3 ビー玉坂〜卒業式の前に視るその場所は…
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―南棟1階倉庫付近― [スティーブンは、一歩 離れた。 ドナルドが覗き込もうとするなら、 びくりと顔を背けようとした。]
――…、… や、 …
[手が痛い。嗚呼、ピアノは、弾けるだろうか。 遠くで叫び声が聞こえた。 体重はほぼ壁に預けた状態で、 顔だけを動かして声のほうを向く。 けれど――行けは、しない。
もうひとりの吸血鬼憑きが居るとも知らず。
きつく唇を噛むと血が滲む。 舌先でそれを舐め取った。
渇きが少しでも癒されるように。]
(169) 2010/02/27(Sat) 11時頃
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――ぁ、
…… なに。
飲むって、…… な、に…を?
[くらくらとする。]
(*52) 2010/02/27(Sat) 11時頃
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ばけもの
ばけもの?
咽喉が、かわく
どうしてしまった、 俺は
近づくな
近づいたら、 俺は
(-82) 2010/02/27(Sat) 11時頃
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…お似合い?
――俺には、お似合い…?
…――人に触れるのを 避けてきたのに
どうして、こんな。
厭だ。
…いやだ、 こわい。
(-83) 2010/02/27(Sat) 11時頃
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―― … こわい
(怖い) (やめて なぐら ないで) (練習もする) (いい子にする から)
(-84) 2010/02/27(Sat) 11時頃
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流れ、…て?
――怪我、…――なに、して。
[あげたのに――甘く響く言葉。 駄目だ、と 唇を噛むような気配]
おかしく、なりたく、 …っ…な、い…
(*56) 2010/02/27(Sat) 11時頃
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― 南棟1階倉庫付近 ―
う、る …さい、…
[ドナルドをはずみで睨むが、口元を押さえて、 もう片手は自分を抱くように脇腹あたりの服を掴む。 視界で赤が揺れる。 赤が、ゆれる。
俯いてぎゅっと眼を瞑った。
欲しくなる。 近づくのも、近づかれるのも避けてきたのに。 ――怖いのに。
握り締めた服の下で、ビー玉が冷たく 存在を主張する。 ひび割れがいくつも裡にあるそれが、 新たな色に染め上げられていることをまだ知らない。]
(178) 2010/02/27(Sat) 11時頃
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―ー、ッ …
[ああ。ああ――と繰り返される声が 耳を侵す]
何、謂って… る?
(*58) 2010/02/27(Sat) 11時頃
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―南棟1F購買側へ―
―― …、はや く、
[はやく、 どこかへ 行ってくれ。 スティーブンを見る眼には懇願が混じる。 咽喉が渇いた。
首を横に振る。 保健室にはいけない。 人が居てはいけない。 購買のほうへ歩き始める。
並んだ商品は影に侵されていたろうか。 水を一本手にとって、 震える手で開いた。]
(183) 2010/02/27(Sat) 11時半頃
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―購買部―
[水を。 水を飲む。 辛うじて濁っていなかったそれは]
ッ、…っ 、 !!、 ッ…
[咳き込む。これではない、と 憑依した何者かが苛んでくる。 購買の隅、人から見えにくい位置の壁に凭れ]
っ、 …、な んで …
[噛み切った唇から血が滲んで沁みる。 自分を抱くように手に力をこめれば、 裂かれた甲がじくりと痛む。
嗚呼、ピアノ、 弾きにくい だろうか。]
(189) 2010/02/27(Sat) 11時半頃
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あ。
[それは闇からの誘いだ。]
――……、咽喉
かわい、…た、
――…、っ
[だいじょうぶなのか、わけてもらえるのか、のみたい、のどがかわいた、あかいいろ、ほしい、ほしい、いしきのなかがぬりつぶされそうになる]
(*61) 2010/02/27(Sat) 11時半頃
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いやだ。
こわい
(-87) 2010/02/27(Sat) 11時半頃
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/* グロリア先生かわいいな あかにいて びっくり
し
た
(-93) 2010/02/27(Sat) 11時半頃
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― 購買部 ―
[一定距離。手も届かない。助かった。 けれど、赤は、視界に入る。 俯いた。]
…お節介め……
[薄く開いた唇の奥、鋭い犬歯が見えたか。 手、といわれて傷がついた自分の手を見た。 困ったような表情を浮かべる。
赤は、まだ滲んでいたから。 舌を添わせて、舐め取った。]
(198) 2010/02/27(Sat) 11時半頃
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――咽喉が、 乾いた。
(*63) 2010/02/27(Sat) 12時頃
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― 購買部 ―
……、まじめ……? … ふ、…
[舌を傷口から離して 少し、皮肉げに笑う。 唇に血。紅をさしたようだ。 話していれば気は紛れるか。]
…、…口寂しい、わけじゃ… ただ、…紅い、色が…
[欲しい、 ――とは 謂えない。 人を避けて来た己なのに なんの いやがらせ、だ。]
…?……ド、ナ ルド…?
