65 In Vitro Veritas
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セシル! 今日がお前の命日だ!
2011/10/02(Sun) 06時半頃
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― B2階 開き部屋 ―
簡単になんか泣かない。
大事な人だったんだ。
[セシルの言い方に、あのとき、消えてしまっただけでは出なかった涙が出た。 そう、あの身体は引き裂かれてしまった。 道具として、代用として、
中にニーナがいることなんて、考えられずに。]
――……セシル 貴方は、知っていたね?
[震えが止まり、額を離せば、一つ呼吸をして、 的確に腕を見せてくれた人に問う。**]
(0) 2011/10/02(Sun) 07時頃
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>>3
[セシルも大事な人、だという。 その言葉に、彼は、わかっていたこと、知って…。
知っていて…と思ったとき、
もうすでに満ち溢れていた悲しみや、怒り、 ぶつけられない憎しみが…、
溢れた。]
(12) 2011/10/02(Sun) 20時半頃
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セシルは、コーダは、背後から、セシル両手をそれぞれ掴んだ。
2011/10/02(Sun) 20時半頃
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[知らない、 その主が、心を壊していることなど…。
ただ、分かったのは、セシルの大事な人のために、 自分の大事なニーナが壊された。
そう、自分は奪われる存在…。]
――……貴方は、与えられて、 ――……自分は、奪われる。
同じなら、 なぜ、自分だけ?
[そういいながら、表情は、 悲しみに笑んだ。]
(13) 2011/10/02(Sun) 20時半頃
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[その両手を背後で一緒にし、肌蹴たシャツをそのままはぎ取って両手首に回し、ぐるぐると縛る。 振り返れば冷たく笑う唇が見えるだろう。
それは、セシル自身の唇と同じ、もの、 そして、眩く光る青灰の瞳は、だんだんと三日月に
セシルのクローンは嗤う。]
(14) 2011/10/02(Sun) 21時頃
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貴方と自分、 これでも同じ
ですか?
[そして、背後から首に手を宛がった。 それは、喉仏をなぞり、リンパをなぞり、脈打つ血管、青白く浮き出るそこに……。
節太い指が這った。*]
(15) 2011/10/02(Sun) 21時頃
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自分にも、ください。 貴方に与えられたものを…。
[それは、半分からかっているかのような、 狂い始めた声……。]
(*1) 2011/10/02(Sun) 21時頃
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>>23>>24
そういう仕組み、 そうですね、そういう仕組みだから…。
[わかっている。あの映像をみて、わかった。 だけれども、
そんな仕組みだからこそ、生まれた命と言われても。 そんなこと、知って、うまれたわけじゃない。]
――……
[ただ、それは無意識だった。 彼の手を縛りながらも、それを傷めるほどにねじりあげたりしないこと。
その腕は、その音を編み出すもの。 きっとそれを、
その血が知っている。]
(29) 2011/10/02(Sun) 22時半頃
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>>25 [しかし、反して、その首、指に力を入れようとする。 節だった指、毎日吹き竿を回し続けた握力は、手の力は、不意をついたとはいえ、プロのリーガーを絞殺したもの。
イワセに比べれば、セシルを絶命させるのは、容易い…。
そう、冷たい嗤いは、その自分に手をかけようと…]
(31) 2011/10/02(Sun) 22時半頃
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>>25 ――……違います。
[殺すなら、君は俺、その言葉に、すっと表情は固くなる。 そして、手の力はそこで止まる。]
違います。 同じなんかじゃない……!!
