103 善と悪の果実
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[そこには蛇もいたのだろうか。 そして昨夜のように、見ていたのだろうか。
林檎を盗み出す、アダムを。
果実を啄ばもうとする、烏を。]
(*30) 2012/09/27(Thu) 02時半頃
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[少女は秘密を守りきることに無防備だ。 感情を押さえつけることも苦手だ。
欲しいから、奪う。 邪魔だから、壊す。 善も悪も、自覚はしていない。 ただ、欲望に忠実な、心を知らない蝶のような存在。
この狂気が始まったのは何時だったか―――]
(*31) 2012/09/27(Thu) 02時半頃
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…―― ふふっ
(*32) 2012/09/27(Thu) 02時半頃
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[まるでそれは、わざと聞かせているような推理。 撹乱したいのか大広間を外す言葉を用いて。
本当はすぐ傍にある。 ただ誰も、気付いていないだけだ。
足元に転がる林檎のどこかに、“それ”があるだなんて。]
(*33) 2012/09/27(Thu) 02時半頃
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[見られていることにも、聞かれていることにも気づかぬまま]
そうだわ
[人影のない、廊下の途中で手を合わせた]
早く…あの子をつけたいわ
[黒い蝶もいつか羽ばたくのだろうか。 それとも蛇に呑まれてしまうか。
軽やかに少女が廊下を進む頃、 薄紅の褥に眠る蝶は、乾いた血で黒蝶に*成った*]
(*34) 2012/09/27(Thu) 02時半頃
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[左手が凶器に沿う。
ふつふつと湧き上がるこの感情が何なのか、分からない。 不明瞭で、だからこそ、消してしまいたい。 僕は怯えているのだろうか。
あの、おどおどとした彼のように。]
(*35) 2012/09/27(Thu) 02時半頃
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[警官が去った後に大広間へ辿り着いた蛇には、 烏の落とした推理を直接拾う機会はなかったが。
けれどざわめく人々の言葉端より、 彼が話していたことは伝わるだろう。
…あの夜、まさに林檎へてをかけた、 他ならぬ彼の言葉を]
(*36) 2012/09/27(Thu) 22時頃
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…そう、昨日の夜。
(*37) 2012/09/27(Thu) 22時半頃
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――――――…栄光(グロリア様)へ、永遠のお別れを。
(*38) 2012/09/27(Thu) 22時半頃
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[見開かれた瞳は、やがて力を失った]
………姉様、とても柔らかかった あたたかかった
…今は きっと 冷たくなってしまったのね
[諦めたように呟いた後、 意思を確認しようと顔を見たがる。 少女は蛇の意図を知らず、それでもまだ、無防備なままだった]
(*39) 2012/09/27(Thu) 22時半頃
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[赤い意思。 殺戮の匂い。
突き付けるのは、異端者を見る眸。
重ねるのは。 重ねるのは。
僕を知った人の眸。 僕を造った人の眸。]
(*40) 2012/09/28(Fri) 01時半頃
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…貴女様が望んでくださるのならば、
私は兄にでもなりましょう。
このような、下賤な浅黒い肌でも許されるのならば。
(*41) 2012/09/28(Fri) 01時半頃
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…貴女様が望んでくださるのならば、
私は。
―――――…御守りしましょう。
レディ・ポーチュラカ。
(*42) 2012/09/28(Fri) 01時半頃
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……――――僕をみるな
(*43) 2012/09/28(Fri) 01時半頃
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兄様………?
[手の中の蝶は、同じ血を吸うことはない。 震える手は、震える唇は]
(*44) 2012/09/28(Fri) 02時頃
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[小さな呟きは、鈍く光る銀色の運命を絶つ。 赤の殺意をもってして。 どちらかの命をもってして。
濡れた烏の、 塗り潰された黒の、 重ねた血の、 背負う罪の、
眸を開ける頃、世界は“楽園”に変わっているだろうか―――……**]
(*45) 2012/09/28(Fri) 02時頃
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……ええ
[守られることになれた少女は、花のように笑う。
家族を失い壊れた少女は けして取り戻せない欠片の幻影にすがる他ないのだ――**]
(*46) 2012/09/28(Fri) 02時頃
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[本質は、望まれるままに]
[共にも]
[男にも]
[女にも]
[兄にですら]
[脱皮を繰り返す蛇は、己というものがまるでないように]
(*47) 2012/09/28(Fri) 02時頃
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…けれど、確かに、手に入れたいものがあるのだ。
(*48) 2012/09/28(Fri) 02時頃
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[烏がないたことを、蛇は未だ知らぬ。今は唯、]
可愛い可愛い、ポーチュラカ。
僕が守ってあげるから。 怖いことなど、何もありはしないよ。
[喜劇のように、花を愛でる**]
(*49) 2012/09/28(Fri) 02時頃
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