224 Cнег дьявол〜凍ったケツ村〜
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「 そうね。確かに守護者はまだ子供。大した脅威には、成り得ない。 」
[背中にぴったりと張り付いた獣の声が、耳元で囁く。 無意識に、少女はテーブルの下の手に力を込める。忘れないように、確かめて。]
…あの子がおばさまを護るのなら、今夜はあの子でもいい、と思う。
[す、と細められる目。 まだ15歳の、年若い狩人の少年。 その肩に押し掛かる重圧は、どれ程のものだろう。
それでも。馬鹿な子。と、思う。 それが逆恨みなのは、分かっている。 彼に昨夜放った恨み言は、確かに本心でもあった。]
あなただったら。 あなたとアランさんがいたら、『わたし』を止められたかもしれないのに。
[小さな囁きが、テーブル向こうの彼に届いたか馬鹿な分からない。]
(*29) 2015/05/30(Sat) 23時半頃
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[守護者のケツが凍ったら、余所者の少女はどう思うのだろう。 仄かな恋心が、妬ましいのかもしれない。 なんの説得力もなく結ばれる弱い信頼が、羨ましいのかもしれない。
その結束を砕いてしまいたいと思うのは、確かに背後の獣だった筈なのに。 今の少女には、もうそれが自分の声なのか他人の声なのかが、分からない。]
大切なものが、あるの。 もうそれしか、無いの。いいえ、違う。 私、最初から持ってなかった。だから、手に入れたものを離したくないのよ。絶対。ぜったいに。
[誰かの魂が実を結んだ果実を口にするたび、自分が狂っていくのが分かる。それでも、止めようがない。 止められないのだ。それが出来るものは、昨夜。そして、今夜、消えてしまう。]
────シメオン。 オスカーに会いにいきましょう。
[言い切った声に、迷いは、無い。]*
(*30) 2015/05/31(Sun) 00時頃
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[たとえ話ほど、キリのないものはない。]
なるべくしてなったんだよ。 ……そう思わないと、生きていられない。
[どうして。こんなことって。 二人して零した言葉。 塩辛い涙を頬に滑らせてまだ数日だというのに、随分と長い間こうしていたような感覚。
息を吐いた。重苦しく太い息。 一度、指先に力を入れる。 空っぽの手のひらに、収まるものは、ない。
でもまだ覚えてはいる。 怯えているだけではなくて、自分を支え押してくれた彼女の指先の名残が。
それだけで、今は───……]
(*31) 2015/05/31(Sun) 00時半頃
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『 嘘吐き 』
[誰かの命を奪う腕。 それが、誰かの命を救う腕ならば。
もしも話は不毛だ。 分かっている。分かっている。だけど。
堂々と胸を張って、護れたのなら?]
(*32) 2015/05/31(Sun) 00時半頃
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困るんだよ、オスカー。 ………一人でも、護られたら、さぁ。
[冷ややかな猫撫で声。
魂を喰らう度に麻痺する理性と罪悪感とは引き換えに、生まれたのは、羨望。]
いいよ。ケイト。 オスカーはアラン兄を見殺しにしたんだから、…せっかく人を護れる力があるのに。 可哀想だなぁ。………好きな女の子だっていただろうに。
[ 呟けば静かにほくそ笑んで、 ]
でも、そんな腕はいらない。 綺麗事なんて、聞きたくない。
[言い切れば、一人の名を口にする。]
…ジリヤに入れるよ。 せめて、人の手で。*
(*33) 2015/05/31(Sun) 00時半頃
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