[狂い始めている。 嫉妬と憧憬。 首を振る。]
(33) 2011/10/02(Sun) 22時半頃
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[同じでありたい。 そう、あの音を自分も出せるのであれば
そうなりたかった。 でも、最初のスタートが違っている。 どうしようもない。]
くださいって言ってるんです。 貴方には、ヴァイオリンも、ニーナも、ある。
自分は、貴方が
ほしい。
(*3) 2011/10/02(Sun) 22時半頃
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セシルは、コーダは、それでも手に力を再度いれようとしたけれど。**
2011/10/02(Sun) 23時頃
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[セシルの首に埋め込んだ指が止まる。]
わからない……ですか。
[セシルもまた、笑みを浮かべる。 それは、きっと鏡のようだったか。
浮かぶのは、 もう一人の自分に飲まれる…… そんな……。]
そう、違うから、わかるわけない。
[これが、自分。 これが、自分。
同じ顔をして、同じ声で、そして、その環境にあれば、そう言う。 それが、自分……。]
(*9) 2011/10/03(Mon) 08時半頃
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あ……
[同じでない、と主張しながら、 でも、きっと、自分なのだ、と思うのは……。]
(*10) 2011/10/03(Mon) 08時半頃
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[そんな自分に、 高見から、こちらを見下ろしているような瞳。白い首筋、柔らかな動き、自分よりも質のいい髪、そのすべてに。]
――…貴方は、自分より、 セシルは、コーダより、上にいると、思っているんでしょう? それでも、いいですよ、貴方からできたクローンだ。 ここはそんな世界だ。 自分は貴方の劣性コピーだ。わかっている。
だから、自分は貴方が憎い。 でも、
同時に、 してる。
(*11) 2011/10/03(Mon) 08時半頃
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[首から手は離れる。変わりに寄せるのは唇。]
あのヴァイオリンを弾く貴方をみたとき、 自分は、貴方になりたくなった。
[自己の中で相反する矛盾。憎い。憎いのに、同時に、それを美しいと思う。そんな自分の姿に嫉妬と憧憬と…。 そして、それを押さえるためにか、それとも自然にか、新たに生まれる、好奇心。]
でも、なれない。
[美しいと思う。それは、自己愛に近しいのか、それともただの興味なのか、コーダにはわからない。
ただ、首筋に口づけたとき、自分がどう、鳴くのだろう、と考えると、潜んでいた生理的な疼きが脳裏をよぎった。]
(*12) 2011/10/03(Mon) 09時頃
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だって、貴方と自分は違うから。
[その胸に後ろから手を回す。それも、きっと同じ形。 自分は、一人で慰めるときに、そこを弄るけれど、それはセシルも、
高まる、ところなのか?
指の腹で、まるで自分にやるように撫でた。**]
(*13) 2011/10/03(Mon) 09時頃
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クツジョク?
[その問いは、チルハナもそう言った時の響きと同じだっただろう。 そう、彼らにとってはそれは、娯楽、快楽を得る一つの許された行動。 ただ、コーダ自身は誰とでもするものではなかったけれど。純粋に一つ、それを否定する。]
憎くてするもの、じゃない…。
[それは、彼にとって、嘘ではない。 それに、セシルの漏らした吐息……
確かに、彼は、それを気持ちよく、感じている声、だと思った。]
(*17) 2011/10/03(Mon) 15時半頃
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[同時にゾクリと背筋に何かが走る。 そう、彼から受けてばかりの負の感情が、ふつり…と途絶えた。]
気持ちよさそうに、見えた。 でも、
やめてあげましょうか?