[怪訝そうに、名を呼んだ。]
(208) 2010/02/27(Sat) 12時頃
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――ピア、ノ……。
[聞こえないはずの音が聞こえた。 まるで誘うようだ。]
おまえ 「も」? ……、…なんで…
[困惑滲む声が、残響に絡まった。]
(*65) 2010/02/27(Sat) 12時頃
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― 購買部 ―
[あか ――が、揺れる。 眩暈がするような赤。]
っ…、――
[びくり、と怯えたように震えるのは 身体に染み付いた記憶の所為だけではない。]
だ…、め…、 だ 近――
[ゆれる あか。 薄紫の双眸から光が失せる。 唇を開き 触れる指先に 歯を立てようとした。 震える手を、ドナルドの胸元に伸ばしてきつく握っって、引き寄せようと――]
(214) 2010/02/27(Sat) 12時半頃
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― 購買部 ―
[――至近距離。怖れに僅か身を退くが背後は壁。 指に歯を立てたままドナルドを見上げる形となる]
紅、…欲し… い、
[また、酩酊したような、光の失せた薄紫。 鋭い犬歯が皮膚を裂いてあかを滲ませる。]
咽喉が…渇い た …ん、だ
[手が震えるのは、本来刷り込まれた恐怖と憑依した吸血衝動とのぶつかり合いの所為か。
理性失せ熔けたような表情そのまま、首筋に唇を寄せる。 歯を立てて、血を口内に導くために。]
(221) 2010/02/27(Sat) 12時半頃
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おにさん
…、 こちら
(*68) 2010/02/27(Sat) 13時頃
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― 購買部 ―
[――歯を立てた男の、胸の内など知らず。 冗談、ではないと行動が示す。 ――憑依されただけで、 本人はいたって普通の“人間”だ。 感染などはしないだろう。]
……、ん …、 ふ、ぁ
[衝動に従って歯を立てて 流れ出る生ぬるい血を舐め取って 咽喉を小さく鳴らして嚥下する。 一度唇を離した後、もう一度舌を添わせた。
胸元を掴んだ手は微かに震える。 拒否されないことに、疑問を感じる暇も無い。 腰に腕を回されても、びくりとしただけで振り払いはしなかった。]
(233) 2010/02/27(Sat) 13時頃
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俄かに薄紫の双眸が光を取り戻した。]
え、ぁ、 ッ…
[狼狽。壁に背をつけて手と身体を離した。 口の中に広がる鉄錆の甘さと 視界の中の赤が己の行動をまざまざと見せ付ける。 近い。眩暈がする。]
――すま、 な、…ぁ…
だか、ら…近づくなって、 謂った、 の、…に…!
[首を横に振って、己を抱くようにして顔を逸らした。]
(234) 2010/02/27(Sat) 13時頃
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奏者 セシルは、問題児 ドナルドを一度揺れる目で睨んだ後、赤を視界から逃がすように顔を背けた。
2010/02/27(Sat) 13時半頃
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あ、
厭
…――怖、……
[笑い声が、聞こえる。]
(*69) 2010/02/27(Sat) 13時半頃
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奏者 セシルは、理事長の孫 グロリアたちが職員室で見たものを知る由も無い。
2010/02/27(Sat) 13時半頃
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― 購買部 ―
[――顔を逸らしたまま、暫し。]
なんで、 ……逃げなかった
[ドナルドに問う。 近づくな、といったのに。 歯を立てまでしたのに。簡単に跳ね除けられるだろうに。]
……――さっさと、…逃げれば、よかったのに
[一度だけ睨むような視線を向けて また俯いてしまった。]
(240) 2010/02/27(Sat) 13時半頃
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奏者 セシルは、美術部 ミッシェルをあざ笑う少女の声を遠く、異形の声に混じって聞いた気がした。
2010/02/27(Sat) 14時頃
奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/02/27(Sat) 14時頃
奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/02/27(Sat) 14時頃
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―購買部―
[――叫びが耳を打つ。 びくり、と顔を上げるが、動かない。動けない。 無差別に血を求める衝動を抑える自信が無い。]
…、っ…、
[あか、とその匂いから意識を逸らそうと掌に爪を立てる。 ドナルドが行くならば止めない。 もし、其方を気にするようならば――]
…行けよ
[眼をあわさないようにそう謂うだろう。]
(250) 2010/02/27(Sat) 14時半頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/02/27(Sat) 14時半頃
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[――見ない]
[見ない、 見ない。]
[窓際ひとり]
[同じ。 同じだ]
[――違うのは]
(*70) 2010/02/27(Sat) 14時半頃
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― 購買部 ―
[ドナルドは笑った。 一瞬目を丸くした後、戸惑い滲む表情を浮かべた。]
……、
ばかだろう …おまえ…
……また、…あんな風になったらどうする…
[もっと、と血を求めるだろう。 咽喉笛を噛み千切らないとも限らない。 それなのに、ドナルドは隣で目を閉じてしまった。 常にとる距離よりも詰った距離。
俯いて、動けずにそのまま。 無意識に手に、ビー玉を持って視線を落とし――]
(293) 2010/02/27(Sat) 16時半頃
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…、…――!?
[目を、見開いた。
内側が無茶苦茶に罅割れた癖に砕けない、 透明だったはずのビー玉は。 ――色づいていた。
その色は、見慣れた。身近な。それは、自分の]
(295) 2010/02/27(Sat) 16時半頃
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[薄紫。 眸の色。]
(*73) 2010/02/27(Sat) 16時半頃
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――、…
渇く。 なら、
[嗚呼。あげる と、 優しげな声がする。]
……――何処に。
(*74) 2010/02/27(Sat) 16時半頃
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