158 雪の夜に
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[長い沈黙の後で、出て来たのは、不思議と、笑いだった。 額を膝につけて、背中を震わせる。 腹に力も入らず、ただ漏れるに任せてくすくす笑っていた。 ヒュー自身にも、自分がどうして笑っているのか全く分からなかった。 滞った思考がとろ火で生暖かく煮られ、匙でどろどろにかき混ぜられているような、酸素が足りずにぼんやりするような、わけのわからぬ温度を頭に感じる。]
……はぁ
[ひとつ息をついてみれば、笑っていたことさえ急激に冷めて、虚しくなった。 なるほど、と、ヒューは唐突に思った。]
(91) gekonra 2014/01/02(Thu) 02時頃
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[おとぎ話は、教訓話だったのだ。 先人は偉大だった。
悪い人狼がやってきて、みんな食べられてしまう。 だから人狼は、やっつけなければならない。 或いは、食べられる前に、逃げなければならない。 そういう悪者として描かれてきた。
良いとか悪いとかは、本当に、どうでも良い事だ。 だから、それはさておく。
けれど、逃げる、やっつける、というのはきっと正解だったのだ。 きっと、誰かが身を以て知っていた事だったのだ。
愚かしくも先人の教えに背いた結果が、これなのだろう。]
(92) gekonra 2014/01/02(Thu) 02時頃
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[蹲ったままの姿勢で、小さく、呻いた。]
いてぇ……
[切り裂かれた手が先についている方の腕を、頬で押す。 手で腕を擦り、誤魔化そうとする事すら、出来ない。 出来なくしてしまった。
当然手を使わなければ出来ないことは、それ以外にも山とある。 もう船で働くことは不可能だろう。 それどころか、ワンダの魚屋で仕事を続けることすら無理だ。
諦めなければ人生なんとかなると、セレストから言われたのが、ほんの数日前の事。 今この瞬間においては、もう一度、同じ人間にそれを言って貰う事すら叶わない。 あの時、一瞬でも望みを持てたことが、嘘のようだ。
もう、なんのともし火も残っていない。 からっぽだった。 つまり、諦めてしまった。 こうなってしまうと、セレストの論でも、人生なんともならないのだろう。]
(93) gekonra 2014/01/02(Thu) 02時頃
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[手の痛みが弱まる気配はない。 今まで、この痛みや、行く先の真っ暗さを差し置いて動けていた方が余程おかしな事だった。]
いてえ……いてえ。 くそ、いてえ……
[腕を噛んだ。少しも痛みは紛れそうもなかった。 苛立つように、体を揺する。 腕を噛んだまま、ふうふうと息を吐き、痛みを堪えていると、少しして足音が聞こえてきた。 *ヒューは、医師によって、病室に戻された。*]
(94) gekonra 2014/01/02(Thu) 02時頃
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/* あとは〜もう一個
(-581) gekonra 2014/01/02(Thu) 02時頃
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― 診療所 ―
[セレストが診療所に担ぎ込まれた日から、数日経った。 ヒューは、無関心そうに、出された食事を見下ろしていた。 小さく切られた食べ物が、皿に乗っている。
手は使えない。よって、食べる方法は限られていた。 ヒューは抵抗なく、犬のように、皿に顔を近づけ、食べはじめた。
最初は食べさせて貰っていたが、もう、断っていた。 うまいまずいは、気にもならなかった。]
(95) gekonra 2014/01/02(Thu) 02時頃
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[皿へ伏せていた顔を上げた。 人の気配がしたからだ。 何の用だろうかと視線を向ける。]
……。
[口の中の物を飲み込んでから、唇を腕で拭った。]
(96) gekonra 2014/01/02(Thu) 02時頃
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今日は、どうなさったんですか。
[病室へ入ってきた喪服の婦人へ、尋ねた。 人の死を思わせる黒色が、病室のなかにあるのが、なんだか少し滑稽にも思えた。 なにか忘れているなと、一瞬考えるような間があって、思い出したとばかりに、ヒューはうっすらと笑みを浮かべる。]
誰かの、お見舞いですか?
[行儀よく、寝台に座ったまま、*首を小さく傾げた。*]
(97) gekonra 2014/01/02(Thu) 02時頃
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/* ここまで! あとセレストはあけましておめでとうございます!!!
(-582) gekonra 2014/01/02(Thu) 02時頃
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[気付いた時、女は船の中にいた。 馴染みのある景色、これは女の乗っている船だ。 ぼうっとでもしてしまっていただろうか、海が黒い。 まるで悪い夢でも見ていたかのようだ、 洗濯籠を持って佇んでいると遠くから名前を呼ばれた。
ヒューだ。こちらに手を振って呼ばれる。 ホレーショーや他の船乗り達も一緒にいる。 ああ、そうだ。夢だったんだ。そう笑って。
女は友人に手を振り返す。ヒュー、と名前を呼んで。]
(98) chiz 2014/01/02(Thu) 03時頃
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[呼んで。]
(99) chiz 2014/01/02(Thu) 03時頃
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[――…呼べない、声が出なかった。 どうしてだろう、不思議に眉を潜めながら 仲間達のところへ向かおうとする。
向かおうとして。
――…進めない、体が動かなかった。 代わりに足に痛みが走る。痛い、痛い。 足元見下ろして何かに気付く。音だ。 肉の裂ける音、血の滴る音、咀嚼の音。 音に合わせて、じわりと黒い海が染まっていく。 赤い、紅い、血の色に。揺らめく暖炉の灯の色に。]
(100) chiz 2014/01/02(Thu) 03時頃
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―――――……!!!!!