[そう告げつつ、また、胸の尖りを撫で上げて、首筋に舌を這わせる。]
(*18) 2011/10/03(Mon) 15時半頃
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― 空き部屋 ―
[彼は、出ていくセシルの背を見つめ、そのまま無表情に自分の手を見た。 壊すつもりだった。
壊さないと、自分が壊される、身体じゃなく、心が。
そう思ったのに……。]
(85) 2011/10/03(Mon) 16時頃
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― 倉庫から階段へ ―
[空き部屋を出た彼は、セシルが向かうとは別の方向に足を向ける。 倉庫に入り、麻紐をまた適度な長さに切ったものを作る。それをポケットに忍ばせてから、階段に向かうと、
そこには、ニックの、オリジナル、の壊れた姿があった。]
――……フン
[それを一瞥して、階段を上っていく。]
テンイソウチ…だっけ。 定員……にならないと、か。
[青灰の瞳が危なげに揺れる。]
(86) 2011/10/03(Mon) 16時頃
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確か、殺す気か、って言ったな。
[さっきセシルが言った言葉を思い出す。 壊れること、は、殺すこと、らしい。
コーダはセシルから学習する。彼とは違うといいながらの矛盾した行動。 でも、それは、何よりも、きっと誰よりも、
生きることに執着しているのかもしれない。]
(87) 2011/10/03(Mon) 16時頃
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俺は、殺されない。
[自分と言っていた。自分、のことを、 俺、と口に出してみる。
すると、不思議に今までより高い位置に自分が上った気がした。 くくっと笑みがこぼれて、背が自然に伸びた。
振り返り、ニックのオリジナルの遺体を見下ろし……。]
だから、(殺すのさ……。)
[鋭い目つき、片手をポケットに突っ込んだまま、心の中で呟いて……。
立ち去っていく。]
(88) 2011/10/03(Mon) 16時半頃
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>>88 [その言葉には意味がある。
殺されるつもりは、ない。
身体も、心も、自分という細胞、そのすべて
殺されるつもりはない。]
(*19) 2011/10/03(Mon) 16時半頃
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セシルは、B1階につくと、人の気配のするほうへ。
2011/10/03(Mon) 16時半頃
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― B1階 当直室 ― >>72>>82 [そこに到着したとき、ニックは赤毛に縋り、赤毛はそんなニックに怒声をあげていた。 その様子に、青灰の瞳も見開かれる。
だが、その向こう、ネクと、さっき自分を脅したネクのオリジナル、が重ねて血まみれが倒れている姿も確認すれば、眉を寄せる。]
――……何が、起こってる?
[次にはすっと目は細められ、そう、訊ねた。*]
(89) 2011/10/03(Mon) 17時頃
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/*
悪い子でいきます。
吊られるかもだけど、それはそれで。
(-42) 2011/10/03(Mon) 18時頃
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[次にセシルの身体は激しい拒絶を示す。 跳ね除けられる手と身体。
だけれども、一度感じた感覚に、笑みは止まらない。 いや、セシルが、それまでの冷静さを失って、怒りを表したことに、彼と同等になれた気すらした。]
なら、やめます。 今、わかりました。 貴方は、大事な人だ。自分にとって……。
教えてください。貴方が自分に教えてください。
この世界を……。
[その背中、露わになった上半身。また不用意に近づくと、その腕…ニーナなら二連星の黒子をもっているその箇所に爪をたてる。 その痛みにセシルが声をあげようと、表情を歪めようと、やめないだろう。
○に十字架のマークを、血が滲もうと構わずに……。]
(*21) 2011/10/03(Mon) 19時頃
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自分は、壊れない。 貴方を壊すことで、貴方と同じというのなら、 貴方も壊さない。
自分は、自分であるものすべてを壊さない。
[そして、終われば、その手首を拘束していたシャツをほどいた。]
(*22) 2011/10/03(Mon) 19時半頃
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セシルは、コーダはニックが赤毛を押し倒すさまに、息をのむ。
2011/10/03(Mon) 19時半頃
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― 当直室 ―
[入ってきた途端、あがるニックの声。 それは、最初にヨルのオリジナルをニックが「殺した」時に、言ってたことと同じ。 そこから、ニックがニックのオリジナルに手をかけたことも想像できる。
返す、赤毛の言葉。 そう、それも知っている。
目玉を抉ってイワセにやろうとしていた。 そのとき、赤毛とイワセは通じ合ってたこと、感じて…そして、わからなくなった。
今、コーダはきっと、その赤毛とニックの間にいる。]
(95) 2011/10/03(Mon) 19時半頃
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ニック………。
[そして、ニックの言葉には、表情を固める。 そう、その純粋さ。それは、自分にはない、もの。]
(*23) 2011/10/03(Mon) 20時頃
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セシルは、コーダは、ニックと赤毛の会話をじっと聴いているが…。
2011/10/03(Mon) 20時頃
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――……赤毛……。 もう、お前は、目をイワセにあげたんだろう?
[涙を、血を流す赤毛に語りかける。赤毛にはその姿に気づいただろうか。]
俺は、ニックは、 お前の目を守りたかった。それが真実だ。
だけど、 お前がイワセをそう思っていることは、知らなかった。 だから、すまなかった。
(98) 2011/10/03(Mon) 20時頃
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