に。先のルーカスとかいう紳士なら、ごく自然に食事に誘うんだろうかなと、思いつつ]
(82) 2015/11/29(Sun) 22時半頃
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……運輸通信省。
[名刺に書かれた所属>>75に、思わず目を細めた。 なるほど。役人らしき生真面目さと誠実さを持ち合わせた御仁だ]
あら。お上手ですこと。
[軽口を叩く九重に、思わず微笑んだ。 櫻子は経験上知っていた。 このような御仁は総じて役人の世界では出世していく]
まあ、それは物騒ですわね。
[切符を盗まれた>>79、との言葉に目を丸くした。 やはりかの地の治安はあまり良くないらしい]
ええ、そうさせていただきますわ。 次の駅は、……ニズでしたわね。
[連絡が取れればいいのだけれど、と。九重の提案に頷くだろう]
(83) 2015/11/29(Sun) 22時半頃
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― 二等車両 ―
[がたんごとん。がたんごとん。 座席に深く腰をおちつけながら列車の揺れに身を任せていれば、 郷愁と、それから、眠気にも捕まっていたらしい。
窓枠に身体をもたせかけた状態のまま記憶をたどる。 サラグニッドの街にさよならして、 陽の光を反射して輝く大河を見るともなく眺めていたのは覚えている。 それと、乗車前に買った新聞に、 興味を惹かれるような記事はなかったことも。
ほんの暇潰しのつもりで買った新聞だったが、 気がつけばよくよく目をこらし、よくよく見知った名を探していた。 バートン、という苗字はありふれたものだが、 “冒険家”のバートン、といったら――まさか同じ人は二人といるまい]
(84) 2015/11/29(Sun) 22時半頃
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[――拝啓親父殿。 最後に西大陸から手紙を送ってきたのはもう5ヶ月前だっけ? あたしは元気です。 ひょんなことから雪燕と呼ばれる列車に乗って、 旅の醍醐味を味わってます]
(85) 2015/11/29(Sun) 22時半頃
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薬屋 サイラスは、メモを貼った。
2015/11/29(Sun) 22時半頃
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[長きにわたる戦争を生き延びたキャロライナの父は、 汗水流して肉体労働に励むでもなく、国を復興させるための絵図を描くでもなく、 人々に夢を与えたいと言ってそのどれでもない道を選んだ。 今は大昔の――それこそご先祖様が馬車鉄道で儲けた頃の、 人々の開拓精神とやらを追体験しに、海を渡って西大陸に行っている。
いつかは新聞の一面を飾るのが夢らしいが実現するのは遠そうだ、と。 そう思う程度にはキャロライナはシビアだった。 だからついていかなかった。 それでも新聞を読んでは父の名前を探してしまうのがなけなしの娘心]
……。
[居眠りの最中に握りしめてしまったらしい。 くしゃっと変な折り目のついた新聞を丁寧に折りたたんで、 向かいの座席にぽんと投じ、席を立った]
(86) 2015/11/29(Sun) 22時半頃
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色々とお心遣い感謝いたしますわ。
[同郷の者と喋り、ある程度の指針もできたところで。 少しだけ心に余裕が出てきた。九重に上品な笑みを浮かべる]
まあ、それは失礼いたしましたわ。 九重様もこのような遠い異国で。 さぞかしお仕事のご苦労も多いことでしょう。
[食堂車で仕事をしなければとの旨>>82を伝えられ、頷く。 戦災の記憶が色濃く残る今。 東洋人である九重が、 この地の仕事で苦労していることは想像に難くない]
(87) 2015/11/29(Sun) 22時半頃
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ええ、道中は長いですし。 ぜひお話を伺いたいですわ。
[不器用なお茶の誘いに、少しだけ苦笑する。 それから、少しだけ不安そうな顔をして]
なにかあったときは、頼らせてくださいましね?
[恐る恐る、上目遣いに九重を見つめた後。 わたくしも車掌を探さなければ、と一礼した。 そのまま二等車両へ向かおうとするだろう**]
(88) 2015/11/29(Sun) 22時半頃
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/* なんかこーいう苗字にすればとかこーいうPCにすればとかが頻出していてあばばばってなってるけど 時間ないしいつも通りの方が安定するよね! (ひらきなおり)(村中の仕事休みがない)
(-21) 2015/11/29(Sun) 22時半頃
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〔「まさか」と呟いた声>>73>>74は聞こえなかった。 挨拶を返されないのを気に留めることもないが、金髪の男性に小さく会釈をしておいた。〕
〔少年の顔を見る。>>76この年頃ならば林檎のように赤く、まるく、やわらかであるべき頬は、蒼褪めて、ほんの少しほっそりしているように思われた。
お母さんはどこ? なんて言葉を出すことも出来ず、シェリーは彼を見上げている。〕
いいわ。お礼なんて。 好きでやってるのだもの…… ?
〔ぺこりと頭を下げた少年に微笑を返し、おずおずと差し出された掌に優しく手渡した。>>77
少年を心配しているのは本当だったので、彼にパンと牛乳を受け取って貰った時は、ほんの少しほっとした表情をした。
突っ撥ねられてしまうかもしれない、 と、ちょっぴり危惧していたのだった。
かたん、かたん、と雪燕が揺れる音に紛れ、かりかりという音は耳に入らなかった。 代わりに、少年の様子に不思議そうな顔をした。〕
(89) 2015/11/29(Sun) 22時半頃
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― 出発直後 ラウンジ ―
[>>16 シビルのうかつな一言が、東洋人の気分を概してしまったようだ。 少なからず怒気をはらんだ彼に対して、それでもシビルはうろんな目線をやるだけであった。 それにこちらが反応をする間もなく、彼は見事に感情を押し殺してみせたのだ。]
…………。
[飲み干されたカップと匙に残ったジャムのかけらをなんとはなしに見つめているうち、東洋人の背は遠ざかって行った。 商人という身分のわりには、何が売れているかどうかよりも、切符が無いのに乗車できた方法を知りたがった不思議な東洋人—— ——いや、不思議でもないか。]
…………………。
[何を怪しむわけでもなく、ただシビルはグラスに口をつけ、残っていた酒を一息にあおった。]
(90) 2015/11/29(Sun) 22時半頃
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〔ぱちん。〕
〔と、一つ瞬きをして、あわてた少年を見つめる。 綻ぶような笑みを浮べて、シェリーは頷いた。〕
ええ、ええ。気をつけるわ。
きみも気をつけて。ちゃんと食べるのよー。
〔いきなりのことだから、引き止める、という思考は働かなかった。だから咄嗟に、ひらひらと掌を振って彼に言葉を返す。
先ほど出た「ジョージ」の名前を思い出し首を傾げた。〕
……一人、よね?
〔彼に同行者がいるならば良い、と思ってくるくると三等車を見返す。やっぱり、似た年頃の少年はいないよね、と、また一つ首を傾げるのだった。**〕
(91) 2015/11/29(Sun) 22時半頃
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