[ヒュー達の名前を呼ぶことができない。 どうして。 喉を潰されてしまっているからだ。 彼らのところへ駆けていくことができない。 どうして。 どうして。 足を齧られているからだ。彼に。あの人狼に。 どうして。 どうして。いやだ。 どうして。たすけて。 裂かれた喉からも血が吹き出て叫ぶことができない。
誰か。誰か。たすけて。 減っていく、音が鳴る度、自分の体が減っていく。]
(101) chiz 2014/01/02(Thu) 03時半頃
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(102) chiz 2014/01/02(Thu) 03時半頃
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[運良く一命を取り留めた女が目を覚ましたのは 運び込まれてから数日経った後のことだ。
船にはもう乗れないだろうと医者は言う。 齧られた左足は切断せざるをえなかった。 それに、足だけではなく、
そこで医者は言葉を止める。
果たして、運が良かったのだろうか。 女には金も身寄りも、戻る故郷すらないのだという。
――…死んだ方が楽だっただろうに。
独りごちるような呟き。
女と船乗り達との面会が許されるのは、 更に数日経った後のことになるだろう。**]
(103) chiz 2014/01/02(Thu) 03時半頃
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/* 時系列ぐっちゃんぐちゃんになりそうな気もしつつ とりあえずここ、まで。
おやすみ!
(-583) chiz 2014/01/02(Thu) 03時半頃
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/* おはようございまっす セレストオオオオオオオオオ んんんんんんんんんんん 生きてたァァァァァァァァァァァ
夢んとこ楽しいなあ すき・・・・・・・・!!!!!!!
(-584) gekonra 2014/01/02(Thu) 07時半頃
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/* おおおおセレスト生きてた…! 身体欠損者多数…!
(-585) みう 2014/01/02(Thu) 08時頃
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/* 人間たちを犠牲にしてわたしたち、幸せになります
(-586) asta_jan 2014/01/02(Thu) 14時半頃
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/* アタイたちの分まで幸せになってよね!
(-587) gekonra 2014/01/02(Thu) 15時半頃
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なってね!
(-588) nostal-GB 2014/01/02(Thu) 17時頃
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/* 勝利陣営だけど別に幸せじゃないな……!
(-589) sen-jyu 2014/01/02(Thu) 21時頃
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[かつりと半歩後ずさる踵が音を立てる。
>>95 手という機能を失った青年が、 犬のように食事を取る姿がそこにあった、 それもまた、己が何もしなかったことの結果だ。
ゆっくりと瞬いた双眸は、 向けられた問いかけと薄い笑みに、 ゆるやかに首を振った]
……いいえ、そうね。 強いて言えば、あなたへのお見舞いかしら。
[花の一輪もないけれど、と零す空白を落として]
(104) sen-jyu 2014/01/02(Thu) 21時頃
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あなた、これからどうするの?
(105) sen-jyu 2014/01/02(Thu) 21時頃
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[言葉はさらりと繋がった。 しかし、それは欺瞞のようなものだろう。
あるいはそこに、情のようなものがあったとしても、 自身の情はすべからく偽りに過ぎない、と女は思う。 ――真実、情けのあるのであれば、 こんな風になる前にどうにかすべきであったし]
……当てが無ければ、 私の元にいらっしゃい。
[こうして片手を差し伸べながら、 もう片方の手であの人狼の少女を匿っているのだから。
女の顔には、何か痛みを堪えるような微笑が過ぎった*]
(106) sen-jyu 2014/01/02(Thu) 21時頃
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/* 狂人でも人間相手ならさどい人狼がこちらです 1:00で終了なんだよな……締めないと */
(-590) snow03 2014/01/02(Thu) 21時半頃
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/* 結末をまったり待つモード
(-591) asta_jan 2014/01/02(Thu) 21時半頃
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パピヨンさん、よしよし
(-592) nostal-GB 2014/01/02(Thu) 21時半頃
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― 診療所 ―
[婦人の質問へ、一瞬の沈黙を返した。>>105 思わず、鼻で笑っていた。]
どうって……。
[先ほどの後ずさりをされるような食事風景。 着替えも一人でするのは困難だ。 体を洗うことだってそう。]
さあ……? どう出来るんでしょうね。
[自分自身に呆れ果て、自嘲していた。 昔話の言いつけを無視して、良くないことが起きるのは、大人も子供もみんな同じだったのだろう。]
(107) gekonra 2014/01/02(Thu) 21時半頃
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[婦人の顔に、痛みを堪えるような笑みが浮かんでいた。 片手を差し伸べられていた。]
当てなんて……そうですよ。 ありません。
……俺は、あなたの所へいっても、 なにも、出来ないはずですよ。
[自分の両手を見下ろした。 差し出せる手も、無かったのだ。]
(108) gekonra 2014/01/02(Thu) 21時半頃
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