人狼議事


253 『はじまりの むら』

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【人】 理髪師 ザック

「タバサ、窓、直ったよ。ちょっと色違いになっちゃったけど。ごめんね、今これしかなくてさ」

ザックは立ち上がり、他のものよりやや青みがかった硝子を差した。

「あとさ、昨日はごめんね。毎度のことだけど」

昨晩のことを思い出し、ザックはばつが悪そうに頭をかいた。もう何度目かもわからない親友サイモンの一方的な猛攻には、さすがの彼も閉口気味だ。

「あいつ、悪いやつじゃあ、ないんだけど……もし本当に嫌だったら、一発ぶん殴るくらいしても大丈夫だからさ。子供の頃から、惚れた女の子には諦めが悪すぎて。本当に、ごめん」

かぶっていた鳥打ち帽を脱いで胸に当て、深々と頭を下げる。

(4) 2016/09/16(Fri) 18時半頃

【人】 理髪師 ザック

それはあまりにも日常の光景。後に語り継がれることになる伝説の始まりの日でさえ、彼にとってはいつもと変わらない一日だった。

(5) 2016/09/16(Fri) 18時半頃

【人】 理髪師 ザック

「な」

ザックは目を白黒させた。一瞬のうちに様々な思いが胸をよぎる。拒否すべきか、いや女性に対してそれは失礼ではないか、とはいえ冗談にも程が……などと考えているうちに彼女は悪戯っぽく片目を瞑ってみせた。

なるほど、我が友を落とした微笑みはこれか。勝手に得心し、話題が変わったことを天に感謝していると、不意に彼女が呟いた。

(9) 2016/09/16(Fri) 20時半頃

【人】 理髪師 ザック

「うん。……うん」

迷っているうちに、答え損ねてしまった。

「それじゃタバサ、またね。カルヴィンも、やんちゃはほどほどに、ね」

二人に手を振って、ザックは歩き出した。しばらくの間、歩きながら考えて、やがて足を止め、酒場を振り返る。

「おれは……おれには、わからないかな」

ほんの少しの後ろめたい気持ちを引きずりながら、ザックは再び歩き出した。親友の言葉を頭の中で反芻する。一生村の便利屋で、何が悪い。そう、自分はこれでいい。英雄になんか最初からなれないし、仇討ちだってできやしない。これが自分の器なのだ。

(23) 2016/09/17(Sat) 01時半頃

【人】 理髪師 ザック

旅立ちを見送る人だかりを遠くに見ながら、ザックはそのまま森へと向かった。できるだけ、日常のままでいたかった。

「牙避けの加護、切れてないといいけど」

それでも、彼は少年の身を案じる。少年に譲り渡した父の衣服。彼の腕では、古びてほころんだ術式をかけ直すことはできなかった。彼にできるのは、放っておいても一日で治ってしまうようなかすり傷の治療がせいぜいだ。

できれば、きちんとしたものを手に入れるまで少年を守ってくれますように。祈りながら、彼は家路につくのであった。

(24) 2016/09/17(Sat) 02時頃

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