64 色取月の神隠し
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>>*32 疲れは現におるからやからねぇ。 向こうやったはよぅ動ける思いますんよ けしゃらんばしゃらんさんくらい速ぅないから おいかけっこはできへんけど
迷子は……ヒトの道やないから 大丈夫やと 思います……よぅ?
[あんまり自信はないみたい]
けしゃらんばしゃらんさんも友達連れておいでぇな。
(*44) 2011/09/17(Sat) 01時半頃
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─ 隠世の道 ─
こっちの手はここ押さえて、こっちの手で弾くんよ。 丸爪ちゃんと持った? ん…ええよ。 ……ちぃっと吃驚するかもやけど堪忍な。
[沙耶の手に自らの手を重ね、弦の先へゆっくりと誘っていく。 拾参の弦が並ぶその最初の壱つに爪を当てさせ、ゆっくりとゆっくりと弾かせる
刹那妙なる調べと共に ── 世界がぐるりと歪んでいく
沙耶には見えただろうか?
空には真昼の月が 黄昏を待たぬ立待月が 荒涼たるすすき野の薫りを奏で 熟した果実のような甘さを纏う 常の世を照らす異形の月が]
(108) 2011/09/17(Sat) 01時半頃
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── お月様は同じでも 見せるお顔は異の顔──
『其れは戦で亡くした夫を偲んで奏でる女の哀悼歌』 『其れは恋焦がれた貴族の男に捧げようと少女が一所懸命に綴った純愛詩』 『それは神仏への敬愛を奏でた男の奉納の調べ』 『それは世を憎みそして儚んだ老婆の呪詛の旋律』 『それは ソレハ──』
[まさしく無数の思念の果て 常に見下ろしていたのは月の影 私は見上げる 悲しみも憎しみも愛情もすべてすべて 流れた思いの音色を現の世に 揺れた思いの音色を隠の世に 私は思いを奏で征く 千の刻を奏で征く]
(109) 2011/09/17(Sat) 01時半頃
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うちなぁ、たくさんのヒトの思い見てきましたんよぅ? ええことも よぅないことも見てきましたんよ? せやけどね。 ええことも悪いことも、思いは思いなんですよ
音は言のない葉脈なんですよ。 思いがあるから音は綺麗なんですよ?
うちはそんな音の世界に生きています。 ヒトの思いを奏でるためにずうっと……
そして今度は貴方の音を…思いを奏でたいと 思うてますんよ。
おおきに…おおきにな沙耶
(110) 2011/09/17(Sat) 01時半頃
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[現の世に響いた箏の音は やがて小さく小さく消えていき いつしか、二人のいた岩台には ただただ吹き抜ける秋の風だけが 乾いた音を奏で続けていた]**
(111) 2011/09/17(Sat) 01時半頃
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>>*46 ほんまにお上手ですねぇ。
そうやっていつとなく心そらなる恋を育てて 富士の高嶺にかかる白雲のような気にさせるやろね?
豊穣を運ぶ秋の風のように花を撫で 微睡みの夢を残しますんやろ?
奴延鳥さんに魅入られた子は切なぁに思いますよぅ?
せやろうね。奴延鳥さんが負うたんはただの痕やないんはわかります 永劫の輪廻を抜けて尚、癒えぬこともないんやろうね
[同じ千の刻を数えども、運命の歯車はヒトへの思いをこうまで隔てて至る。 妖しとしてと言わずとも、彼が負ったことを思えば、それ以上紡げる言葉も持てず。女は悲しくもあり……だからこそ手負いの羅刹を美しくも思えた]
(*51) 2011/09/17(Sat) 02時頃
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龍っつぁんは大胆やねぇ
[くすくすと鈴が揺れるような箏の音色がしばらく響く]
(*52) 2011/09/17(Sat) 02時頃
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